JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ビアポンもってこい!

2007年12月19日 | m-o

毎日寒いですねぇ、こう寒いとやっぱりお酒が恋しくなってしまいます。
あらら、また酒の話かって?まぁそうおっしゃいますな。(笑)
まさに世は忘年会シーズン、ブログ仲間の記事を拝見させていただいても、日々その手のお話が増えているように思います。

私はといえば、今年も忘年会は極力逃げる作戦に出ています。
「ええええええっ??????!!!!!」
って、そんな不思議がらないでください。
たしかに私は自他共に認める飲んべえではありますが、宴会好きかと訊かれれば、答えは「いいえ」であります。
どうにも性分なのでしょうか、多人数で飲むと気遣いばかり先に立って、飲んでいる気がしないのです。おっと、勘違いしないでください。私が気遣いの人ということではないのですよ。逆にワガママなのだと思います。
それでも若い頃はお付き合いですので、場を盛り上げる幇間役に徹しそこそこ重宝がられたのですが、この歳になるとそれも疲れてしまいますので、せいぜいが三、四人でチビチビ(これは嘘、ガッパガッパとですね..笑)が良いかな。
話がそれました、ですから、今年も忘年会は逃げに徹しているわけです。
      それでも、ここ一週間で午前様が3回かぁ・・・・・・!?

まぁ、みなさんもそれが大宴会だろうが小宴会だろうが、飲み過ぎにだけは注意しましょう。(えっ?あんたにだけは言われたくない?ごもっともです。)

そういえば若い頃、宴会で調子こいて『ビアポン』やら『ビアハイ』やら『ポンハイ』なんてぇのをガバガバ飲んだこともありました。
『ビアポン』『ビアハイ』『ポンハイ』ってわかります?
『ビアポン』は日本酒のビール割り、『ビアハイ』はウイスキーのビール割り、だから『ポンハイ』は?   
そうウイスキーの日本酒割りと・・・
まぁ、あの頃は味なんてどうでも良かったんですね、最後は『ポンハイ』のビール割りまで飲んでましたから(笑)

それを思えば最近の宴会はおとなしいものです。若い連中があまり飲まなくなったからでしょうか?いや、若者の口が肥えてきたのかもしれませんよね。
日本酒にしても、ウイスキーにしても、その他諸々美味しい酒が簡単に口に入る時代になりましたもん。

昔から、日本酒なんかは五味(甘、辛、苦、渋、酸)だけでなく、「あま・から・ピン」とか「旨味、旨さ、美味しさ」なんてぇもので味を表現したりしてましたが、私の若い頃はとうてい意味のわからぬ表現でした。
最近なんとか「ピン」というのは「締まった張りのあるあの味かな」てなこと考えられるようになりましたけけど、「旨味、旨さ、美味しさ」に関しては、未だ不勉強でよくわかりません。
「それこそ、舌だけでない内面の心でまでも感じる、味、香り、色、その他全てを含めた酒の味のことだ」
なんて言われたってねぇ。

そうか、私はまだまだ修行が足りないのですね。これからもあらゆる酒を飲み干して、「真の旨味」をわかる男になりましょう。
「お~~~~い、酒・・・・・ビアポンでも何でもいいよ!」
って、ダメだこりゃ。

さて、今日の一枚は、ジャッキー・マクリーンです。
そうそう、このマクリーンも私的に若い頃より最近の方が旨さが増した逸品のように思えます。ほんの少しマクリーン節の「旨味」をわかる歳になってきたということでしょうか。

ただ、どうしても不満というか、不思議に思うのは、録音日もセットも違う演奏を、何故わざわざ二枚のアルバムに分散したのかということです。プロデューサーのボブ・ワインストックの意図が今ひとつ見えてきません。
というのも、もし片方がカルテットのセッションだけでまとめられていたとしたら、私としては絶対にそっちが買い・・・・・・・あっ!だから二枚にしたのか?(笑)
でもねぇ、セクステットはもう一枚のアルバム「A LONG DRINK OF THE BLUES」に収められている同名曲で、マクリーンのテナーが聴けるというサプライズがあるわけですから、やっぱり分け方がおかしいですよね。

ともかく、他の多くの演奏者とは雰囲気のちょっと違う「WHAT'S NEW」も悪くはないのですが、私はカルテットの演奏が好みです。
これを聴いて「A LONG DRINK OF THE BLUES」のB面を聴いて、マル・ウォルドロンの「LEFT ALONE」を聴く、流れ的にはピッタリだと思いますよ。

MAKIN' THE CHANGES / JACKIE McLEAN
1957年2月15日[1,3,4], 8月30日[2,5,6]録音
JACKIE McLEAN(as)
MAL WALDRON(p) ARTHUR PHIPPS(b) ARTHUR TAYLOR(ds)[1,3,4]
CURTIS FULLER(tb) WEBSTER YOUG(tp) GIL COGGINS(p) PAUL CHAMBERS(b) LOUIS HAYES(ds)[2,5,6]

1.BEAN AND THE BOYS
2.WHAT'S NEW
3.I NEVER KNEW
4.I HEAR A RHAPSODY
5.JACKIE'S GHOST
6.CHASIN' THE BIRD


サンタの名はN

2007年12月18日 | d-f

12月も半ばを過ぎ、いよいよ今年も押し詰まってまいりました。昨日からは浅草の浅草寺で羽子板市も始まったそうで、ゴルフの石川遼選手や横綱・白鵬など『今年の顔』をあしらったものも多く出ているそうですが、やはり昔ながらの歌舞伎役者の押し絵の羽子板をもとめる人が大多数のようです。

そもそも、羽子板市が女性でにぎわうようになったのは、歌舞伎役者の押し絵があしらわれてからだそうですから、現代の人気役者の押し絵に若い女子が群がる・・・・ナイナイ(笑)
「ちょっとお兄さん、いい絵があるよ」てなもんで、春画を若い男子に売る奴もいないわけで、文明は風俗をも変えていくのでありますね。
先日、ずっと逢いたかったモンクの映像にYouTubeで出会えるなど、羽子板を買わなくとも、すぐに映像で逢える時代ですからね。(ちょっとそれは違うんじゃない?)

