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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】村上昭夫「金色の鹿」

2015年05月30日 | 詩歌
 金色の鹿を見た
 金色の鹿を見たと言っても
 誰もほんとうにはしてくれない

 ぼくが頼りにならない少年だったから
 ぼくのなかの目立たない存在なのだから
 誰もそっぽを向いては
 足早に行ってしまう

 でもその山ならばたしかにある
 みなが五葉山と呼ぶ山で
 東は直に太平洋で
 広がる午前の雲を背に深く負いながら
 あの鹿はどの方向へ向かったのだろう
 そのことをどのように説いたなら
 ぼくが分かってもらえるのだろう

 鹿が死んでしまうと
 ぼくのなかの宝珠が死ぬという
 言い伝え
 ぼくはそのことを
 夕凪の便りのように聞いた筈なのに

□村上昭夫「金色の鹿」(『動物哀歌』、1967【第18回H氏賞】)
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 【参考】
【詩歌】村上昭夫「雁の声」
【詩歌】村上昭夫「うみねこ」
【詩歌】村上昭夫「鴉」
【詩歌】村上昭夫「荒野とポプラ」
【詩歌】村上昭夫「シリウスが見える」
【詩歌】村上昭夫「賢治の星」 ~ふたごの星~

      宮島の鹿
     
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【女性】家族と法の変化 ~首相の“鬼門”?~ 

2015年05月30日 | 社会
 (1)ガイドライン改定で日米が合意し、安倍首相が訪米して議会演説した。その演説を、議員たちは配られた文書を参照しながら聞いていた。拍手をまじえ、時にはスタンディングオペレーションして。

 (2)米議会議員たちがどこで立ち上がり、どこで沈黙したか。
  (a)第二次世界大戦でたおれた米国の人々の魂に哀悼。・・・・これは当然。
  (b)TPPでは盛り上がらず。
  (c)「女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしてい」るでは、(b)と対照的に、立ち上がっての拍手喝采。
  (d)安保法制の整備とガイドラインの合意も、立つ姿はなし。
  (e)「紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけ」ないで、またスタンディングオペレーション。

 (3)(2)は、米側の関心がどこにあるかを端的に示している。
 女性の活躍や人権擁護について、安倍首相はポーズだけでは済まされない。今後の首相のリーダーシップによっては、吉と出るか凶と出るかはわからない。もう一つ、安倍首相の“鬼門”になるかもしれないことが、待ち受けている。
 それは家族と法だ。こちらにも女性が大きく関係している。

 (4)民法の①夫婦別姓と②女性の再婚禁止期間の是非が憲法の理念に沿うのか否か、最高裁大法廷で審理され、合憲か違憲かの結論が、年内にも出るかもしれない。
 ②は、違憲の判断が下される可能性が高い、とされる。
 ①は、難しいとも。しかし、最高裁大法廷で審理されること自体に意味がある。
 安倍首相は、かつて①の反対派だった。今は表立っては反対を唱えない。しかし、女性の活躍推進を掲げ、働く女性を中心に夫婦別姓の要望が強いのに安倍首相はまったく無視している。議論の俎上にも載せようとしない。

 (5)会社の登記簿役員欄には、2015年から結婚前の旧姓も併記できるようになった。
 よくマスコミに登場する鳥海智絵・野村信託銀行社長は、仕事上では旧姓「鳥海」を使っていた。しかし、社長就任にあたり登記上の戸籍名を使い始めたが、それまで「鳥海」で仕事をしてきたため、いろいろ不都合が生じた。で、商業登記規則が改正された今年、2月27日に登記簿に旧姓を併記する手続きをした。
 こうした不都合が、実際に「女性が輝く」最前線で生じているのだが、安倍首相は目を向けようとしない。

 (6)「家族の在りようの変化に伴い、解決困難な家族関係の紛争が司法の場に持ち込まれることが一層顕著になるだろう」【寺田逸郎・最高裁長官、今年の憲法記念日を前にした記者会見】
 多様になってきた家族の在り方について、司法の判断が増えるのだ。
 米国も、働く現場も、司法も。
 安倍首相は、「女性が輝く」環境をどう作っていくのか。

□大村アスカ「首相の“鬼門”か? どうなる家族と法 ~大村アスカの政治時評~」(「週刊金曜日」2015年5月15日号)
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