goo blog サービス終了のお知らせ 

語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~

2015年05月25日 | 批評・思想
 (承前)

 (10)古賀茂明・古賀茂明政策ラボ代表が番組で発言した内容は、菅義偉・官房長官が言うように「事実無根」なのか。
 「文藝春秋」2015年5月号で、上杉隆・自由報道協会事務局長/「NO BORDER」代表取締役がこの問題をめぐる詳細なレポートを寄稿している。その中で、先の「イスラム国」をめぐる発言に関して次のように書いている。
 「放送を見ていた官房長官の秘書官から局幹部に抗議のメールが届いたという情報がスタッフの間で広まった。菅は、会見で圧力をかけたという話を完全に否定し、テレ朝も当の秘書菅も事実でないと本誌(文藝春秋)に回答する。しかし、古賀氏が3月27日の放送で『官邸の皆さんからバッシング』と発言したのは、この情報も影響しているのだろう」
 この点は、今回の問題の核心でもある。
 神保太郎・「世界」誌「メディア時評」者もテレ朝に確認してみた。すると、上杉局長のいわゆる「抗議メール情報」が広まったのは事実だという。
 してみると、菅官房長官自身の会見発言こそ虚偽であり、それを放送したテレビ局も菅発言の裏をとらずに誤報を流したことになる。

 (11)そもそも、仮に圧力を加えたところで、当事者が「圧力」と認めるはずはない。それは安倍晋三・首相が証明している。
 いまから遡ること10年前の2005年1月に発覚した、旧日本軍慰安婦を取り上げた「NHK番組改変問題」はその典型例だ。2001年1月の番組放送前日、安倍晋三・内閣官房副長官(当時)は、松尾武・NHK放送総局長と面会し、「公平・中立に」と求め、その後には大幅な映像削除・改変が行われた問題だ。
 むろん、安倍首相は「圧力」を認めてないが、放送法4条の「政治的に公平であること」などを根拠に政府中枢の人物が個別具体的な番組内容について直接注文をつけるのは、紛れもない圧力であり、公権力による放送の自由への干渉だ。
 この事実は、放送当時の番組ディレクターだった人物が内部告発をしたことによって明るみに出た。
 しかし、NHKという組織そのものは、安倍首相による「政治圧力」を認めていない。今回のテレビ朝日の反応とそっくりだ。

 (12)ある関係者は、「古賀さんの降板は、昨年末にはその流れがあった」と明かす。
 「もう呼ぶな」という話はすでにできたいた、というのだ。そこで、4月という番組改編期を区切りとしたのではないか。
 関係者によると、早河洋・テレビ朝日会長は報ステの原発問題に関する厳しい追及姿勢に頭を抱えていたらしい。
 たしかに、県民健康管理調査の甲状腺検査をめぐる福島県の不誠実な姿勢を取り上げた報道など、優れた内容が多かった。当然、政府や県から睨まれる。
 絶妙なバランスの中で続けてきた原発報道だったが、一方で、それを早河会長が大勢の職員がいる中で露骨に批判したこともある、という。
 古賀代表が原発即時廃止論者であることは言わずもがな。先の上杉レポートでは、他番組に出演中の古賀代表に、古館キャスターがスタッフをさしむけ、原発問題で助言を求めた、というエピソードが書かれている。
 それを支えたのは、名チーフプロディーサーだ(同じく番組を外され、4月から経済部長になった)。ある意味で、報ステのジャーナリズムを牽引した人物だ。
 早河会長は、表向き確認されただけでも、安倍首相と2回会食を重ねている(2013年3月と2014年7月)。いずれも見城徹・放送番組審議会委員長/幻冬舎社長が同席。2回目には、吉田慎一・テレビ朝日新社長(朝日新聞出身)もいた。
 安倍首相との距離が問われる中で、あまりにも無神経というしかない。
 原発再稼働を目指す安倍首相に共鳴する早河会長が、チーフプロデューサーや古賀代表のクビを狙っていた・・・・と勘ぐられても仕方ない。 

 (13)チーフプロデューサーなどを番組から外す口実を与えたのは、九州電力川内原発をめぐるニュース(2014年9月10日放送)の扱いだったのではないか。
 田中俊一・原子力規制委員会委員長が、記者会見で竜巻の影響評価ガイドに係る質問に答えた。にもかかわらず、火山に係る発言になるよう編集して報じた。記者とのやりとりを省略し、田中委員長が複数への質問への回答を拒んだかのような編集を行った。
 テレビ朝日は、この報道に対して番組内で謝罪するとと共に、プロデューサーら計7人を処分した。
 さらに、今年2月、BPOが「客観性と正確性、公平性を欠いた放送倫理違反」とする意見書を出した。・・・・あろうことか、BPOへの審理を申し立てたのは、ほかならぬテレビ朝日だった、という。
 経営陣は、この報道を奇貨として問題とし、恵村順一郎・朝日新聞論説委員を含む報ステの「顔」(3人)を外すという体制刷新を図った・・・・そういうシナリオが作られた、と推定される。
 古賀代表が番組の中で、「プロデューサーが今度、更迭されるというのも事実です」と明かし、古館キャスターが「更迭ではないと思いますよ」と反論しているが、異動の背景を踏まえれば、更迭人事といても過言ではない。

 (14)以上のような事情は、本来であればすべて「水面下」に隠され、視聴者には知らされないまま4月を迎えたはずだ。しかし、最後の最後でそれを白日の下にさらした・・・・これが古賀発言の本質だ。
 古賀代表は、朝日新聞の取材に対して、「(テレビ局側に)政府批判を自粛するムードが広がっている。背後には政権与党の(テレビ局への)圧力と懐柔があると考えている。この二つを伝えたかった」と語っている。
 自民党情報通信戦略調査会の聴取に素直に応じる姿勢を見せた福田テレ朝専務の表情がテレビ・ニュースで流れた。政権与党による「圧力」というより、むしろ、テレ朝経営陣による安倍政権への同調というのが真相ではないか。もはや「萎縮」という言葉では説明できない。

 (15)吉田テレ朝社長の声が聞こえてこないのはなぜか。
 吉田社長は、駆け出し記者時代に、木村守江・福島県知事の汚職を追及し、「木村王国の崩壊」を描いた(新聞協会賞受賞)。同一人物とは思えない吉田社長の沈黙は、今日のメディア状況を示唆しているとも言える。

□神保太郎「メディア批評第90回」(「世界」2015年6月号)の「(2)報ステ・古賀発言の本質」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】宮沢賢治「蠕虫舞手《アンネリダタンツエーリン》」 ~水のなかでダンス~