今日の話もまた、そんな現代文明のおかげというお話であります。

私が以前から探しているCDがあるのですが(レコードじゃないところが私らしくもありませんけど)、これがなかなか見つからない。
そのCDとは、1955年のニューポート・ジャズ・フェスティバルでマイルス・ディビスがコロンビアのジョージ・アバキァンに、コロンビア入りの決断をさせたという伝説の演奏が収められた「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」というCDです。(その他の録音も収録されており、なかなかレアーな録音を集めたCDです。)
マイルス以外のメンバーは、セロニアス・モンク(p) ズート・シムズ(ts) ジェリー・マリガン(bs) パーシー・ヒース(b) コニー・ケイ(ds)というオールスターズ(この日の出演者で企画されたオールスターズに、スペシャル飛び入りとしてマイルスが加わった)で、イントロダクションを除けば「HACKENSACK」「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」「NOW'S THE TIME」の三曲が録音され、同CDで初お目見えしたのです。

一昨年だったでしょうか、マイルスの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」のスペシャル・エディションとして、従来の「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」にディスクをもう一枚つけて発売になったCDがありました。
ここにニューポートでの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」1曲だけが入っています。(これについては以前紹介していますのでこちらを参考に)
ところが、残りの2曲はこれにも収録されず、未聴である私としては「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」を探すしかなかったわけです。
しかし、これが見つからない。

それがね、言ってみるもんですねぇ、とあるジャズ好きのオヤジNさんとの話の中で
クリスマス→クリスマス・セッション→喧嘩セッション→喧嘩はしてない云々の話→ニューポートでのモンク、マイルス共演の話→私が「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」というCDを探している→あっそれ持ってるよ
ですよ。

もちろん、それを譲っていただくというわけにはいきません。そこで現代文明の力ですよぉ、ちょっとだけ著作権法には目をつむっていただくとして、コピーしていただきました!今、手元にあります!まだ聴いてません!(笑)

演奏内容は「一夜にしてマイルスをスターにした!」との伝説ほどではないとも聞いています。それでも私にとってこれは、ちょっとしたクリスマス・プレゼント、今度の休みにゆっくり聴こうと思っています。

私にとってのサンタさんはNさんであります。抱きしめてチューしちゃおうかなぁ(笑)

さて、ということで今日の一枚は、この「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」といきたいところですが、厳密には所有盤でもありませんし、まだ聴いてもいませんので、このCDを手元に呼んでくれたクリスマス・セッション、超有名盤にしました。

1954年のクリスマス・イブ、ルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオでは、マイルス・デイビス(tp) ミルト・ジャクソン(vib) セロニアス・モンク(p) パーシー・ヒース(b) ケニー・クラーク(ds)という夢のようなセッションの録音が行なわれました。
世に言うマイルス、モンクの『喧嘩セッション』
4曲6テイクのその録音は「MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS」に3曲4テイク、今日のアルバムに1曲2テイクが収められたのです。

真実か、はたまた、外野の面白話か、マイルスとモンク間に何があったのか?
前後のゴシップやら、全てのテイクの聴き込みやら、この録音の真実を解き明かそうとする者は後を絶えず・・・・・・・・・

よくよく考えれば、どうでもいい話でありまして、まして「そんなに気になるなら本人達に直接訊けよ」てなことでありますが、本人達がこのことについては語りたがらなかった、まして、モンクとマイルスですからしつこくしたら怒られる(笑)てなこともあったのでしょう。

エンジニアのヴァン・ゲルダーが聞いたという「俺のソロの間は楽にしてろ(演奏するな)」とのマイルスの言葉とか。モンクも休んでるどころかマイルスのまわりをウロウロしてたとか。「THE MAN I LOVE」で、モンクがソロパートを途中で止めてしまったとか。
喧嘩と呼ばれる要因はあったにせよ。
噂が一人歩きしだしたのは、第一に本人達が語ろうとしなかったこと。第二にどの演奏も緊張感みなぎる演奏であること。ここに起因するもので、本当に喧嘩したんなら今日私が手にした演奏に、飛び入り同然とはいえマイルスが加わることをモンクが許すわけもありません。
それより、私は、どうしてこのセッションのピアノがモンクだったのか?MJQのジョン・ルイスをそのまま使っても良かったのではないか?ジョン・ルイスを嫌っている誰かがいたんじゃないか? あははは、そちらの方が気になったりします。

いずれにしても、話題先行のアルバムとも言えますが、ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツの名にふさわしい演奏だと思います。
クリスマスも近いことですし、改めてこの名盤を聴き直してみましょうか。

BAGS' GROOVE / MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS
1954年6月29日[3-7], 12月24日[1,2]録音
MILES DAVIS(tp) PERCY HEATH(b) KENNY CLARKE(ds)
THELONIOUS MONK(p) MILT JACKSON(vib)[1,2]
SONNY ROLLINS(ts) HORACE SILVER(p)[3-7]

1.BAGS' GROOVE [take 1]
2.BAGS' GROOVE [take 2]
3.AIREGIN
4.OLEO
5.BUT NOT FOR ME [take 2]
6.DOXY
7.BUT NOT FOR ME [take 1]

追伸、
いちおう「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」の収録内容を記します。

MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957
Miles Davis (tp) Zoot Sims (ts) Gerry Mulligan (bars) Thelonious Monk (p) Percy Heath (b) Connie Kay (d)
'Newport Jazz Festival', Newport, RI, July 17, 1955
1.Hackensack 
2.'Round About Midnight 
3.Now's The Time 
Miles Davis (tp) Lester Young (ts) Rene Urtreger (p) Pierre Michelot (b) Christian Garros (d)
"Kongresshaus", Zurich, Switzerland, November 19, 1956
4.Four 
5.Walkin' 
6.On Lady Be Good 
Miles Davis (tp) Bobby Jaspar (ts) Tommy Flanagan (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (d)
"Birdland", NYC, October 17-30, 1957
7.All Of You 
8.Four
9.Four(2)
Miles Davis (tp) Erwin Lehn (comp) unidentified orchestra
"Beethoven Saal", West Germany, December 18, 1957
10.Yesterdays 
11.'Round About Midnight 
12.Walkin'


