毎日のできごとの反省

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ハインケルHe113(またの名をHe100D)

2019-08-28 01:20:45 | プラモコーナー

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 このプラモの機体は、大戦機マニアならよくご存知の、He100Dです。 キット自体は俗に言うマルチマテリアル、つまりプラスチック以外の材料も組み合わせたものです。つまり普通には作りにくいものですが、この機体が好きな人にとっては、レジンキットよりは遥かに作りやすく、ありがたいものです。

 小生にとって、He100は単発単座の液冷エンジンの機体としては、日本陸軍の疾風と同じくらい最も美しいと思っているものだから、尚更です。以前にも72のキットは作りましたが、何せ小型なので、物足りませんでしたから48のキットは最高です。

 さてこのコーナーの解説は、これでは終わりません。当時のナチスドイツが世界中に実用機のHe113として宣伝されましたが、実際には採用されませんでした。問題はその理由です。例えばかつて健闘したが廃刊となった航空雑誌のエアワールドの「ドイツ軍用機写真集」には、性能はライバルの「Bf109Eを完全にしのいでいた。しかし政治的理由により採用は見送られ・・・」とある。

 政治的理由とは、社長のハインケルがライバルのメッサーシュミットと異なり、反ナチスだったので、ヒトラーにうとまれていた、と言うものである。日本の多くの解説書はこのよう書かれている。しかし単純に考えてもこれはおかしいのである。ハインケル社のHe111はドイツの主力爆撃機として生産されていた。爆撃機のほうが単価は高いから儲かるのである。エンジンの重大な欠陥を抱えていた、He177も強引に採用されて実用されているのである。事実上の欠陥機を作ったハインケルが本当にヒトラーに嫌われていたら、どうなっていたのか想像するがよい。ソ連などならスターリンの命令で死刑ものであろう。
 
 実はHe100にはいくつか重大な欠陥がある。小型で取り扱いが困難な面があるとされる、Bf109よりさらに小型であったから、さらに取り扱いが困難だったのに違いない。その上にカタログデータ上だけの高性能を狙ったために、蒸気翼面冷却という特殊な方法を採用している。上のプラモを見ればわかるように、液冷エンジンに特有の大型のラジエターがない。わずかに胴体下に小型の引き込み式の補助ラジエターがあるだけである。これで空気抵抗を減らして高速を得たのである。

 しかしこの方式は、故障が多いばかりではなく、主翼面の多くをラジエターに使っているために、弾が命中しやすくて壊れやすい。あっという間にエンジンが焼きついてしまう。通常のラジエターですら、被弾による被害は多いのにである。だからこの方式は競争飛行機だけに使われていた。結局この方式は軍用機としては各国でテストはされているが、採用されたことはなかった。つまり、そもそもHe100には根本的に無理があったのである。このようにHe100は技術的に採用されない合理的理由があったのである。

 しかしなぜ不採用が政治的理由であったなどと言われるのだろうか。それは戦後ハインケル自身がヒトラーに嫌われていたと語ったからである。要するに、ハインケルは主力爆撃機を大量生産するなど、戦争協力していたために、ナチスのシンパだと非難されるのをおそれて嘘をついたのである。しかも自社の技術的判断の誤りを隠ぺいすることにもなったからたちが悪い。世の中にはこのような話に満ちている。例えば朝日新聞は最も戦争協力していたために、戦後さかんに軍により弾圧されたなどという嘘を書籍その他でばらまいているのも、その類である。

 ちなみに小生それでもハインケルの飛行機には好きなものが多いのです。旧ソ連嫌いですが、旧ソ連やロシアの軍用機には好きなものが多いのです。どうも坊主憎けりゃ袈裟まで憎しという心境になれないのは変なのでしょうか。



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