12月も半ばを過ぎ、いよいよ今年も押し詰まってまいりました。昨日からは浅草の浅草寺で羽子板市も始まったそうで、ゴルフの石川遼選手や横綱・白鵬など『今年の顔』をあしらったものも多く出ているそうですが、やはり昔ながらの歌舞伎役者の押し絵の羽子板をもとめる人が大多数のようです。
そもそも、羽子板市が女性でにぎわうようになったのは、歌舞伎役者の押し絵があしらわれてからだそうですから、現代の人気役者の押し絵に若い女子が群がる・・・・ナイナイ(笑)
「ちょっとお兄さん、いい絵があるよ」てなもんで、春画を若い男子に売る奴もいないわけで、文明は風俗をも変えていくのでありますね。
先日、ずっと逢いたかったモンクの映像にYouTubeで出会えるなど、羽子板を買わなくとも、すぐに映像で逢える時代ですからね。(ちょっとそれは違うんじゃない?)
今日の話もまた、そんな現代文明のおかげというお話であります。
私が以前から探しているCDがあるのですが(レコードじゃないところが私らしくもありませんけど)、これがなかなか見つからない。
そのCDとは、1955年のニューポート・ジャズ・フェスティバルでマイルス・ディビスがコロンビアのジョージ・アバキァンに、コロンビア入りの決断をさせたという伝説の演奏が収められた「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」というCDです。(その他の録音も収録されており、なかなかレアーな録音を集めたCDです。)
マイルス以外のメンバーは、セロニアス・モンク(p) ズート・シムズ(ts) ジェリー・マリガン(bs) パーシー・ヒース(b) コニー・ケイ(ds)というオールスターズ(この日の出演者で企画されたオールスターズに、スペシャル飛び入りとしてマイルスが加わった)で、イントロダクションを除けば「HACKENSACK」「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」「NOW'S THE TIME」の三曲が録音され、同CDで初お目見えしたのです。
一昨年だったでしょうか、マイルスの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」のスペシャル・エディションとして、従来の「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」にディスクをもう一枚つけて発売になったCDがありました。
ここにニューポートでの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」1曲だけが入っています。(これについては以前紹介していますのでこちらを参考に)
ところが、残りの2曲はこれにも収録されず、未聴である私としては「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」を探すしかなかったわけです。
しかし、これが見つからない。
それがね、言ってみるもんですねぇ、とあるジャズ好きのオヤジNさんとの話の中で
クリスマス→クリスマス・セッション→喧嘩セッション→喧嘩はしてない云々の話→ニューポートでのモンク、マイルス共演の話→私が「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」というCDを探している→あっそれ持ってるよ
ですよ。
もちろん、それを譲っていただくというわけにはいきません。そこで現代文明の力ですよぉ、ちょっとだけ著作権法には目をつむっていただくとして、コピーしていただきました!今、手元にあります!まだ聴いてません!(笑)
演奏内容は「一夜にしてマイルスをスターにした!」との伝説ほどではないとも聞いています。それでも私にとってこれは、ちょっとしたクリスマス・プレゼント、今度の休みにゆっくり聴こうと思っています。
私にとってのサンタさんはNさんであります。抱きしめてチューしちゃおうかなぁ(笑)
さて、ということで今日の一枚は、この「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」といきたいところですが、厳密には所有盤でもありませんし、まだ聴いてもいませんので、このCDを手元に呼んでくれたクリスマス・セッション、超有名盤にしました。
1954年のクリスマス・イブ、ルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオでは、マイルス・デイビス(tp) ミルト・ジャクソン(vib) セロニアス・モンク(p) パーシー・ヒース(b) ケニー・クラーク(ds)という夢のようなセッションの録音が行なわれました。
世に言うマイルス、モンクの『喧嘩セッション』
4曲6テイクのその録音は「MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS」に3曲4テイク、今日のアルバムに1曲2テイクが収められたのです。
真実か、はたまた、外野の面白話か、マイルスとモンク間に何があったのか?
前後のゴシップやら、全てのテイクの聴き込みやら、この録音の真実を解き明かそうとする者は後を絶えず・・・・・・・・・
よくよく考えれば、どうでもいい話でありまして、まして「そんなに気になるなら本人達に直接訊けよ」てなことでありますが、本人達がこのことについては語りたがらなかった、まして、モンクとマイルスですからしつこくしたら怒られる(笑)てなこともあったのでしょう。
エンジニアのヴァン・ゲルダーが聞いたという「俺のソロの間は楽にしてろ(演奏するな)」とのマイルスの言葉とか。モンクも休んでるどころかマイルスのまわりをウロウロしてたとか。「THE MAN I LOVE」で、モンクがソロパートを途中で止めてしまったとか。
喧嘩と呼ばれる要因はあったにせよ。
噂が一人歩きしだしたのは、第一に本人達が語ろうとしなかったこと。第二にどの演奏も緊張感みなぎる演奏であること。ここに起因するもので、本当に喧嘩したんなら今日私が手にした演奏に、飛び入り同然とはいえマイルスが加わることをモンクが許すわけもありません。
それより、私は、どうしてこのセッションのピアノがモンクだったのか?MJQのジョン・ルイスをそのまま使っても良かったのではないか?ジョン・ルイスを嫌っている誰かがいたんじゃないか? あははは、そちらの方が気になったりします。
いずれにしても、話題先行のアルバムとも言えますが、ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツの名にふさわしい演奏だと思います。
クリスマスも近いことですし、改めてこの名盤を聴き直してみましょうか。
BAGS' GROOVE / MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS
1954年6月29日[3-7], 12月24日[1,2]録音
MILES DAVIS(tp) PERCY HEATH(b) KENNY CLARKE(ds)
THELONIOUS MONK(p) MILT JACKSON(vib)[1,2]
SONNY ROLLINS(ts) HORACE SILVER(p)[3-7]
1.BAGS' GROOVE [take 1]
2.BAGS' GROOVE [take 2]
3.AIREGIN
4.OLEO
5.BUT NOT FOR ME [take 2]
6.DOXY
7.BUT NOT FOR ME [take 1]
追伸、
いちおう「MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957」の収録内容を記します。
MISCELLANEOUS DAVIS 1955-1957
Miles Davis (tp) Zoot Sims (ts) Gerry Mulligan (bars) Thelonious Monk (p) Percy Heath (b) Connie Kay (d)
'Newport Jazz Festival', Newport, RI, July 17, 1955
1.Hackensack
2.'Round About Midnight
3.Now's The Time
Miles Davis (tp) Lester Young (ts) Rene Urtreger (p) Pierre Michelot (b) Christian Garros (d)
"Kongresshaus", Zurich, Switzerland, November 19, 1956
4.Four
5.Walkin'
6.On Lady Be Good
Miles Davis (tp) Bobby Jaspar (ts) Tommy Flanagan (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (d)
"Birdland", NYC, October 17-30, 1957
7.All Of You
8.Four
9.Four(2)
Miles Davis (tp) Erwin Lehn (comp) unidentified orchestra
"Beethoven Saal", West Germany, December 18, 1957
10.Yesterdays
11.'Round About Midnight
12.Walkin'