あんたの歌は封印歌謡

2007年12月17日 | m-o

今日は昨日にも増して寒い一日でした。とは言っても、このあたりは雪も降らず、太陽が燦々と輝いていますので、灯油の値上げで苦しむ寒冷地の方々の苦労を思えば贅沢は言えません。・・・・う~~~ん、それでもやっぱり寒いものは寒い。(笑)

会社の同僚が、私が好きそうだとこんな本を持ってきました。石橋春海著『封印歌謡大全』です。
内容を簡単に言ってしまえば、発売禁止や放送禁止になった歌を「封印歌謡」と称して、戦前から平成までの幅広い時代の曲を紹介・解説した本であります。
例えば、以前このブログでも紹介した岡林信康の『手紙』はもちろん、阿久悠が亡くなられた時に紹介した杏真理子の『さだめのように川は流れる』やザ・モップスの『ブラインド・バード』、つぼイノリオの一連の歌、等々ずらっと100曲近く紹介されています。

そんな中、幾つかの知らなかったことが書かれていて、ついつい読みいってしまいました。

 ♪ウエディン・ベル からかわないでよ ウエディン・ベル
  本気だったのよ ウエディン・ベル ウエディン・ベル・・・・♪

私が、学生時代からお付き合いをしていた女性と別れ、何故か後に我が娘の母(あははは、つまりは愚妻のことですけど)になる女性と同棲を始めようかというときに、盛んにラジオから聞こえてきたシュガーの『ウエディン・ベル』、私にとってはいろんな意味で思い出深い歌なのですが、これがNHK神戸放送など一部の地域では『放送禁止歌』(それぞれの自主規制で)になっていたのだそうで、理由は♪くたばっちまえ アーメン♪の部分が「宗教を誹謗している」というものだったそうです。
つまり「キリスト教徒である外国人が多く住む地域には不適切」という過剰とも思える気遣いをしたのだとか。
けっきょく、この歌でシュガーは紅白に出場したそうなのですが「その時この歌詞はどうなったのだろうか?」紅白を見ない私には全く記憶がございません。

 ♪あの子とふたり押し入れで 見せっこしたよ幼い日
  チンチンつまんだ あの子がね 私も欲しいとつぶやいた
  オー・チン・チン オー・チン・チン あのチンポコよ 何処行った♪
                ハニー・ナイツ『オー・チン・チン』

 ♪おど おどのために 三人死んだ 一人は 嫁の正子
  出稼ぎに行った兄のいないすきに 夜になれば しのびこんで
  内股ひろげさせて・・・・・・・・♪
                                三上寛『おど』

 ♪国は京都の 西陣町で 兄は二十一 その名はモンテン
  妹十九で その名はオキヨ 兄のモンテン 妹に惚れて・・・・♪
                山崎ハコ『きょうだい心中』 

 ♪戦争だ戦争だ戦争だ 待ちに待った戦争だ
  国が認めた戦争だ みんなで殺そう戦争だ
  鉄砲マニア集まれや 欲求不満の奴も来い
  暴れたい人待ってます ストレス解消これ一番♪
                                泉谷しげる『戦争小唄』

それぞれに「封印歌謡」となった世相や時代があるわけで、全てが納得いく理由のもとに封印されたものばかりでもありません。
以前、戦時下でのジャズ等々、いわゆる敵国音楽に対する不当規制について、我がサイトにて一部紹介させていただきましたが(こちら)、時に「表現の自由」をも脅かす驚異へと発展する可能性も秘めているわけで、作品を受け取る我々がそれを見極め、不当な関与は許さないという信念は持つ必要があると感じます。

「よし、それじゃ久々に、岡林の『手紙』をいっぱつ聴かせやしょうか!」
「やめなさい、あんたの歌は、どんな時代にも封印されたほうがいいんだから」
「え~~~ん」

ともかく、興味のある方は、簡単に読めてしまう本ですので一読あれ。

さて、今日の一枚は、「封印歌謡」とは全く関係ないのですが、ハービー・マンとサム・モストです。
二本のフルートがノリよくスイングして、重量感というものは感じないものの、粋でお洒落な一枚だと思います。

私なら「酒を飲んでいるときより、午後のティータイムにどうぞ」と言いたくなるかな。
えっ?それじゃバブむきじゃないって、私だってそんな午後の一時を過ごすこともあるんです!(笑)

絶対に聴くべきだとは言いません。でもたまに変速クインテットもよろしいのではないでしょうか。

THE HERBIE MANN - SAM MOST QUINTET
1955年10月12, 17日録音
HERBIE MANN, SAM MOST(fl) JOE PUMA(g) JIMMY GANNON(b) LEE KLEINMAN(ds)

1.FASCINATING RHYTHM
2.WHY DO I LOVE YOU ?
3.IT'S ONLY SUNSHINE
4.LOVE LETTERS
5.LET'S GET AWAY FROM IT ALL
6.FLYING HOME
7.I'LL REMEMBER APRIL
8.EMPATHY
9.IT MIGHT AS WELL BE SPRING
10.JUST ONE OF THOSE THINGS
11.SEVEN COME ELEVEN


やだねぇ、酒呑みは

2007年12月16日 | j-l

昨晩、ブログの更新を始めようかとPCを立ち上げると携帯電話が
「バブ、飲んじゃった?」とS君です。
そりぁ夜の9時ですから、すでに一杯ひっかけたあとでした。
S君は大学時代の友人達とゴルフをするという情報は得ていましたが、まさかその結果報告というわけでもあるまいし
「何よ。今日はゴルフだったんだろう。」
「○○にいるから、30分以内に来るように」
「なに~~~~????!!!!!」
大学時代の友人の中に私の中学時代の同級生K君がいるので、飲み屋にタクシーとばして来いと言うのです。
いやいやではありましたが、その同級生にも会いたいような気もしてタクシーで出かけていきました。

ところが、ところがです。飲み屋さんに着いてみるとK君が見あたりません。
「あれ?Kは????」
「わりいわりい、疲れたって宿で寝ちゃった」とS君
「・・・・・・・・」

