毎日のできごとの反省

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書評・日本列島防衛論・中西輝政・田母神俊雄・幻冬舎

2015-04-26 14:07:57 | 国防

・日本と英国の類似点と相違点について

類似点:島国という閉鎖社会だから信用が必要となる。狭いから逃げ出すところがないから、同じ人たちと長く付き合わなければならないからである。信用で生きているから慣習法のようなもので、物事が決まる。だから日英人共に大陸の人間から本音が分からないといわれる。(P47)

相違点:大陸を隔てる海峡が、英国では狭く流れも緩く、周辺の海も穏やか。日本はその逆。そのため英国人は外洋進出したのに、冒険心の強い日本が日本に閉じこもった。外国から攻めにくいが、外にも出にくい。(P62)イギリス人やスペイン人たちが、海洋に出たのは、陸路がイスラム圏に抑えられていたからだ、と説明するのも納得できるが、この説明も正しいのだろう。

・日本は戦後戦争している

 日本は朝鮮戦争の時、海上保安庁が掃海に行って死者が出ている。(P88)その通りで、平和憲法を唱える人たちが、このことを看過し、拉致問題も長く無きことにしてきたのである。戦後は憲法9条のおかげで戦争もしなければ、犠牲者も無かったという虚構が壊れるからである。竹島も奪われた。日本は戦後「平和憲法」のもとで侵略されたのである。

・アメリカは衰退する(P172)

 中東に手を出して、生きのびた島国帝国はない、というのが中西氏の命題である。英国の衰退の原因のひとつは、中東に関与し過ぎたためである。英国はインドを支配した時、通過点である中東は部族の首長を買収して間接支配していた。ところが石油時代になると本格的に干渉に言って失敗した。アメリカも中東で失敗しつつある。

 もうひとつは過度に国際化すると、国家の中心が拡散して老化する、というのである。田母神氏は、自衛隊が状況を説明する時日本地図を持ちだすが、アメリカは自国が中心にある世界地図を持ちだすと言う。中西氏は、これがアメリカが過度に国際化した証拠であり、ベトナムでの敗戦で限度を悟ればよかったというのである。世界中がアメリカである、という意識になっているのが「終わりのはじまり」だという。

 ちなみにアメリカは巨大な島国だというのであるが、かつてアメリカは中南米に閉じこもろうとする、モンロー主義とヨーロッパや支那に干渉する、国際主義に揺れ動いた。現在のオバマ大統領は世界の警察官は止めた、と言ってモンロー主義を目指しているように見えるが、アメリカの政治経済は国際主義から逃げるつもりはないようである。

・中国という「共通の敵」出現は日本の幸運(P216)

 今、中国が外洋進出しようとしているのは、島国としてアメリカと対決することになろうとしている。大島国は並び立たずの原則から、日本は大東亜戦争で負けたが、冷戦の終結で再び米国と対峙しなければならなかったのかも知れないが、中国の進出は日本にとって幸運だった、というのである。


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