kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日産の正念場

2022-02-10 06:19:54 | 日記
販売台数減を円安効果と米国での販売奨励金の減少が上回り日産自動車は今期
3回目の上方修正を発表しました。取り敢えず株式市場はこの決算を好感して上
昇しました。

もともと日産の業績悪化の主因は米国事業の採算悪化です。ゴーン体制で販売
数量を追う余り採算性の低い法人向け(リース業者)への依存を高めたことや
魅力的な新車投入が遅れて販売苦戦から販売奨励金を積み増すことで販売を維
持しました。

しかしその結果ブランドイメージが低下して中古車市場での日産車の価格低下
で業績を低下させました。以前三菱自動車が米国で同じ過ちを繰り返し米国で
のシェアを大きく低下させたケースと同じです。

幸運なことに半導体不足から新車の供給が絞られ日産車も大幅な販売奨励金を
積まなくても売れるようになり米国販売は減少しましたが、採算性は向上しま
した。その上に昨年は年初に比べて10円の円安効果が3回の上方修正になりま
した。

しかし来期からは今期ほどの円安効果は期待できません。また半導体不足も正
常化には時間がかかるとしても徐々に生産は回復しそうです。供給不足が和ら
ぐことで販売競争は再び激化することも予想されます。またFRBの利上げでロ
ーン金利が上昇して販売が鈍化する懸念や貸し倒れが増加する懸念もあり自動
車販売における金融事業の採算性が悪化するかもしれません。

半導体不足が和らぎ生産台数が増加して工場の稼働率が高まれば利益率は上が
りそうです。好・悪材料が綱引きして結果的にどうなるかはまだ分かりません。
現在日産の株価は600円を中心にしたボックス相場です。このボックス相場を
抜けるだけの好材料が出てくるかどうかがポイントです。

日産がEVのリーフの販売を開始したのが2010年12月です。10年間の累積販売
台数は50万台です。EVの商用化で先行しながら後発で参入したテスラに大きく
差をつけられました。ルノー・日産・三菱自連合で5年間でEVに3兆投資すると
発表しました。

テスラだけでなく日本メーカーや中国勢や欧州メーカーそれにEV戦略強化に大
きく舵を切った王者トヨタとのし烈な競争に勝ち残れるかはどれだけEV分野で
成功できるかです。何故EVで先行しながら優位性を失ってしまったのか。どこ
に原因がるのか。巨額な投資をするだけではEV市場で勝ち残れません。

ユーザーに魅力ある商品をEVで発揮できるかどうかです。日産はかつてスカイ
ラインやフェアレディZなどガソリン車では魅力的な商品のラインアップが光っ
ていました。NISSANというブランド力の引き上げに貢献しました。EVではブ
ランド力を発揮できなかったことが、スタートは良かったのですが、後発組に
劣後してしまった要因です。

市場ではEVに巨額な投資をするというニュースが大手自動車メーカーから相次い
でいます。巨額投資に見合う収益を上げられるかが今後の評価軸になるでしょう。
再建途上の日産がどこまで巻き返せるか今後数年が正念場になりそうです。
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東芝の迷走

2022-02-09 05:59:49 | 日記
東芝が会社分割を三分割から二分割に変更しました。変更の理由が分割コス
トの削減です。3分割だと700億円ですが、二分割だと200億円で済むという
ことが判明したとの説明です。そもそも会社分割はコングロマリットディス
カウントの解消だった筈です。

二分割でもコングロマリットディスカウントは解消するのでしょうか。そも
そも分割を止めれば費用の200億円はいらなくなります。分割コストの費用の
問題で分割案を変更するという話は海の向こうの米国でも余り聞いたことが
ありません。

総合化学とか総合商社とか総合電機とか総合重機とか何かと日本には多くの
事業を抱えた企業は数多く存在します。日本の経営者には多くの事業を抱え
ることである部門が不振に陥っても他の部門でカバーでき業績の安定が期待
できるという考え方があるようです。

一方米国では株主の力が強く複数の事業を抱えると経営資源が分散して投資
効率が悪くなるという考えが主流です。数年前も化学大手のデュポンとダウ
ケミカルは統合し、さらに事業別に3社に分割されました。

大企業の単なる統合で売り上げが膨らむだけで投資効率の悪化を防ぐために
事業別分割で成長分野に重点的に経営資源をつぎ込むことが可能になりまた
事業内容が分かりやすくなり投資家からの評価も高まるという事が目的のよ
うです。

会社を単に分割するだけでなく投資判断を機動的にするなどで成長を促進す
ることとセットでなければ会社規模が小さくなるだけです。昨年3分割案が
出た時に物言う株主から小さい東芝を3社作るだけという強烈な拒否反応が
ありました。

