大寺学校

2008-03-08 14:26:43 | 塾あれこれ
久保田万太郎は明治二十二年浅草生まれ。
小説、脚本、俳句など素晴らしい作品が多くあります。
落語などもツウであったようですね。

大芸術家ではないかもしれませんが、日本の良さを
教えてくれる人物でした。

彼の戯曲『大寺学校』をNHKが放映しました。
新派から大矢市次郎を主役に招き文学座が公演した
もので、たしか昭和42年の舞台です。
戯曲そのものは昭和2年に発表されています。

大矢市次郎の名優振りがよくわかるビデオですが
相手役の三津田健もなかなか。
といってもご存知の方は少ないかなあ。
カミサンは私より十歳下ですのでこれらの名前に
あまりなじみが無いそうです。

昔はNHKで新派をよく放送しましたから
大矢市次郎は好きな俳優として記憶にあります。
改めて名優と思いました。

以下脚本の内容に触れますのでネタバレという
ことになるかもしれません。
改めてご覧になる方もいないでしょうから
たまにはスジの話もしてみたくなりました。

もっとも現代の目から見ると地味な作品ですから
上手く伝えられるか確信はもてません。


現在は欧米風に「熱演」しないとダメらしいですね。
髪フリ乱し、わーわーと。
転げまわって大泣きする風なのが受けるようです。
△メソドとか○○ステューディオとかね。

それもよろしいのですが、それだけでは伝えられない
世界もあり、これは表現が難しい。
見る側も頭や心のテンションを上げねばなりません。

客に受けないのであれば余計に希少な世界になりそう
ですね。
ふっと見せるまなざしだけで芝居をするスゴザが
昔はあったという話です。


舞台は明治。
代用学校というものがあったそうです。
公立の学校が整備されるまでの間、私立の学校で
代用することを認められていたようです。

現在の塾に近い経営形態ではなかったでしょうか。
というか江戸時代の寺子屋の生き残りかな?

舞台では大矢校長の代用学校が一時の勢いがなくなり
経営が傾きかけています。
そのうえ近々公立の学校が出来そうだというウワサで、
知らないのは人の良い校長ばかり。
新しい流れに乗れないため、若い先生もあきれている
老校長が、ガンコ一徹に頑張っているのです。
けれども公立の学校ができればそれで終り=確実に。

(すみません。時間切れ)