けっきょく私は、もうすでに出来上がっているS君達を接待する幇間(たいこ)持ち状態です。
歌を聴けば「よっ、先輩!上手!」、ロックグラスになみなみに注がれたほぼストレート状態のウイスキーを「大丈夫、こいつはこれくらいなんちゃないから」などとのたまうS君を立てて「いやぁ嬉しいなぁ、くくいっといかしていただきやす」てなもの
あげくの果てに、眠り始めたS君をタクシーに押し込んで
「お疲れさま、ゆっくり休んでねぇ~~~」
しかたがないので、いつものバーで飲み直して帰ってきましたけどね。
「Sの野郎、覚えてやがれ!この貸しは高くつくぞぉ~~~~~~~!!!」(笑)

そんなこんなで、寒い北風の吹く今日は、昨日図書館から借りてきた本を読みながらゆっくりと過ごしました。

昨晩、苦い酒を飲まされたにもかかわらず、今日読み終えたのは『酒宴のかたち』というのも私らしいですかね。
「一時二友三肴」
正月、誕生日、節句、クリスマスとその時々にかこつけて酒を飲み、友人が訊ねてきたと酒を飲み、良い肴がはいったと酒を飲む、これが日本人の酒呑みの典型だそうで、まさに私もこの類ですが、是非とも四番目に「お付き合い」というのも入れていただきたいですね。
「一時二友三肴、おまけにも一つお付き合い」
いかに「お付き合い」でも、酒呑みは酒を飲んでしまうんですよこれが

「まったく昨夜はひどい酒だったよ。」
「何言ってんの、飲む口実が出来て良かったくせに」
「・・・・・・・・そのとおりです。」
ほんとやだねぇ、酒飲みは(笑)

さて、今日の一枚は、リー・コニッツです。
クール奏法からウォーム奏法へと変身をとげたコニッツがアトランティックに残したアルバム。ピッツバーグのクラブに出演しているときの演奏を、ベースのピーター・インドが録音して、コニッツが編集したものです。

冷たいコニッツとあったかコニッツ、みなさんはどちらがお好みですか?
冷たいからこそのコニッツなのか、それとも今日みたいに寒い日はあったかコニッツか、う~~ん、暖かい人は他にもいっぱいいますしねぇ、だからその後のコニッツがあるのかもしれませんし。
是非ともこのアルバムとクール奏法のコニッツと聴き比べをなさってみて下さい。

いずれにしても、ギターのビリー・バウアーとのインタープレイはなかなかのものです。

THE REAL / LEE KONITZ
1957年2月15日録音
LEE KONITZ(as) DON FERRARA(tp) BILLY BAUER(g) PETER IND(b) DICK SCOTT(ds)

1.STRAIGHTAWAY
2.FOOLIN' MYSELF
3.YOU GO TO MY HEAD
4.MY MELANCHORY BABY
5.PENNIES IN MINOR
6.SWEET AND LOVELY
7.EASY LIVIN'
8.MIDWAY

おまけ、
え~~日曜日ですので『料理当番、今日の一品』
今日はともかく寒いので「鮭の酒粕煮」にしてみました。
具は、鮭、人参、大根、ゴボウ、シメジ、春菊、長ネギ、それにジャガイモでも良いのですが、本日は里芋。

寒い日に酒粕煮とウォーム奏法、これで体はポッカポカですよ。(笑)


せめて教訓に

2007年12月15日 | g-i

昨晩ブログの更新を終え、「さて、四万十太郎とすずちゃんでも見んべかいな」とテレビをつけてビックリ。
「なになに?スポーツジムで銃乱射、またアメリカかい・・・・・えっ?日本???」
今朝になって容疑者が自殺死体で発見されたようですが・・・・なんたる事件でありましょうか。
暴力団同士の撃ち合いで流れ弾が一般市民にあたってしまったのとはわけが違います。公共のしかもある意味憩いの場で銃を乱射する、おおよそ今までの日本では考えられない事件ではありませんか。
どんな理由がそこにあったかは知りません。ただ、自分勝手な行為の中で二人を殺し、子供たちも含め多くの人達に怪我や心的被害を与え、自らは自殺をしてしまう。そんなヤツが銃の所有権を有している・・・・・・

信用、信頼というものが根底から揺らいでいる日本、いろんな所から腐り始めているのかも知れません。これがもし神様というヤツがいて、おごる日本人への警告・淘汰であるなら、願わくば善良な者を巻き込まない形で行って欲しいものです。

いつ、自分たちが被害者になり、あるいは加害者になるか分からない世の中とはいえ、我が身や家族の身を過剰な防衛手段でなければ守れない世の中にだけはなって欲しくない、何処かの馬鹿たれがこの事件を知って、連鎖的な愚行をしないよう、銃所持者、管理者には充分な注意をはらっていただきたいものです。
言い方は悪いですが、突然亡くなられたお二人はまさに『犬死に』同様、最低でもお二人の死が今後の愚行を抑える教訓になることと、合わせてお二人のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。

私がとやかく言ってもしかたのないことかも知れませんが、そんなことを思った土曜の朝、定例更新(笑)に逆らいおもわず書いてしまったバブでありました。
いつものくだらない話は、また今晩。

え~と、いちおう、趣味部屋掃除を終え、今聴いている一枚だけは紹介しておきます。
ジム・ホールとロン・カーターの「プレーボーイ・クラブ」でのライブ盤です。
まるで電化サウンドを真っ向から否定したような、そんな一枚でしょうか。
この「AUTUMN LEAVES」もまた、捨てがたい演奏だと思います。

ALONE TOGETHER
1972年8月4日録音
JIM HALL(g) RON CARTER(b)

1.ST.THOMAS
2.ALONE TOGETHER
3.RECEIPT, PLEASE
4.I'LL REMEMBER APRIL
5.SOFTLY,AS IN A MORNING SUNRISE
6.WHOSE BLUES
7.PRELUDE TO A KISS
8.AUTUMN LEAVES


好物集合!