2015年05月24日 | 詩歌
   (えゝ 水ゾルですよ
    おぼろな寒天《アガア》の液ですよ)
 日は黄金《きん》の薔薇
 赤いちひさな蠕虫《ぜんちゆう》が
 水とひかりをからだにまとひ
 ひとりでをどりをやつてゐる
   (えゝ 8《エイト》 γ《ガムマア》 e《イー》 6《スイツクス》 α《アルフア》
    ことにもアラベスクの飾り文字)
 羽むしの死骸
 いちゐのかれ葉
 真珠の泡に
 ちぎれたこけの花軸など
   (ナチラナトラのひいさまは
    いまみづ底のみかげのうへに
    黄いろなかげとおふたりで
    せつかくをどつてゐられます
    いゝえ けれども すぐでせう
    まもなく浮いておいででせう)
 赤い蠕虫舞手《アンネリダタンツエーリン》は
 とがつた二つの耳をもち
 燐光珊瑚の環節に
 正しく飾る真珠のぼたん
 くるりくるりと廻つてゐます
   (えゝ 8《エイト》 γ《ガムマア》 e《イー》 6《スイツクス》 α《アルフア》
   ことにもアラベスクの飾り文字)
 背中きらきら燦《かがや》いて
 ちからいつぱいまはりはするが
 真珠もじつはまがひもの
 ガラスどころか空気だま
   (いゝえ それでも
    エイト ガムマア イー スイツクス アルフア
    ことにもアラベスクの飾り文字)
 水晶体や鞏膜《きようまく》の
 オペラグラスにのぞかれて
 をどつてゐるといはれても
 真珠の泡を苦にするのなら
 おまへもさつぱりらくぢやない
     それに日が雲に入つたし
     わたしは石に座つてしびれが切れたし
     水底の黒い木片は毛虫か海鼠《なまこ》のやうだしさ
     それに第一おまへのかたちは見えないし
     ほんとに溶けてしまつたのやら
 それともみんなはじめから
 おぼろに青い夢だやら
   (いゝえ あすこにおいでです おいでです
    ひいさま いらつしやいます
    8《エイト》 γ《ガムマア》 e《イー》 6《スイツクス》 α《アルフア》
    ことにもアラベスクの飾り文字)
 ふん 水はおぼろで
 ひかりは惑ひ
 虫は エイト ガムマア イー スイツクス アルフア
    ことにもアラベスクの飾り文字かい
    ハツハツハ
   (はい まつたくそれにちがひません
    エイト ガムマア イー スイツクス アルフア
    ことにもアラベスクの飾り文字)

□宮沢賢治「蠕虫舞手《アンネリダタンツエーリン》」(『心象スケッチ 春と修羅』、1924)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】宮沢賢治「高原」 ~方言~
【詩歌】宮沢賢治「原体剣舞連」
【詩歌】宮沢賢治「烏百態」
【詩歌】宮沢賢治「風の又三郎」
【詩歌】宮沢賢治「星めぐりの歌」
【詩歌】宮沢賢治「種山ヶ原」 ~ドヴォルザーク「新世界より」~
【詩歌】砂漠のバラード

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~

2015年05月24日 | 批評・思想
 (1)「世界」6月号において神保太郎「メディア批評」は、「(2)報ステ・古賀発言の本質」で、4節に分けて論じている。
    ①「スタジオに走った緊張」
    ②「放送法と権力」
    ③「降板は前から決まっていた」
    ④「政権に同調する経営陣」
 ふつうの市民がメディア(テレビや新聞)をどう評価するか、というモデルにもなる批評だ。前半(①と②)、後半(③と④)の2回に分けて取りあげる。テレビや新聞がたれ流す言葉の海から事実をどう抽出するか、という観点から見る。

 (2)3月27日、古賀茂明・古賀茂明政策ラボ代表/元経済産業省キャリア官僚が、「報道ステーション」(テレビ朝日の看板報道番組)に出演した際、官邸による圧力によって降板させられた、と突然、告発した。
 古賀代表は、金曜日のゲスト・コメンテーターとしてたびたび出演してきたが、「最後の出演」で一矢を放った。

 (3)古賀代表は、かねてから安倍政権にきわめて厳しい発言を繰り返していた。今年1月、「イスラム国」によって日本人二人が人質として拘束され、処刑された。この事件後、1月23日の同番組で政府の危機対応を批判し、「I am not ABE」と発言した。
 人質事件の直前、仏週刊新聞「シャルリ・エブド」編集部襲撃事件をうけて広がった、同紙を指示する人びとの合い言葉を念頭に置いたものだろう。
 古賀代表がアレンジしたキャッチフレーズの反響も大きく、ソーシャルメディアなどを通して支持を集めた一方、政権サイドから強い批判を招いた、といわれる。

 (4)事前の打ち合わせにない古賀政策ラボ代表の発言に慌てたのか、古館伊知郎・キャスターは「今の話、私としては承服できません」と封じ込めようとした。
 生放送に慣れているはずの古館キャスターの狼狽した表情から、むしろ古賀代表が真実を語っているのでは、と視聴者は受け止めたのではないか。テレビというメディアの特性が明かす「真実」なのかもしれない。

 (5)この二人のやりとりは、週刊誌などで「古賀茂明vs.古館伊知郎」などと面白おかしく取り上げられた。
 だが、もっとも腹を立てたのは、「ものすごいバッシングを受けてきた」と実名を上げられた菅義偉・官房長官かもしれない。
 3月30日の記者会見では、「事実に全く反するコメント。まさに公共の電波を使った報道として、極めて不適切だ」と批判し、「放送法という法律がありますので、まず、テレビ局がどう対応されるかをしばらく見守りたい」と矛先をテレビ朝日に向けた。
 放送法4条は、「報道は事実をまげないですること」と定めている。この規定を念頭に置いたものと思われる。

 (6)菅官房長官の批判に対して、同31日の記者会見で、早河洋・テレビ朝日会長は、
 「視聴者には理解できないことだったと思う。予定にはない、ハプニング的なことで遺憾に思っている。適切な放送ではないと思っている。番組進行上、ああいう事態に至ったことをおわびしたい。菅官房長官の名前も出てきたが、そういった方々にはお詫びしないといけないという心境です」
と述べた。
 早河会長は、佐藤孝・古館プロジェクト会長とともに、番組中「両氏の意向で今日が最後ということなんです」などと言及された当事者でもある。

 (7)菅官房長官は、第一次安倍内閣(2006年9月~07年8月)で総務大臣を務めた。任期中、関西テレビ(フジテレビ系列)の人気番組だった「発掘!あるある大事典Ⅱ」で「納豆ダイエット」のデータ捏造事件が起きた。第一次安倍政権は、テレビ局への露骨な番組関与が特徴で、行政指導を繰り返した。)菅官房長官は、「あるある事件」を好機とし、虚偽報道に対しては、総務大臣がテレビ局に再発防止計画の提出を要求する行政処分ができるような放送法改正案を国会提出した。
 この改正案は、2007年の参院選で民主党が勝利したことにより廃案となった。
 しかし、放送界は、第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)内に新たに「放送倫理検証委員会」を設け、自主規制を強化した。
 この時の日本民間放送連盟会長は、広瀬貞道・テレビ朝日会長。早河会長は、当時専務で、2009年、広瀬会長と同じく朝日新聞出身だった君和田正夫・社長の後任社長となる。
 早河会長の「全面降伏」は、菅官房長官の豪腕を間近で見てきたことも背景にあるかもしれない。