2013年にはソニーに映画などエンターテインメント事業を分離するように物
言う株主から要求がありました。東芝のケースでは真逆の展開です。東芝に
必要なのは会社分割よりも競争力のある主力事業と非主力事業を明確にする
こと。

そして主力事業にはヒト、モノ、カネを集め非主力事業は売却することです。
財務余力の少ない東芝が成長するためには投資効率を高めることです。その
ための資金捻出が非主力事業の売却です。東芝に必要なのは投資と分配のバ
ランスです。物言う株主対策で巨額な自社株買いへの要求されているようで
すが本当に必要なのは次の主力事業の育成です。そのためには投資不足は命
取りです。

非注力事業として空調や照明それにエレベータ事業の売却も取りざたされて
います。しかし、どんな事業で企業価値を向上させるのか答えは出ていませ
ん。綱川体制が本当に会社の再建が果たせるのか、分割案が3ヶ月で修正され
たことを考えると不安しかありません。

そもそも物言う株主からの巨額な投資を受け入れのスキームを作ったのは綱
川氏です。上場廃止と引き換えに東芝の迷走の原因を作りました。医療事業
やメモリー事業を売却して損失を埋めてきた東芝の再建は本当に分割なので
しょうか。
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OLCとSUMCO

2022-02-08 06:38:07 | 日記
オリエンタルランド(OLC)の10年来高値更新、一方半導体ウエハー大手の
SUMCOの年初来安値(2000円割れは1年4か月ぶり)は何を意味しているの
でしょうか。JR4社や空運2社の株価はオミクロン株のピークが見えない中で
も先週から上昇基調です。

オリエンタルランドは2022年3月期の業績を上方修正しましたが、それでも
58億円の赤字で2期連続の赤字決算です。オミクロン株の感染拡大を受け先月
21日から再び入場制限の強化をしました。コロナ前の状況に戻るのはいつに
なるのかまだ見通せません。

一方SUMCOの決算発表は9日に予定されています。ウエハー最大手の信越化
学の決算からの連想では既に終わった2021年12月期に続いて今期も増益トレ
ンドは続きそうです。半導体不足が正常化するのは当初よりも時間がかかり
そうで同社にとっては追い風です。

相場は相場に聞けという格言にあるように「相場はどの方向に向かうのか」を
見極めるのが最も重要です。決算発表が済めばその情報は既に多くの投資家
が知っていることです。投資で成功するには隠れた情報を見つけ出しその先
を想像ですことです。

赤字決算企業が高値更新、一方今期も前期に続いて増益予想であろう企業の
株価が安値に沈むという一見不思議な出来事にこそ相場の目に見えない流れ
があるのかもしれません。

経済再開銘柄の代表格のOLCは非日常生活を味わえるコンテンツを持ってい
ます。インフレで人々の財布が締まる状況でも値上げできるだけの魅力があ
りインフレの中でも勝ち組の筆頭の一つなのかもしれません。そうでなけれ
ば現在の株価を正当化できません。

一方巣籠り消費の盛り上がりもあり半導体不足からその関連銘柄は過去2年
近く人気の中心でした。目に見える業績欄からは下げる要素は見当たらない
ように感じます。

しかし現実に株価はSUMCOのように安値を付ける銘柄もあり冴えません。株
価下落が多くの見通しよりもはやく半導体需給の逼迫が沈静化するサインだと
したら短期的にはシリコンサイクルが復活し需要が落ちることもあるのでしょ
うか。答えはまだ出ませんが株価の先見性を重視するならあり得ないことでは
ないかもしれません。

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インフレとの戦い

2022-02-05 07:41:36 | 日記
市場注目の米雇用統計は前月比46万7000人増と市場予想(15万人増程度)を
上回りました。一部には新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染
拡大によって企業活動が停滞し、一時的に雇用の回復が遅れるとの見方もあり
伸び率はゼロあるいはマイナスという見方までありました。

昨年11、12月分も上方修正され平均時給の伸びは市場予想以上でした。米労働
市場の逼迫を示したとして、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融引き締
めを進めるとの見方が強まり、長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時
1.93%台をつけ、2020年1月以来、約2年ぶりの高水準を記録しました。

長期金利上昇で割高感の強いハイテク銘柄の多いナスダック指数が下落し金利
上昇の恩恵を受ける銘柄が多いダウが下落するという教科書通りの展開にはな
らず4日の米国市場はNYダウが小幅安で終わり、ナスダック指数は1.6%上昇し
て引けました。

今週ナスダック指数はアップルの好決算、グーグルの好決算で上昇しました。
しかしその後発表されたメタの決算で同株が急落するとナスダック指数も連動
するように上げました。今度は3日発表のアマゾンの決算が市場予想を越えた
ことで同株が大幅高、前日売られた他のハイテク銘柄にも買いが波及して指数
が上昇しました。