2007年12月14日 | m-o

昨晩は夜の10時に「バブちゃん、営業つき合ってくんない」とのMさんからの電話。
常識的にはお断りするところですが、そこはそれ、いつもお世話になっているMさんですので・・・・・・・・・・って、ごめんなさい、それは嘘です。いかにその内容がクリスマスケーキの予約取りとはいえ、アルコールが伴う営業を何故に私が断りましょうか。
「アルコールの臭いがあるところ、たとえ火の中水の中、呼ばれて飛び出るバババのバブー!」であります。(笑)
営業もそこそこにガッパガッパと飲み倒し、明けて2時半のご帰還でした。
それでも、今朝は目覚めよく仕事へと出かけられましたので良しとしてください。

酔っぱらいの馬鹿オヤジの話はそれくらいにして(あれ?私のことか????笑)
今日の夕方S君の事務所を訪ねると、生真面目坊主のMA君から託されたと『銀杏』を一袋渡されました。
「なんだか、今年は豊作だったんだってよ。」
豊作という言い方が適当かどうかは分かりませんが、私の大好物、『銀杏』をゲットです。

集まるときには集まるものですねぇ、帰宅してみると母の田舎の大叔母(母の叔母です)から、黒豆・味噌・ジャガイモ・なめこ、そしてそしてこれもまた私の好物『打ち豆』が届いていました。
間もなく90を迎える大叔母は、未だ畑仕事をする元気者で
「今年は黒豆が採れすぎたから、おぐっかんな」と、送ってくれたのでした。

ところで、みなさんは『打ち豆』ってご存じでしょうか?
最近は一部スーパーなどでも扱っている所もあるそうですが、家人などは始めて見たときには「これ、鶏の餌じゃないよね」なんて、罰当たりなことを言って、全く知らない食べ物だったようです。

『打ち豆』というのは、まだ水分を含んだ状態の大豆を、木槌等で平たく打ち伸ばし、乾燥させたものなのですが、昔、母の実家あたりでは、冬場は雪で生野菜がどうしても足りなくなり、その代用として生まれた保存食であったそうです。
ともかく、これを味噌汁に入れたり、煮物に入れたりすると、大豆の香りがホワ~~ンと立って、それは旨いのでありますよ。

さっそく、今晩の大根の味噌汁には『打ち豆』が入っておりまして、美味しくそして懐かしい味を堪能しました。
「よし、あとは銀杏でも炙って一杯・・・・・」
「今日は止めときなさいよ!」
「ふぁ~~~~い・・・・シクシク」
とか言いながら、寝静まるのを待って、濡れ封筒でチンをして、いただくつもりでいま~~す。(小声)

ともかく、MA君、そして大叔母、ボクチンの大好物をいっぱいいただいて、ありがとさんね。

さて、今日の一枚は、ベイシー楽団の中間派ソロイストだった、ジョー・ニューマンです。
独立して自己グループでのライブ盤、会場はベイシーのお店でした。

このアルバムの最大の魅力は、聴いているうちにくつろいだ楽しい店の様子がヒシヒシと伝わってくるところでしょうか。
ストレートのバーボンではなく、ロックグラスの氷を鳴らしながら「イエーイ」って、言ってみて下さい。畳敷きの和室で聴いていても、きっと楽しげなクラブに居る感じになれると思いますよ。

一人一人のソロが終わるたびに「イエーイ」、そして「MIDGETS」でのジョーのソロが終わったら、グラスを掲げさらに大きな声で「イエーイ」・・・・

こういったアルバムは、難しいこと言わずに、そうして楽しむのが一番だと思います。

AT COUNT BASIE'S / JOE NEWMAN
1961年録音
JOE NEWMAN(tp) OLIVER NELSON(ts) LIOYD MAYERS(p) ART DAVIS(b) ED SHAUGHNESSY(ds)

1.CARAVAN
2.LOVE IS HERE TO STAY
3.PLEASE SEND ME SOMEONE TO LOVE
4.MIDGETS
5.ON GREEN DOLPHIN STREET
6.WEDNESDAY'S BLUES


チャンスを招くのは実力

2007年12月13日 | y-その他

今日は久しぶりの雨模様(午前中いっぱいでしたけど)、乾燥しきってましたので良いお湿りになったでしょう。

「福留 4年53億円 カブス入り」
ヒェ~~~ 凄いですねぇ、年13億ウン千万、月収に換算すると1億以上、日に・・・・・・
ついついそんな計算をしてしまうのは、悲しい庶民の性でしょうか。
それにしても、夢の3億を期待し、神棚に年末ジャンボ宝くじを奉る姿が、悲しくも思えてしまうのは私だけではないと思います。
野球だけでなく多方面で才能の海外流失は拡がっているようですが、この金額を聞けば納得せざるを得ません。「田舎じゃ生きていけないから東京に出て一旗揚げる」てなこととはわけが違いますよね。
「うちのバカ息子もそのぐらいの大物になってくれていれば・・・・・」
『鳶が鷹を生む』てなことまず無いわけで、親の顔みりゃ期待することじたい無理があります。(笑)

アメリカ進出といえば、ブログ仲間のウフフマンさんけいさんも取り上げておられましたが、ニューヨークのアポロシアターで日本の18才シンガー清水翔太君が絶賛されたとか。
日本人ダンサーがアポロシアターを席捲しつつあるとの噂は聞いていたものの、シンガーとなるとやはり無理もあるだろうと勝手に思い込んでいた私は、完全に時代遅れなんですね。
黒人の聖地に乗り込んいく若者の挑戦心と勇気にも感心しましたし、賞賛を受けたというニュースは、なんとも誇らしくも思えました。(もちろん、ソニー・ミュージックの後押しがあればこそでしょうけど)

アポロシアターでの様子や、来年2月に発売される翔太君の「HOME」という曲の一部を彼のオフィシャルHPで試聴出来ますので、興味のある方は覗いてみて下さい。
野球の世界の野茂のように、彼もその世界のパイオニアとなられることを期待したいと思います。