 (8)自民党情報通信戦略調査会(川崎二郎・会長/元厚生労働大臣)は、4月17日、この「報ステ」問題で、福田俊男・テレビ朝日専務を呼び、事情を聞いた。
 毎日新聞は、この会合のあった翌18日、朝刊一面トップで「BPOに政府関与検討」という見出しで報じた。川崎会長が記者団に語った、というもので、BPOを放送局から独立した法律に基づく組織としたり、委員に政府側の人間や官僚OBを入れる案があることを党幹部の話として伝えている。

 (9)もともと日本の放送局は、連合国の占領下では政府から独立した「電波管理委員会」が監督していた。講和条約発行後、すぐに政府(当時は郵政相)が直接、放送免許を与える制度に変更された。政府の強い権限下にある、という特徴があり、政府の意向を受けやすい、と言われる。
 早河会長の謝罪は、何の沈静効果ももたらさないまま、政府のさらなる干渉に道を開きかねない事態へと問題は広がりつつある。

□神保太郎「メディア批評第90回」(「世界」2015年6月号)の「(2)報ステ・古賀発言の本質」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】木下杢太郎「金粉酒」 ~五月~

2015年05月23日 | 詩歌
 Eau-de-vie de Dantzick (オオ ド ヰイ ド ダンチック)
 黄金(こがね)浮く酒、
 おお五月(ごぐわつ)、五月、小酒盞(リケエルグラス)、
 わが酒舗(バア)の彩色玻璃(ステエンドグラス)、
 街にふる雨の紫。

 をんなよ、酒舗(バア)の女、
 そなたはもうセルを着たのか、
 その薄い藍の縞を?
 まつ白な牡丹の花、
 触(さ)はるな、粉が散る、匂ひが散るぞ。

 おお五月、五月、そなたの声は
 あまい桐の花の下の竪笛(フリウト)の音色(ねいろ)、
 若い黒猫の毛のやはらかさ、
 おれの心を熔(と)かす日本(につぽん)の三味線。

 Eau-de-vie de Dantzick(オオ ド ヰイ ド ダンチック)
 五月だもの、五月だもの--

 *

 金粉酒・・・・リキュールに金粉を混ぜたもの。リキュールは、アルコールに砂糖・植物性香料などを混ぜた酒。
 Eau (オオ)- de ( ド ) - vie ( ヰイ ) de ( ド ) Dantzick ( ダンチツク ) .・・・・金粉酒の名。
 小酒盞・・・・リキュールの入ったグラス。
 彩色玻璃・・・・ステンドグラス。
 セル・・・・毛織物の一種。肌ざわりがよく、初夏に着る。
 粉・・・・花粉。
 竪笛・・・・フルート。

□木下杢太郎「金粉酒」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【古賀茂明】「再エネ」産業が終わる日 ~電源構成の政府案~

2015年05月23日 | 社会
 (1)2030年の電源構成に係る政府案が間もなく決まる。
    原発比率 20~22%
    再生可能エネルギー 22~24%
という数字ばかりが報じられるが、実はその決定によって
    「日本の自然エネルギー産業発展の道がほぼ閉ざされようとしている」
ということはほとんど報じられていない。

 (2)原子力ムラは、「2030年22%でも野心的な案だ」という。
 しかし、各国の総発電量に占める自然エネルギーによる発電量(2014年上半期)の割合は、
    ドイツ 30%
    イギリス 18%
    スペイン 50%
    イタリア 40%
    フランス 20%
    デンマーク 風力だけで41%
 不安定で大量導入はできない、とされる太陽光と風力だけを見ても、2013年の時点において既に、主要な欧州諸国は軒並みに10%超だ。
    スペイン 20%
    ポルトガル 20%
    デンマーク 30%超
 ドイツの風力発電の容量は、2014年末に3,823万kW(原発38基分)だ。
 そしてドイツは、自然エネルギー比率を2030年に50%、2050年には80%にする計画だ。
 イギリスでさえ、2020年の目標が31%だ。

 (3)こうした動きは先進国だけではない。2014年に中国で新たに導入された水力、風力および太陽光発電の容量は
    5,200万kW(原発52基分)
にのぼる。風力だけでもら1年で
    1,400万kW(原発14基分)
が建設された、という。むろん、この建設のスピードは原発建設より何倍も速い。

 (4)日本の2030年の計画は、
    太陽光と風力の合計でわずか9%弱
にとどまる。
    地熱、水力、バイオマスで最大15%程度
を確保するものの、
    2013年度に約11%
だった自然エネルギーの割合を
    2030年まで15年かけてやっと2割程度
に引き上げるだけだ。これは、欧州の数年前のレベルだ。しかも、中国よりはるかに遅れた計画だ。

 (5)(4)のような試算になってしまう理由として、
    自然エネルギーは「高い」から、増やすと経済に影響がある
という前提がある。しかし、実際には、
    風力発電は世界中でコストが下がり、石炭火力よりも安い
のが常識。自然エネルギー先進国では、太陽光発電も火力より安くなる国が増えている。
 また、天候に左右されて不安定な太陽光と風力は5%から10%までが限界だ、という「神話」が日本だけに残っている。20年前に欧米で崩壊した神話をいまだに信じているのだ。

 (6)では、諸外国ではなぜ20%超の導入が普通に行われているのか。最大の要因は、     
    ①発送電分離
    ②小売りの自由化 
だ。この二つがセットで行われると、電力を小売りする企業は、とにかく1円1銭でも安い電気を調達しようとする。その結果、既存電源にこだわらず、安い新規参入者の電気を買うのだ。
 不安定な電源だからといって、買い取りを「拒否」している日本の電力会社は、殿様商売にほかならない。欧州の企業は、不安定でも何とかそれを使おうと必死の努力をしたから、そのための技術が急速に発達した。
 10%が限界だなどと言っている日本の電力会社は、今や、世界の笑い物だ。

 (7)いまだに発送電分離さえ実現できず、世界の先進国が最も有望な成長分野だとしてしのぎを削る自然エネルギー産業で、一人蚊帳の外に置かれた日本。そして、それに気づかない官僚と政治家たち。
 日本中枢の質は、世界から見て、異様なまでに劣化している。    

