50文使って10文を探す

2009-03-19 14:49:44 | 塾あれこれ
島田紳介の『開運なんでも鑑定団』で
橋本関雪の絵の鑑定依頼が放送されました。
めでたく本物。

絵の題材である故事を鑑定士が紹介され
それをウロオボエながら以下に書いてみます。

川に10文のお金を落とした人がおりそれを探すのに
50文で照明用のマキを買ったというのです。
現代の私達では行わない損な行為で故事となるくらい
ですから昔の人も普通ではないと思ったのでしょう。

さて、故事の教えるところは
落とした人にとっては40文の損であるが、その時に
探さないと10文は社会から消える恐れがあります。
マキ代の50文はそれを売った人に残るから社会全体
からみると損ではなく落とした人が社会に購った形に
なる、というのです。
個より公を優先させた立派な行為で決して愚ではない
という教えです。

ケインズが聞いたらさぞ喜びそうな、現代でも通じる
寓話ですね。

自分の金儲けしか考えないAIGの連中に関雪の絵を
進呈したいものです。


とはいえ現在の経済学からするとちょっと物足りない
話になります。
それはエコの側面。

金さえ落とさなかったらマキの浪費が防げたのです。

そう。現在の教訓は「落とすな」

でもこういう経済はマキを燃やす経済よりも縮小型。

小さくなった分、商品の単価を上げれば経済の規模は
維持できますが、常にインフレの危険があります。
また、社会に格差を生みやすい経済でもあります。

縮小して均衡をとらないといけないのです。
エコロジーからの要請が警報のベルを鳴らしているの
です。

例えば、ナショナルジオグラフィックといういかにも
アメリカ型文化雑誌ですら、ずっと警鐘を鳴らして
いますよね。

それに社会情勢も競争=格差の軋みが無視できない
ところにきています。

経済縮小はダイエト以上に難しいと思います。
従って徐々に進めねばならず、その分緊急な課題に
なっているのです。


10文を落とさない社会。
無駄なマキを燃やさないで済む社会。
インフレのない社会。

これらを子供にも上手に伝えたいものです。

特にインフレは弱者の財産を強者が吸い上げること
を若者に教えないといけませんね。


競争か平等か
格差是正か自己責任か
近代から数百年の課題ですから私の手に余ることです。

でもこれらについても個人としての考え方をしっかりと
しておかねばなりません。
そうしないと、自分の考えを生徒に押し付けることに
なるからです。
無意識が罪を作ります。

自覚的であれば他者に正当な距離を保てるのですから。


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