それにしても、小学生の頃「世界地図を移動時間で表すとこんな地図になります。」みたいなこと習いませんでしたか?
あの頃は交通手段・時間だけを考えた地図でしたが、これを現代の情報網もふまえた地図にしたらどんなになっているのか。
極端に狭くなった世界は、そこで生き抜く難しさも増大させているようですけど、同時に大きなチャンスも作り出しているわけで、若者はいかにそのチャンスを捕まえるか・・・・・・・実際はたいへんだよねぇ。
私はちょっと昔の人で幸せだったかもしれないなぁ。(笑)

さて、今日の一枚は、アメリカへ旅立った日本のジャズ・ミュージシャンのパイオニアといえばやはりこの人、ということで秋吉敏子です。
と言いつつ、私は彼女のアルバムをそれほど多く所有しておりません。
「THE TOSHIKO TRIO 」 「THE MANY SIDES OF TOSHIKO」 「孤軍」 「TOSHIKO MARIANO QUARTET」 「HIROSHIMA RISING FROM THE ABYSSH 」と紹介を済ませていますので、残りはこの一枚ということになります。

このアルバム、B面は、着物姿で話題をさらったという1957年のニューポート・ジャズフェスのライブ、そしてA面はJATPで来日していたオスカー・ピーターソンに強くレコーディングをせがまれたヴァーヴのノーマン・グランツによって、ピーターソンのリズム・セッションをそのまま使ってラジオ東京で収録された初レコーディングが収められています。
まさに、アメリカ進出を決めた演奏と、初めてアメリカでその存在を示した演奏、この二つが収録されたアルバムだともいえます。

日本で行われた初レコーディングは、1953年10月15日東京にオープンしたライブ・ハウス「テネシー・コーヒー・ショップ」での出会いに始まります。
この店の音楽担当を任されていたのは、シックス・ジョーズのリーダー、そうナベプロ創設者渡辺晋でありました。渡辺は音楽責任者として昼間の演奏を秋吉敏子に頼んだのです。
11月に入りJATP公演で来日していたピーターソンが、昼間突然この店にやって来て、敏子に出会うことになります。(ご本人によれば紅茶をごちそうになったそうですが)
緊張の中演奏をした敏子のピアノを聴いたピーターソンは、夜もまた現れ、飛び入り演奏までしてくれたのでした。
その翌日ピーターソンはさっそくグランツに敏子のレコーディングを推奨、こうして、今日のアルバムのA面、敏子の初レコーディングが実現したのです。

敏子本人は「JATP来日がなければ、テネシーがオープンしていなければ等々、偶然が重なったおかげ」ともおっしゃっていますが、運だけであれだけの実績は残せないわけで、「運とは実力が呼び寄せるもなのだなぁ」と痛感させられるエピソードです。

おっと、肝心のアルバムの中身ですね。
ピーターソンのバックをそのままメンバーにしたのですから、アート・テイタム的演奏も彼女には可能であったはずですが、もろ、彼女が当時のめり込んでいたバド・パウエルを意識した感じでしょうか。(特に「TOSHIKO'S BLUES」あたりは、まさにパウエル)
ただ、彼女の緊張はとんでもないものだったのでしょうね、ヒシヒシと伝わってきます。そして、そんな彼女をバックが優しくフォローするようなさまは、じつに暖かく素敵な演奏だと思います。
おっと、バックばかりに助けられたわけじゃありませんよ。ソロの「LAURA」も新鮮さがあってとても良い。

B面のニューポート・ライブも、もちろん良いですよ。この時の賞賛は着物姿の物珍しさだけでなかったことが、じゅうぶん伝わる好演です。

ともかく、パイオニア秋吉敏子を知るには、欠かせない一枚だと思います。

AMAZING TOSHIKO AKIYOSHI / 秋吉敏子
1953年11月[1~8], 1957年7月5日[9~12]録音
秋吉敏子(p)
HERB ELLIS(g) RAY BROWN(b) J.C.HEARD(ds)[1~8]
GENE CHERICO(b) JAKE HANNA(ds)[9~12]

1.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE ?
2.GONE WITH THE WIND
3.I WANT TO BE HAPPY
4.TOSHIKO'S BLUES
5.SHADRACH
6.SOLIDADO
7.SQUATTY ROCO
8.LAURA
9.BETWEEN ME AND MYSELF
10.BLUES FOR TOSHIKO
11.I'LL REMEMBER APRIL
12.LOVER

追伸、

ちなみに、ちょっと勘違いしたような日本を意識したジャケット・デザインは、ヴァーヴではおなじみのデヴィット・ストーン・マーチンの作です。


偽・偽・ギ~~っときしむ音

2007年12月12日 | p-r

いやぁ、まさに年末、私など普段と何も変わらぬ生活のはずなのですが、不思議と気ぜわしくなるのは、気持ちのせいか?はたまた世間様のせいか?
そんな師走の今日は「いい(1)字(2)いち(1)字(2)」の漢字の日、清水寺「奥の院」舞台で森貫主が発表した『今年の漢字』は『偽』だそうで、私は「『偽』『嘘』かな」なんて思っていたので、まさに大正解であったわけですけど、今年を表す字がこんな字であることは寂しいかぎりです。

たしかに、前々から薄々気が付いていたものの、世の中これほどまでに『偽』で懲り固められていたのかと痛感した一年ではありましたよね。
食品の様々な偽装、スポーツ界の疑惑、機器不具合の隠蔽、農水省、防衛省を始めとする政官業の癒着疑惑、警察の偽装調書、等々はもちろん、信じていた国にさえ嘘をつかれる始末。謝罪会見も見飽きるほどでウンザリであります。

それにしても、船場吉兆の謝罪会見もマンガのようでしたが、昨日の町村官房長官の会見も「なんたるっちゃ!」でありました。「選挙公約は簡素化したものだ」はひどい。
せめて「選挙公約は偽装公約でした」とマンガのような謝罪会見を行った方がまだマシかもしれません。