□古賀茂明「「再エネ」産業が終わる日 ~官々愕々第153回~」(「週刊現代」2015年5月30日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【古賀茂明】「増税先送り」「賃金増」のまやかし ~報道をどうチェックするか~
【古賀茂明】週末や平日夜間に開催 ~地方議会の改革~
【古賀茂明】原発再稼働も上からの目線で「粛々と」 ~菅官房長官~
【古賀茂明】テレビコメンテーターの種類 ~テレ朝問題(7)~
【報道】古賀氏ら降板の裏に新事実 ~テレ朝問題(6)~
【古賀茂明】役立たずの「情報監視審査会」 ~国民は知らぬがホトケ~
【報道】ジャーナリズムの役目と現状 ~テレ朝問題(5)~
【古賀茂明】氏を視聴者の7割が支持 ~テレ朝問題(4)~
【古賀茂明】氏、何があったかを全部話す ~テレ朝「報ステ」問題(3)~
【古賀茂明】氏に係る官邸の圧力 ~テレ朝「報道ステーション」(2)~
【古賀茂明】氏に対するバッシング ~テレ朝「報道ステーション」問題~
【古賀茂明】これが「美しい国」なのか ~安倍政権がめざすカジノ大国~
【古賀茂明】原発廃炉と新増設とはセット ~「重要なベースロード電源」論~
【古賀茂明】改革逆行国会 ~安倍政権の官僚優遇~
【古賀茂明】安部総理の「大嘘」の大罪 ~汚染水~
【古賀茂明】「政治とカネ」を監視するシステム ~マイナンバーの使い方~
【古賀茂明】南アとアパルトヘイト ~曽野綾子と産経新聞~
【古賀茂明】報道自粛に抗する声明
【古賀茂明】「戦争実現国会」への動き
【古賀茂明】日本人を見捨てた安倍首相 ~二つのウソ~
【古賀茂明】盗人猛々しい安倍政権とテレビ局
【古賀茂明】安倍政権が露骨な沖縄バッシングを行っている
【古賀茂明】官僚の暴走 ~経産省と防衛省~
【古賀茂明】安倍政権が、官僚主導によって再び動き出す
【古賀茂明】自民党の圧力文書 ~表現の自由を侵害~
【古賀茂明】自民党が犯した最大の罪 ~自民党若手政治家による自己批判~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走 ~傾向と対策~
【古賀茂明】解散と安倍政権の暴走
【古賀茂明】文書通信交通滞在費と維新の法案
【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~
【古賀茂明】再生エネルギー買い取り停止の裏で
【古賀茂明】女性活用に本気でない安部政権
【古賀茂明】【原発】中間貯蔵施設で官僚焼け太り
【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~
【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~
【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~
【古賀茂明】【原発】原子力ムラの最終兵器
【古賀茂明】【原発】凍らない凍土壁に税金を投入し続けたわけ
【古賀茂明】【原発】勝俣恒久・元東電会長らの起訴 ~検察審査会~
【古賀茂明】安倍政権の武器輸出 ~時代遅れの「正義の味方」~
【古賀茂明】またも折れそうな第三の矢 ~医薬品ネット販売解禁の大嘘~
【古賀茂明】「1年後の夏」に向けた布石 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】法人減税で浮き彫りにされる本当の支配者 ~官僚と経団連~
【古賀茂明】都議会「暴言問題」の真実 ~記者クラブによる隠蔽~
古賀茂明】集団的自衛権とワールドカップ
【古賀茂明】野党再編のカギは「戦争」
【古賀茂明】電力会社の歪んだ「競争」 ~税金をもらって商売~
【原発】【古賀茂明】規制委員会人事とメディアの責任
【古賀茂明】医師と官僚の癒着の構造
【古賀茂明】電力会社「値上げ救済」の愚 ~経営難は自業自得~
【古賀茂明】竹富町「教科書問題」の本質 ~原発推進教科書~
【古賀茂明】安部総理の「11本の矢」 ~戦争国家への道~
【古賀茂明】理研は利権 ~文科官僚~
【古賀茂明】「武器・原発・外国人」が成長戦略 ~アベノミクスの今~
【古賀茂明】マイナンバーを政治資金の監視に ~渡辺・猪瀬問題~
【古賀茂明】東電を絶対に潰さずに銀行を守る ~新再建計画~
【古賀茂明】「避難計画」なき原発再稼働
【古賀茂明】「建設バブル」の本当の問題 ~公共事業中毒の悪循環経済~  
【古賀茂明】安倍政権の戦争準備 ~恐怖の3点セット~
【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
【古賀茂明】アベノミクスの限界 ~笑いの止まらない経産省~
【古賀茂明】労働者派遣法改正前にすべきこと
【古賀茂明】時代遅れな、あまりにも時代遅れな ~安部政権のエネルギー戦略~
【古賀茂明】森元首相の二枚舌 ~オリンピックの政治的利用~
【古賀茂明】若者を虜にする「安部の詐術」 ~脱出の道は一つ~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】天野忠「人形」 ~異人さんに連れられて~

2015年05月22日 | 詩歌
 街の大通りの
 有名な古美術商の飾り窓に
 大きな日本人形が飾られていた。
 由緒ある大名の鎧兜と
 高価な志那陶器の間に
 美しいキモノを着てふんわりと座っていた。
 その人形は
 ときどきピクリと眼ばたきした、そして
 何かに魅入られたようにじいっとしていた。
 沢山の通行人が立ち止まり
 しばらく愉しそうに見物し笑って去って行った。
 その日本人形は評判の娘だった。
 お茶目で、頭の弱い・・・・

 青い眼の陽気な紳士が笑いながら店へ入って来た。
 --ショウウィンドウノ、ニンギョウ
    イクラデスカ?
 --あれは売約済みです。
 この店の主人は答えた。
 口惜しそうに指を鳴らせて外国の紳士はたずねた。
 --タレニウリマシタカ?
 --神さまに・・・・。
 しずかな声で
 娘の親は答えた。

□天野忠「人形」(『天野忠詩集』(現代詩文庫)(思潮社、1986))
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】戦争に負けると ~米~
【詩歌】親をにらむと鰈になるぞ
【詩歌】猿飛佐助の一日
【詩歌】「知己」またはヤマアラシ症候群の事
【詩歌】長生きの象 ~「あっち」へ行く道~
【詩歌】山を泣きながら歩いている者 ~東洋の神秘~
【正月】日本のケストナー、天野忠の「新年の声」



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~

2015年05月22日 | ●佐藤優
(1)ピケティによって格差に日の目があたった
 格差を語る本はたくさん出版されていたが、売れない。ピケティ・ブームが起き、『21世紀の資本論』が売れたことで、格差問題が日の目を見た。【池上彰】
 小林多喜二『蟹工船』ブームは一回限りで終わった。ピケティ・ブームは一回の現象で終わらせてはいけない。さらに言えば、ピケティを超えなければならない。【佐藤優】 
 ピケティは、日本国内で評価が分かれている。経済的な格差だけでなく、格差をどう評価するか、格差の有無をめぐる意見の格差が広がっている。【池上】
 佐藤優はピケティにきわめて批判的だ。ピケティによれば、格差を無くするためには、最終的には国家が税金をたくさんとって、再分配するという話になる。それ以外にできることはないのか。池上・佐藤の対談【注1】で一つの答えを出した。【佐藤】 

