毎日のできごとの反省

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高速水上機性能の不思議

2017-10-10 15:57:46 | 軍事技術

 戦前のある時期、世界速度記録を作るのに、水上機とする例が多かった。典型的なのはマッキMc72である。双フロートを抱えているのに、709km/hの世界速度記録を出している。これは、水上機にすれば、滑走路の長さ制限がないので、主翼を最小限にして抵抗を減らせると説明されている。何せ当時の陸上機の速度記録は、566km/hだというのだから、桁違いである。

 つまり、当時なら陸上機より総合的に空気抵抗を減らせると称して、実証している。それならば、その後の引込脚の実用軍用機にはどうか、興味がある。日本では零戦から二式水戦が作られている。最大速度は533km/h/4550mから436km/h/4300mに減じている。陸上機の82%に減じている。

 以下はモデルアートNo.387からの引用である。スピットファイアも水戦を試作している。MkⅤの場合は、598km/h/5978mが513km/h/5490mに減じている。85.8%減である。もう一つMkⅨでも試作している。資料によれば、649km/h~664km/h/5900mが619km/hに減じている。95.4%~93.2%という、低い低減率である。これらは武装削減の影響もあるとされている。

もしMkⅨが700km/h出していても、低減率は90%近い。いずれにしても、二式水戦に比べて、スピットファイアのフロートによる抵抗増加はかなり少ないと言わざるを得ない。

 この場合、Mc72の例を考えれば、二式水戦、ひいては日本の水上機のフロートによる抵抗が大きすぎるように思われる。ちなみにMc72とスピットファイアなどの欧米系は全て双フロートであり、二式水戦も強風も高速を狙った水上戦闘機は単フロートである。これがどう影響しているのか分からないが、日本機の場合には水上の取廻しなどを考慮して、フロートが大きく、抵抗の増大に関係しているように思われるが判然としない。

 いずれにしても、速度を上げるために水上機にしているケースがあったのと、フロートによる抵抗の増加に悩む日本機との差は不可解としか思われない。

 

 


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