選挙時の公約がその程度のものなら、選挙演説の後で進行役が「只今の演説内容はおおむね略されておりますので、全てを信じてただいては困ります。」とでも言っていただくとか。
大枚かけて作った選挙公約の冊子等々にも「注)ここでの公約内容は略式公約ですので、全てを信じないように。」との注意書きを入れていただきたい、一文入れても費用は変わらないでしょ?
っていうか、そんな無用のものを作るんだったら選挙費用の無駄遣いですから廃止されるべきかな。
あれ?ひょっとして始めから「どうせてめぇら信じちゃいねぇだろう」ってですか?いやいや「信じるてめぇらがアホだ」でしょう。(笑)

まぁ、「トップが嘘つきなら、全てが嘘をつく」
私も他人のことは言えませんが、嘘つきが嘘つきを責め立てても、嘘しか出てこない。
偽・偽・偽・偽・偽~~~~ときしむ音ばかり聞こえてきます。
・・・・・・・・・・それでいいのか日本!でありますよね。

 仁言(じんげん)は仁声(じんせい)の人に入ることの深きにしかざるなり

「ことばをもって仁道を説く感化力は、自らの仁道を実践して得た名声、自然に及ぼす感化の深さにはかなうわけはない」という教えでありますが、逆に言えば実践が不可能なことばほど無意味なものは無いとも取れるわけで、ことばの力でのし上がる政治家先生には肝に銘じていただきたいものです。

さて、今日の一枚は、ソニー・ロリンズです。
ロリンズがリヴァーサイドに残したリーダー・アルバムは2枚、「THE SOUND OF SONNY」と今日の一枚です。

特に今日のアルバムは、お得意のピアノレスであるとともに、「プロパガンダの原点を高らかに歌い上げた」てな感じで話題作となりました。もちろんこれはA面の「THE FREEDOM SUITE」(自由組曲)という、緩徐楽章まで持つクラシック風の構成で作られた組曲に由来するわけですが、この時期、大なり小なり黒人ミュージシャンが人種問題に何らかのメッセージを発することは大きな流れであったわけで、ロリンズがそれを主張することに何ら不思議はないわけです。
逆にそういった流れの中で新たなジャズの表現が生まれてきたわけですから、若干フリーがかったここでのロリンズも、ある意味、一つの転換期を迎えつつあったと言っても良いのかも知れません。

別にそんな意向をふまえてではないのですが、私はほとんどB面を聴くことがありません。
B面の出来が悪いということではないんですよ。でも、A面と聴き比べるとどうしても「おまけ」感覚が抜けないというか・・・・

ピアノレスでありながら、ぶ厚い世界観を醸し出す。まさにロリンズの世界です。

FREEDOM SUITE / SONNY ROLLINS
1958年2月27日[B面 2~5], 3月7日[1]録音
SONNY ROLLINS(ts) OSCAR PETTIFORD(b) MAX ROACH(ds)

1.THE FREEDOM SUITE
2.SOMEDAY I'LL FIND YOU
3.WILL YOU STILL BE MINE ?
4.TILL THERE WAS YOU
5.SHADOW WALTZ


ああ接吻、されど接吻

2007年12月11日 | j-l

朝方日差しがあったものの、けっきょくはどんよりとした曇り空、日差しが無い分寒い一日でした。

茨城県で名犬ウシ君が老婆を助けたのは先日の6日でしたよね、とても可愛い目をした優しそうな犬でありました。寒空のもとその温もりはどれほど心地良く、暖かかったことか、いやな事件や事故のニュースの中、こちらの心まで温めてもらったような気がします。

今更、何故ウシ君の話など持ちだしたかというと・・・・・
いやね、今日いたんですよ、都会ではあたりまえでしょうが、春でもないのに公園で抱き合う男女。まぁ、寒さを和らぐには犬より恋人の温もりの方が数段良いわけですから、うらやましいっちゃうらやましいんですけどね。(笑)

ここで問題です。
『11番』『忠臣蔵』『お刺身』『呂(ろ)』さて、これらはいったい何を表す言葉でしょうか?

これは全て、今日公園で彼らがしていた『キス』の俗語であります。
『呂』ってぇのは、口が二つ重なり合っていますんで分かりますよね。
『忠臣蔵』はチューっていう音から、『お刺身』はもともと花柳界用語だったそうで、食感からきてるのかな?やっぱり白身じゃなくて赤身、鮪あたりでしょうかね。
分からないのは『11番』ですよね。これはアルファベットの11番目がK、つまりキスの頭文字というなんともまどろっこしい俗語です。

いかに我々日本人が『キス』に対して異様なまでの羞恥感を持っているかということですが、最近では今日の彼らはじめ、若者が欧米なみにオープンになっているおかげで、普通に『キス』という言葉を使えるようになってきてもいます。

私だって娘が小さいときは「○○ちゃん、お父さんにチューして」とか「キスして」とか言ってましたもん。(いつまでだったろ、キスしてくれたの・・・・・)

 秋の日の ヴィオロンの
 ためいきの 身にしみて
 ひたぶるに うら悲し。

 鐘のおとに 胸ふたぎ 
 色かへて涙ぐむ 
 過ぎし日の おもひでや。

 げにわれは うらぶれて
 こゝかしこ さだめなく
 とび散らふ 落葉かな。
         上田敏訳「海潮音」落葉

ちなみに『接吻』は、オランダ人のヘンドリック・ドゥーフという方が『KUS』(キスのこと)の日本語訳として使ったのが最初、『口づけ』は名訳者で知られる上田敏が使ったのが最初だそうです。

 倦んじて薫ずる香裏に君の
 霊か相思の煙のたなびき
 おお我、ああ我、辛きこの世に
 あまく得てしか熱き口づけ

『接吻』より『口づけ』のほうが、何だかホワンとしていて文学的、なんて思うのは私だけでしょうか。

いずれにしても、若者の『接吻』を見て、名犬ウシ君を思い浮かべたような顔をしながら、じつはただただうらやましいだけだったという、歳をとっても『口づけ』には、やっぱり憧れがあったりするじゃありませんか、ねぇ
「ああ接吻、されど接吻」でありますよ。

「だれか、添い寝までとは言わないから、寒空のもと僕を抱きしめてくれる、そんな物好きなお人はいらっしゃいませんかねぇ・・・」
「バーカ、どんな物好きでも「それだけはイヤだ!」ってもんはあるんだよ。」
「・・・・・・・・」