(2)テレビのお笑い番組で貧困を笑えた時代
 1980年代前半のテレビ番組「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)【注2】で、明石家さんまが貧乏をネタにガンガン視聴率をとっていた。貧乏が我々から遠いところにあるからお笑いのネタになった。でも今、テレビで「あなた、貧乏なんじゃないですか?」と聞くのは禁句に近い。貧乏が迫ってきているからだ。今、日本は格差ではなく貧乏が迫ってきているのだ。【佐藤】 
 児童養護施設の実態を非常に大げさに描いたドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系)【注3】が大騒ぎになった。これをきっかけに、児童養護施設の現状を少しみんなが見るようになった。貧困の連鎖は続くのだ。親が貧困であるがゆえに、子供に対する教育ができない。教育どころか、親が姿を消してしまって、子どもが取り残される状態で貧困に陥ることもある。【池上】
 この問題は池上さんたちの『子どもの貧困』【注4】をぜひ読んでもらいたい、【佐藤】 

(3)目に見えない貧困の広がりと、目に見えない理由
 目に見えない貧困がものすごく広がって、非常に深刻な状況になっている。見えない理由の一つは、メディアという職業がエリートの職業になってしまったから。昔は、食い詰めて就職口がないような人がメディアの世界に入ってきたが、今はエリートが入ってくるようになった。だから、新宿でホームレスを見ても、“見えない”。【池上】
 貧困が見えなくなったもう一つの理由に、中学受験が盛んになり、中高一貫校に入る人が増えたことがある。自分と同じような環境の人ばかりで、ほとんど貧しい人がいない。そういう環境で育ったエリートが世の中に出ていくから、何も見えないのだ。【池上】
 今のいわゆる進学校は、「受験刑務所」みたいになっている。特に、新興の中高一貫校がひどい。数学にあまり資質のない生徒は、最初から私立文系と決めつけて、中学のときからお情けで数学の単位を与えてしまう。だから、実質の数学力は、小学生のレベルにとどまっている。その代わりに、特に英語に特化した授業をやる結果、大学生になってから極度にできないところがある人間となり、教養の水準が落ちてしまう。【佐藤】 
 ひたすら効率よく東京大学を突破するような教育をやっている学校もあって、そうなると教養書なんて一切読ませない。邪魔なだけだと。【池上】

(4)かつては格差拡大を食い止めようとする仕組みがあった
 東大でいえば、かつては法学部でも、経済原論はマルクス経済学と近代経済学の二つ、勉強していた。官僚になる試験には必ずマルクス経済のものが出たので、エリートになるためには、体制とは反対の思想を勉強しなければいけなかった。それは、ヘゲモニーとなっている思想が違ったから。受験に役立つからマルクス経済学を読んでいた。すると、小役人になった後、「管理通貨制度は完全には管理できないし、市場の管理もできない。どこかに恐慌の影がある。もし恐慌を阻止しようとするなら、公共事業で戦争をやる必要があるな、公共破壊事業のようなものが必要になるな」ということが、マルクス経済学を勉強した片鱗で分かってくる。だから、やり過ぎない。【佐藤】 
 マルクス経済学を勉強していたことが、エリート官僚たちの、どこか歯止めになっていた。日本は国家独占資本主義と呼ばれたりして、さまざまなところでがんじがらめの規制はあるが、とんでもない搾取なり、格差拡大を食い止めようとする歯止めなりが、あちこちの仕組みにあった。それが行き詰まったということもあり、規制緩和へと一気に流れ、歯止めだったマルクス経済学的な知性がまったくなくなり、ブレーキが利かないまま、暴走している。【池上】

(5)貧困が教育の右肩下がりを生んでいる
 経済の右肩下がりと同様に、教育も右肩下がりになっている。世代間でいえば、私の父母の時代よりも、我々のほうが教育の水準は高い。我々は高等教育を受けているが、父母の世代は中等教育。これまでは、子どもは親の教育を超えてきたが、いま起きているのは逆の問題だ。【佐藤】 
 国際基準で考えると、大学4年間の教育期間では、足りなくなっていく。1年くらいの留学も必要になるし、修士号も取得しないといけない。そうなると、教育費は7年間分必要になる。つまり、私大だと、今の水準で650万円、国立で400万円の授業料、プラス生活費が必要になる。海外の大学へ留学させる家庭も出てくるだろうし、なにより、経済的なことが理由で子どもに進学を断念させる人が増えてくる。【佐藤】 
 親が高等教育を受けていたら、その子どもが大学に進学すべきか、就職すべきか、それとも専門学校に進学すべきか、という節目に適切にアドバイスできる。ところが、親が高等教育を受けていないと、大学がどういう場所かも分からないから、アドバイスできない。子どもが高等教育を受けるという可能性を最初から排除してしまう。その結果、夢が小さくなる。それが収入に結びついてきて、貧困のサーキュレーション(循環)になる。ここが、教育の右肩下がりで一番危険なところ。教育を受ける機会を一回外れると、その家族から貧困が再生産されていく。【佐藤】 

(6)教育こそ貧困撲滅の道
 だから今こそ、教養が必要だ。<例>連続殺人犯で死刑囚だった永山則夫は、拘置所で初めて『資本論』を読んだが、『資本論』を読んだことによって、自分がどうしてこんなに貧しかったのか、どうしてこんな事件を起こしてしまったのか、初めて客観的に知ることができた、と言っている。これを知っていたらきっと私は殺人犯にならなかっただろうと、『無知の涙』【注5】を出した。自分の置かれている環境を客観的に見るものとして、『資本論』は役立つ。【池上】
 格差を放置しておく、特に教育が経済と結びつくようになると、能力はあるのに教育を受けられないことを社会のせいだと思い詰める人が出てくる。つまり『罪と罰』のラスコーリニコフの世界だ。世の中の格差とか、構造的な貧困を一挙に解決しないといけないと思って、過激な行動に出る人は必ずいて、「イスラム国(IS)」の怖さはそこにある。そうなると、日本の社会から内発的なテロが起きてくる。テロ対策という観点からも、貧困は是正していかなくてはならない。特にインテリの貧困層が出てくると、社会をものすごく不安定にさせる。【佐藤】 
 かつてフィンランドは、ソ連が崩壊したときに経済的危機に陥り、失業者が増えた。そのとき国は、教育にお金をかけた。教育にお金をかけ、よき納税者を育て、国の財政を立て直そうとした。貧しい子どもでも、大学まで行かせることで、きちんと働くことができれば、よき納税者になる。とても明快な教育目標だった。一方、日本で、教育の目標は何か。「国を愛する心を育てる」か? 非常に曖昧だ。国は将来を考えたら、能力があるのに貧しさゆえにその先に行けない、能力が発揮できないことこそが問題だ、と考えて、仕組みを作っていくことが重要だ。【池上】

 【注1】池上彰×佐藤優『希望の資本論』(朝日新聞出版、2015)
 【注2】1981年5月16日から1989年10月14日まで毎週土曜日20:00 -20:54に放送。
 【注3】2014年1月15日から3月12日まで毎週水曜日22:00 - 23:00に放送。
 【注4】池上彰・編『子どもの貧困: 社会的養護の現場から考える 』(ちくま新書、2015)
 【注5】永山則夫『無知の涙』(河出文庫、1990)

□対談:池上彰×佐藤優「エリートには貧困が見えない」(「AERA」2015年5月25日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】宮沢賢治「高原」 ~方言~