4日の市場に限ってはアマゾンの好決算が長期金利上昇のマイナス分を消した
格好です。日々市場心理が激しく揺れ動き株価が乱高下する様子は投資家が先
行きに大きな不安を抱えていることで短期筋の動きがその日の値幅を大きくし
ているようです。

今週までの日本企業の決算は全体的にはすこぶる好調のようです。下方修正よ
りも上方修正企業が多いようです。円安やコンテナ市況の高騰、資源高という
特殊要因を割り引くことは必要のようですが、決算からは日本株の一定の下値
要因となりそうです。

しかし個別企業では今までの見方を変えなければならない銘柄も出ているよう
です。花王と言えば日用品銘柄の中では優良株中の優良株でした。収益力・財
務内容そして毎年のように増配を続けていることも投資家を引き付けていまし
た。コロナショックで多くの銘柄が急落後しばらく低迷していましたが、花王
株は一時7000円割れましたが直ぐにコロナ前の水準を取り戻しました。この時
点では投資家から同社に対する信頼は厚かったようです。

しかし花王株の好調は長く続きませんでした。2020年12月通期決算の状況が明
らかになってきた夏以降は下落トレンドがすっかり定着しました。コロナの影
響でインバウンド需要が蒸発し花王の化粧品セクターは大きな打撃を受けました。
また感染症対策で日常的にマスク着用や在宅勤務の広がりで化粧をする女性が減
少し国内事業も厳しくなりました。

同じ日用品銘柄の資生堂が2021年12月期の業績上方修正を発表し反発したのと
明暗が分かれました。化粧品事業の収益力の違いが大きかったようです。加えて
原材料高の影響を受けやすい洗剤・衛生用品が主力事業の花王にはより向かい風
が吹いているようです。花王がかつての収益力を取り戻すにはインフレの影響を
どこまで製品価格に転嫁できるかどうかが鍵です。商品の競争力の有る無しが結
果として出てきそうです。

次回の更新は8日を予定しています。
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バークシャーとSBG何が違う

2022-02-04 05:50:02 | 日記
マイクロソフトやアップル、アルファベットの大手テック銘柄はいずれも市
場予想を越える決算で株価は大きく反発しました。一方メタ(旧フェイス
ブック)は減益決算を嫌気して急落しました。未曽有の緩和相場が転機を迎
えたこともあり大手テック株の動きも収益による選別は確実に進んでいるよ
うです。

業績好調でもバリエーションが異常に高い銘柄には下押し圧力が掛かり続け
ることも予想されます。まして成長期待だけで人気化したハイテク銘柄も赤
字決算が続いている銘柄には尚更厳しい目が向けられそうです。

ビジョンファンドの大口投資先であるクーパンやウィーワークも反発しまし
たが、両社とも赤字決算を続けていることが影響しているようです。まして
ディディは中国政府の規制をもろに受け米国上場を廃止することもあり先行
きは見通せません。上場時の三分の一の水準ですが、今回の反発局面でも蚊
帳の外です。

またSBG本体で保有しているアリババ株は反発したとはいえ高値からの下落
率は5割を超えています。米国の大手テック銘柄と比べるとその人気離散は明
らかです。中国政府の様々な締め付けで成長期待が大きく後退したことが原
因です。SBGの含み益も大きく減少しました。

保有株の含み益に比べて時価総額の評価が低すぎるというのが孫会長の主張
でしたが、実現益と含み益では大きな違いがあるということを今回露になり
ました。

同じ投資事業を本業とするバークシャー・ハサウェイが保有する大手テック株
はアップルだけです。そのアップルはGAFAMの中でも今回最も下げ幅が少な
かった銘柄です。また日本の五大商社株を2019年から2020年にかけて5%取得
しましたが、今では2割を超える大きな利益になっています。

投資事業でも上場株の中で成長性よりも安定性を重視するバークシャー・ハサ
ウェイに対して未公開株という成長期待は高いがハイリスク・ハイリターンの
投資が主体のSBGの投資手法が大きな違いがあります。金融政策が転換期を迎
え成長期待の高い株がもてはやされた時期は過ぎ同じ成長株でも確実に利益成
長が明らかな銘柄に利があるように思えます。

創業間もない米YAHOOに投資し巨額な利益を上げ日本ではボーダフォンを買収
して通信事業に乗り出し、これも大成功を収めました。現状では大きく含み益を
減らしたとはいえ中国のアリババへの投資は孫氏最大の成功案件です。しかしビ
ジョンファンドを始めてからどうも孫氏の目利き力は曇ってきてしまったように
感じます。決算発表は8日ですが、さてどんなことを語るのでしょうか。
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