さて、今日の一枚は、ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」・・・・
ウソウソ、ウイントン・ケリーです。

本来、ケリーとくれば、この時期「AUTUMN LEAVES」というのが常識かもしれませんが、以前に紹介済みですので、今日はこのアルバムを持ってきてみました。
言わずと知れた名盤ですので、細かい説明はいらないかと思います。

ケリーの肩の力が入らないピアノはもちろん良いのですが、私はリー・モーガンとウエイン・ショーターのメリハリというか、コントラストがじつに心地よい一枚だと思っています。「ジャズ・メッセンジャーズと同じだろう?」と言われるかもしれませんが、
そう、例えばキャノンボール・アダレーの「IN CHICAGO」のような、いわゆるレギュラー・コンボを抜け出した面白さ、そういったものをこのアルバムにも感じるのです。

もちろん、ケリー以外のリズムセッションも悪かろうはずがありません。「MAMA "G"」での、ドラムとベースのディオ部分(厳密にはベースのソロ部分)なんか、とても良いじゃござんせんか。
いずれにしても、リラックスしたこの演奏は名演であると思います。

KELLY GREAT / WYNTON KELLY
1959年8月12日録音
WYNTON KELLY(p) LEE MORGAN(tp) WAYNE SHORTET(ts) PAUL CHAMBERS(b) PHILLY JOE JONES(ds)

1.WRINKLES
2.MAMA "G"
3.JUNE MIGHT
4.WHAT KNOW
5.SYDNEY


私だけの歌連想ゲーム

2007年12月10日 | d-f

今日も一日晴天、これがこのあたりの冬の空模様ではありますが、乾燥が進み、流行の兆しを見せるインフルエンザが迫っているようで怖い気がします。予防には手洗い・うがいはもちろん、洗顔も有効だそうで、特に咳やクシャミを隣人がした時にはすぐに行う必要があるのだそうです。ただし目をこするとそこからウイルスが侵入することもあるので注意するようにとのことでしたよ。でもね、仕事相手が咳をしたから「ちょっと失礼」ってすぐにトイレに行くわけにもいかないでしょ、つまりはお互いに気を付け合おうということですね。

♪ She's a lightning lightning Lightning Bolt.
  She's a lightning lightning Lightning Bolt.
  エンジン・フードで卵が焼けるほど
  あの娘はとばして浜辺についた
  ゆうべ天気図にたくさん線ひいて
  台風の位置を確めたのさ ♪

ユーミンの「稲妻の少女」という曲です。
何故に突然ユーミンか?
みなさんも「この曲を聴くと一気にある情景が浮かぶ」ということ、あるでしょ?

今日、偶然にもこの曲が隣に止まった車から聞こえてきたんです。私は特別ユーミンファンということもないので、この曲を聴いたのは40年以上ぶりだったと思います。ほぼ忘れてしまっていました。

バババババババ--------

ドラマで、記憶喪失の人が何かを思い出すがごとく、とある場面が頭の中を駆けめぐりました。
六畳のアパート、赤と青、小さなラジカセ、ちょっとだけ目立つホクロ。
あはは、何だか分からないでしょ。いいんです私ととある人が分かれば(笑)

つまらないでしょうがジャズ以外の日本の歌での、私の連想ゲームにちょっとお付き合い下さい。

サザンの「愛しのエリー」
汗、24時間テレビ、生ゴミ臭い部屋、つないだ手。
井上陽水の「あどけない君のしぐさ」
スポットライト、サテンのジーンズ、梅茶漬け、黒い制服。
岡林信康「ガイコツの唄」
屋上、一人、マイクスタンド。
中島みゆきの「怜子」
緑、涙、嫉妬、恋。
石川セリの「セクシー」
ベレット、オレンジ、ペンキ、24枚。
尾崎亜美の「マイ・ピュア・レディ」
キャンパス、富士山、ルーズリーフ。
原曲じゃないけど「星の流れに」
ジョッキ、モツ煮込み、ミスタードーナッツ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだまだありますが(笑)

何が何だか分かりませんよね、失礼しました。
ユーミンの「稲妻の少女」を偶然に聴いたものですから、ついつい他のまで思い出したりして、
でも、こうしてみると、ジャズだけでなく、音楽というものは思い出とともに存在する大切な財産のように思えてなりません。
みなさんも暇なときに『私だけの歌連想ゲーム』をやってみませんか?

さて、今日の一枚は、アート・ファーマーです。
人間、一生の中で何度か転機に係わる人物という方がいるものです。
例えば、マイルスなら、チャーリー・パーカーであり、ギル・エバンスであり、アーマッド・ジャマルであり・・・・・
コルトレーンなら、マイルスであり、モンクであり、ラヴィ・シャンカールであり・・・・・

アート・ファーマーにとって、クインシー・ジョーンズと、このアルバムのためにクインシーの部屋で「UP IN QUINCY'S ROOM」を作曲したジジ・グライスへの接近、出会いは、ベニー・ゴルゾンとの出会いと同じように、いや、ある意味それよりも大きなものであったのかもしれません。
何故なら、アート・ファーマーのスタイルがこのアルバム以降確実に変化していると、私には思えるからです。

モンク・モントゴメリーのエレキベースというのが、少々私的には不満ですが、クインシーの才能を感じずにはいられない一枚であると思います。

THE ART FARMER SEPTET
1953年7月5-8日[1~4] 1954年6月7日[5~8]録音
ART FARMER(tp)
JIMMY CLEVELAND(tb) CLIFF SOLOMON(ts) OSCAR ESTELL(bs) QUINCY JONES(p) MONK MONTGOMERY(eb) SONNY JOHNSON(ds) [1~4]
JIMMY CLEVELAND(tb) CHARLIE ROUSE(ts) DANNY BANK(bs) HORACE SILVER(p) PERCY HEATH(b) ARTHUR TAYLOR(ds) [5~8]

1.MAU MAU
2.WORK OF ART
3.THE LITTLE BANDMASTER
4.UP IN QUINCY'S ROOM
5.WILDWOOD
6.EVENING IN PARIS
7.ELEPHANT WALK
8.TIAJUANA