2015年05月21日 | 詩歌
 海だべがど  おら  おもたれば
 やつぱり光る山だだぢやい
 ホウ
 髪毛  風吹けば
 鹿踊りだぢやい

□宮沢賢治「高原」(『心象スケッチ 春と修羅』、1924)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】宮沢賢治「原体剣舞連」
【詩歌】宮沢賢治「烏百態」
【詩歌】宮沢賢治「風の又三郎」
【詩歌】宮沢賢治「星めぐりの歌」
【詩歌】宮沢賢治「種山ヶ原」 ~ドヴォルザーク「新世界より」~
【詩歌】砂漠のバラード





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【米国】の教育格差 ~貧困家庭の子どもは脳まで小さい~

2015年05月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)米国は、世界最大の経済大国でありながら、ジニ係数は経済協力開発機構(OECD)諸国の中江絵も上昇率が高く、最悪レベルにある。日本と同様、親の所得によって教育格差が広がり、もやは「アメリカンドリーム」は実現し得ない、という見方が広がっている。

 (2)富裕層の親は惜しげもなく教育費をかけ続ける【注1】ため、教育格差はさらに拡大する傾向にある。
 2007年からの世界金融危機で、多くの家庭が家計を縮小させる中、全世帯の上位10%にあたる平均年収253,146ドル(30,377,520円)【注1】の高所得世帯は教育費を35%も増やし、子ども1人につき年間5,210ドル(625,200円)をかけた。残りの90%の中間・低所得層の教育費は、年間1,000ドル(120,000円)で横ばいを続けている。

 (3)有名公立校・私立校が集中するニューヨークのような地域は、家賃や土地代も高く、そこに住める家庭は必然的に高所得層だ。加えて、家庭教師代【注2】をつぎ込むほどに大学進学適性試験(SAT)の成績も上がり、有名大学に入学した後の授業での競争力も高まる。アイビーリーグ(<例>ハーバード大学)を卒業したエリートが、政界やベンチャー企業のトップなどを独占する今、高所得の職を得た若い両親が、自分の子どもに教育費を惜しまないのは当然だ。
 有名小学校が、幼稚園や2~3歳から入る保育園を経営する例は少なくない。小学校入学前から、社会性やマナーを身につけるのがねらいだ。

 (4)所得格差と闘うことを公約として当選したビル・デブラシオ・ニューヨーク市長は、4歳から入園できる「プレ・キンダーガーテン」の定員を(2015年9月までに)7万人に増やす政策を施行した。公立小学校やコミュニティセンターにクラスを新設し、親の所得によって、小学校入学前に子どもの能力・学力に差がついてしまうのを防ぐためだ。
 
 (5)ショッキングなデータがある。裕福な環境は脳を育て、貧困な環境は脳の成長を阻害する、というのだ。
 英「ネイチャー」誌によれば、キンバリー・ノーブル博士・神経科学者(コロンビア大学)らのチームが全米1,099人の子どもや若者を対象とする調査で、
    ①年収15万ドル(1,800万円)以上の裕福家庭
    ②年収2万5千ドル(300万円)未満の貧困家庭
と比べると、②の子どもたちの脳の表面積は、①の子どものそれより、最大6%小さい。
    ③年収数千ドルの最貧困家庭
となると、子どもの特に言語、読み書き、意思決定、記憶力などが低下。貧困が原因で、感性や学習能力を刺激するための玩具などが不足し、親と過ごす時間も不十分であることが悪影響を及ぼしている、という。

 (6)所得格差による子どもの脳への影響は、妊娠中から始まっている可能性がある。
 マーサ・ファラー博士(ペンシルバニア大学)らは、所得に差があるアフリカ系米国人の生後1ヶ月の女児44人の脳をスキャンしたところ、貧困層の女児の脳は、富裕層のそれよりも小さかった。

 (7)ホワイトハウスも対策に乗り出した。
 オバマ大統領は、今年1月の一般教書演説で、コミュニティカレッジの無料化を提案した。コミュニティカレッジ(イメージとしては日本の短大に相当する)の授業料は、もともと4年制大学よりもかなり安い。成績が優秀なら奨学金を得て4年制に進学できるし、医療補助職など専門資格を得るためのコースも充実し、「無料化」は斬新な教育格差是正策だ。
 ちなみに、人気俳優のトム・ハンクスも、カルフォニア州のコミュニティカレッジを学費なしで、お古の教科書を使って卒業した。

 【注1】1ドル=120円換算。以下、同じ。
 【注2】家庭教師代は、1時間あたり100~250ドル。

□津山恵子(ジャーナリスト)「「貧困家庭の子どもは脳まで小さい」という衝撃 アメリカンドリームを打ち砕く教育格差」(「AERA」2015年5月25日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】宮沢賢治「原体剣舞連」

2015年05月20日 | 詩歌
    dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah
 こんや異装〔いさう〕のげん月のした
 鶏〔とり〕の黒尾を頭巾〔づきん〕にかざり
 片刃〔かたは〕の太刀をひらめかす
 原体〔はらたい〕村の舞手〔おどりこ〕たちよ
 鴇〔とき〕いろのはるの樹液〔じゅえき〕を
 アルペン農の辛酸〔しんさん〕に投げ
 生〔せい〕しののめの草いろの火を
 高原の風とひかりにさゝげ
 菩提樹〔まだ〕皮〔かわ〕と縄とをまとふ
 気圏の戦士わが朋〔とも〕たちよ
 青らみわたるこう気をふかみ
 楢と掬〔ぶな〕とのうれひをあつめ
 蛇紋山地〔じゃもんさんち〕に篝〔かゞり〕をかかげ
 ひのきの髪をうちゆすり
 まるめろの匂のそらに
 あたらしい星雲を燃せ
    dah-dah-sko-dah-dah
 肌膚〔きふ〕を腐植と土にけづらせ
 筋骨はつめたい炭酸に粗〔あら〕び
 月月〔つきづき〕に日光と風とを焦慮し
 敬虔に年を累〔かさ〕ねた師父〔しふ〕たちよ
 こんや銀河と森とのまつり
 准〔じゅん〕平原の天末線〔てんまつせん〕に
 さらにも強く鼓を鳴らし
 うす月の雲をどよませ
    Ho!Ho!Ho!
       むかし達谷〔たった〕の悪路王〔あくろわう〕
       まっくらくらの二里の洞
       わたるは夢と黒夜神〔こくやじん〕
       首は刻まれ漬けられ
 アンドロメダもかゞりにゆすれ
       青い仮面〔めん〕このこけおどし
       太刀を浴びてはいっぷかぷ
       夜風の底の蜘蛛〔くも〕おどり
       胃袋はいてぎったぎた
    dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah
 さらにただしく刃〔やいば〕を合〔あ〕わせ
 霹靂〔へきれき〕の青火をくだし
 四方〔しほう〕の夜〔よる〕の鬼神〔きじん〕をまねき
 樹液〔じゅえき〕もふるふこの夜〔よ〕さひとよ
 赤ひたたれを地にひるがへし
 雹雲〔ひゃううん〕と風とをまつれ
    dah-dah-dah-dahh
 夜風〔よかぜ〕とどろきひのきはみだれ
 月は射〔ゐ〕そそぐ銀の矢並
 打つも果〔は〕てるも火花のいのち
 太刀の軋〔きし〕りの消えぬひま
    dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah
 太刀は稲妻〔いなづま〕萱穂〔かやほ〕のさやぎ
 獅子の星座〔せいざ〕に散る火の雨の
 消えてあとない天〔あま〕のがはら
 打つも果てるもひとつのいのち
    dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah

□宮沢賢治「原体剣舞連 (mental sketch modified)」(『心象スケッチ 春と修羅』、1924)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】宮沢賢治「烏百態」
【詩歌】宮沢賢治「風の又三郎」
【詩歌】宮沢賢治「星めぐりの歌」
【詩歌】宮沢賢治「種山ヶ原」 ~ドヴォルザーク「新世界より」~
【詩歌】砂漠のバラード


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~

2015年05月20日 | ●佐藤優
 (1)ローマ教皇(法王)庁(バチカン)が、キューバに対して積極的な外交攻勢をかけている。
 5月10日、ラウル・カストロ・キューバ国家評議会議長がバチカンを訪問し、フランシスコ教皇と会見した。

 (2)<カストロ議長のこのたびのバチカン訪問は私的な性格のもので、パウロ6世ホールの執務室で行われた教皇との会談は、和やかな雰囲気のもと、およそ50分に及んだ。
 訪問後、カストロ議長が報道関係者に語ったところによれば、議長はこの会談で、キューバと米国の国交正常化に教皇が積極的に果たした役割に感謝を述べた。
 また、教皇が9月に予定しているキューバ訪問に対する国民の期待と準備を伝えたという。>【注1】
 ここで重要なのは、カストロ議長の訪問が「私的な性格のもの」と位置づけられていることだ。
 「私的な性格のもの」であるにもかかわらず、記者会見など派手な演出を行った。なぜか。それは、米国とキューバの国交正常化交渉においてバチカンが重要な役割を果たしたことを可視化させたいからだ。
 フランシスコ教皇は、9月にキューバを訪問する。その際に、キューバが無神論的政策を放棄し、宗教自由化に踏み込む・・・・といった問題についても、このたびフランシスコ教皇とカストロ議長の間で話し合われたのではないか。

 (3)<続いて、ホールの応接室で、教皇はキューバの閣僚評議会副議長、外相ら、随行の政府関係者らともお会いになった。
 この出会いで、カストロ議長は教皇に、ハバナ司教座大聖堂の記念メダルと、現代画家による絵を贈った。この画は難破船の残骸で作られた大きな十字架の前で、一人の移民が祈っている様子を表現しており、難民・移民問題に対する教皇の取り組みに喚起されたものという。>【注2】
 現時点での米国・キューバ間の最大の懸案事項は、共産主義体制を嫌ってキューバから米国に難民となって亡命した人々が、依然としてキューバに対して激しい敵意を持っていることだ。
 元難民にして現在は米国のキューバ系市民の、感情を取りなすための助力をカストロ議長がフランシスコ教皇に依頼したとも考えられる。
  
 (4)<一方、教皇の側からは、ご自身の使徒的勧告『福音の喜び』と、聖マルチノ・トゥール司教を描いた大きなメダルが贈られた。聖マルチノが貧しい人を自らのマントで覆う場面を浮き彫りにしたこのメダルについて、教皇は、貧しい人を助けることはもとより、これらの人々に尊厳を与えることの大切さが込められていると説明された。>【注3】
 この使途的勧告『福音の喜び』で、フランシスコ教皇は、教会、聖職者、そしてすべての信者に、自分自身の殻に閉じこもることなく外へと出向いて行き、弱い立場にある人、苦しむ人、貧しい人、すえての人に福音を伝えるよう強く促している。
 社会主義国キューバは、貧しい人の味方であることを看板にしている。
 フランシスコ教皇は、キューバの国家体制がキリスト教と矛盾しない、というシグナルを発したのだ。

 【注1】記事「教皇、キューバのカストロ議長と会談」(「バチカン放送局」日本語版ウェブサイト 2015年5月10日)
 【注2】前掲記事。
 【注3】前掲記事。

□佐藤優「米・キューバ関係 バチカンの果たす「役割」 ~佐藤優の人間観察 第113回~」(「週刊現代」2015年5月30日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】宮沢賢治「烏百態」

2015年05月19日 | 詩歌
 雪のたんぼのあぜみちを
 ぞろぞろあるく烏なり

 雪のたんぼに身を折りて
 二声鳴けるからすなり

 雪のたんぼに首を垂れ
 雪をついばむ烏なり

 雪のたんぼに首をあげ
 あたり見まはす烏なり

 雪のたんぼの雪の上
 よちよちあるくからすなり

 雪のたんぼを行きつくし
 雪をついばむからすなり

 たんぼの雪の高みにて
 口をひらきしからすなり

 たんぼの雪にくちばしを
 じつとうづめしからすなり

 雪のたんぼのかれ畦に
 ぴよんと飛びたるからすなり

 雪のたんぼをかぢとりて
 ゆるやかに飛ぶからすなり

 雪のたんぼをつぎつぎに
 西へ飛びたつ烏なり

 雪のたんぼに残されて
 脚をひらきしからすなり

 西にとび行くからすらは
 あたかもごまのごとくなり

□宮沢賢治「烏百態」(『新修宮沢賢治全集』第6巻)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】宮沢賢治「風の又三郎」
【詩歌】宮沢賢治「星めぐりの歌」
【詩歌】宮沢賢治「種山ヶ原」 ~ドヴォルザーク「新世界より」~
【詩歌】砂漠のバラード


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~

2015年05月19日 | ●佐藤優
 (承前)

 (5)日米安全保障条約との整合性においても、奇妙な出来事が起きている。 
 4月27日、米国ニューヨークで外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれ、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改訂について合意された(改訂は18年ぶり)。
 新ガイドラインのいちばんの特徴は、日米安保条約に基づいて自衛隊が米軍を後方支援する範囲を、
    朝鮮半島有事、台湾海峡有事など事実上、日本周辺に限定していた「周辺事態」
という文言を削除し、自衛隊が
    地球規模で
米軍に協力するメカニズムができたことだ。

 (6)新ガイドラインには、こんな記述がある。
 <相互の理解を深める世界において、日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和、安全、安定及び経済的な繁栄の基盤を提供するため、パートナーと協力しつつ、主導的役割を果たす。半世紀をはるかに上回る間、日米両国は、世界の様々な地域における課題に対して実効的な解決策を実行するために協力してきた。
 日米両政府の各々がアジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和及び安全のための国際的な活動に参加することを決定する場合、自衛隊及び米軍を含む日米両政府は、適切なときは、次に示す活動等において、相互に及びパートナーと緊密に協力する。この協力はまた、日米両国の平和及び安全に寄与する。>
 そして、具体的に、平和維持活動、国際的な人道支援・災害救援、海洋安全保障、パートナーの能力構築支援、非戦闘員を退避させるための活動、情報収集、警戒監視及び偵察、訓練・演習、後方支援、三か国及び多国間協力が可能になったと記す。

 (7)新ガイドラインでは、日米協力の範囲を
    「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」
としている。「これを越えた地域」とは、中東、ウクライナなどあらゆる地理的範囲に及ぶということだ。
 地球の裏までも米軍と協力するために自衛隊を派遣するメカニズムを構築するというのは外務官僚(特に安保マフィア)の悲願だった。新ガイドライン合意は、安保マフィアに属する外務官僚を随喜の涙にくれさせているであろう。

 (8)やりすぎると必ず反動がある。
 日米安保条約6条には、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」と明記されている。日米安保条約を改定せずに、日米協力の範囲を地球規模に拡大するのは無理筋だ。
 日本は法治国家ではないことを満天下に示している。
 国会で十分な審議が必要だ。

 (9)新ガイドラインに対して、沖縄の新聞も警戒心を強めている。
 <国民的な議論、国会の監視、法手続きを置き去りにしたまま、世界中で行う米国の戦争を自衛隊が支援する。その枠組みが確定する。
 日米両政府は27日、防衛協力の指針(ガイドライン)を改定する。それは平和憲法の下で固持してきた「専守防衛」を完全に踏み越えることを意味する。国是の変更に等しい改定を許してはならない。
 米国への支援の名目で、日本が主体的に戦争を支える国となるのだ。改定された防衛協力指針でその具体像がくっきり立ち現れる。戦後の安全保障政策の重大な転換点となる。
 日米安保条約は日本と、極東の平和と安全を維持するために、米軍の日本駐留を認めるものだ。ガイドラインは安保条約に付随するが、日米の協力関係の根幹を改めて適用対象を地球規模に広げるのは、安保条約からの逸脱だ。
 本来なら条約を改正して対応すべきだが、日米政府の「目標」に位置付けられる指針は国会での批准が必要ない。条約改正に等しい日米軍事協力の強化が、国会での手続きもなく進められた。
 他国軍への後方支援は「後方地域」や「非戦闘地域」に限られていたが、安倍政権は昨年、「現に戦闘行為を行っている現場」以外では可能と判断を変えた。>【注】

 (10)安倍首相官邸が、条約解釈のような複雑な議論に対する理解力が弱いことに付け込み、外務官僚が「悪乗り」している。
 今回、悪乗りしている外務官僚諸君! よく聞いておけ!
 いつまでもこの政権が続くわけではない。
 法治国家の根本を揺るがすような逸脱をした外務官僚を、徹底的に炙りだし、いずれかのタイミングで責任をとらせなくてはならない。

 【注】社説「日米防衛指針改定 戦争加担は国是の変更だ」(琉球新報 2015年4月27日 )
日米防衛指針改定 戦争加担は国是の変更だ

□佐藤優「日米安保の改訂なしで適用範囲拡大は無理筋 ~佐藤優の飛耳長目 107~」(「週刊金曜日」2015年5月15日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン


 【参考】
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】国連本部で不規則発言 ~北朝鮮の「目的」~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【詩歌】宮沢賢治「風の又三郎」

2015年05月18日 | 詩歌
 どっどど どどうど どどうど どどう
 青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんも吹きとばせ
 どっどど どどうど どどうど どどう

 谷川の岸に小さな学校がありました。
 教室はたった一つでしたが生徒は三年生がないだけで、あとは一年から六年までみんなありました。運動場もテニスコートのくらいでしたが、すぐうしろは栗くりの木のあるきれいな草の山でしたし、運動場のすみにはごぼごぼつめたい水を噴ふく岩穴もあったのです。

□宮沢賢治「風の又三郎」
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【詩歌】宮沢賢治「星めぐりの歌」
【詩歌】宮沢賢治「種山ヶ原」 ~ドヴォルザーク「新世界より」~
【詩歌】砂漠のバラード

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~

2015年05月18日 | ●佐藤優
 (1)旧日本陸軍は、中国大陸において
     現地の部隊が作戦計画を企画立案し、
     同じ部隊が作戦を遂行し、
     同じ部隊が作戦を評価した。
 その場合、評価は「成功」か「大成功」かのどちらかになる。自らの企画立案、作戦遂行を否定的に評価する官僚組織(軍隊も官僚組織だ)は存在しない。
 1930年代の旧陸軍による「成功」と「大成功」の集積が、太平洋戦争をもたらし、日本は壊滅的打撃を受け、アジア諸国に多大な被害をもたらした。

 (2)安倍政権の外交スタイルも、旧陸軍を彷彿させる。
     官邸・外務省が企画立案し、
     首相と外務官僚がそれを遂行し、
     官邸と外務省が評価するのだ。
 そして、
     独裁国家
     権威主義国家
     マスメディアと政治・官僚エリートの酢座が同じになっている国
のメディアでは、政府の評価を新聞やテレビがそのまま伝える。
 
 (3)安倍首相の公式訪米(4月26日から5月2日まで)について、外務省は、成功を謳いあげる。
 <今回の訪米においては,戦後70年の節目の年にあたって,戦後いかに日米同盟がアジア太平洋地域そして世界の平和と安定に貢献してきたかについて確認し,また,今後も,自由,民主主義,基本的人権,法の支配といった基本的価値観の上に立って,両国が手を携えて地域そして世界への貢献を続けていくとの強い意思を発信することができた。特に,日本の総理大臣として史上初となった上下両院合同会議での安倍総理による演説は,こうした点を強調するものとなった。>【注】
 世界基準での人権を日本が認めるならば、
     なぜ「慰安婦」問題で謝罪がないのか。
     なぜ沖縄県民の圧倒的多数が反対する辺野古(沖縄県名護市)への新基地建設について米国の同意を取り付けて、沖縄への圧力を強めようとするのか。
 「安倍首相は言っていることとやっていることとが違うのではないか」と話者の誠実性に疑問を招く。    

 (4)優れた広告代理店を活用し、日本についてあまり知識も関心もない標準的な米上下院議員を標的にして、心地よい思いをさせるよう入念に計算された丁寧な演説を安倍首相は行ったことだろう。
 もっとも、米議会でこのレベルの外国人の演説は、1年間に何度もある。安倍首相演説の効果も長くて3ヶ月くらいだ。
 なぜなら、これから、沖縄県が本格的に辺野古新基地建設反対する行動を米国や国連総会第三委員会(人権)で展開していくからだ。
 この活動を支える辺野古基金には、すでに1億2,000万円以上の募金が集まっている。

 【注】「アメリカ合衆国 安倍総理大臣の米国訪問(結果)」(外務省ホームページ、5月3日)

□佐藤優「日米安保の改訂なしで適用範囲拡大は無理筋 ~佐藤優の飛耳長目 107~」(「週刊金曜日」2015年5月15日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐藤優】国連本部で不規則発言 ~北朝鮮の「目的」~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする