毎日のできごとの反省

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何故北は核兵器を持てた?

2016-02-16 15:58:19 | 軍事

 中共政府は北朝鮮に核兵器を持たせない気なら、できたはずである。それは核兵器の技術を供与しない、ということではない。北朝鮮の言う核実験なるものが、現在知られている限り、かなり不完全なものである。従って北朝鮮の技術者が北京で勉強したり、技術を盗んだりしたことはあり得る話であるが、直接技術供与はしていないと考えられる。

 中共政府が北の核開発を阻止するつもりなら、政治的、経済的圧力をかければよいのである。政治的圧力には軍事的な要素もある。経済は全面的に中共に依存しているから、この方面の圧力も有効である。ナンバー2.であった張成沢は中共にならって改革開放政策をしようとしていた、とも伝えられている。

 張は中共との関係は良かったといわれているが、改革開放政策は必ずしも中共の望むところではなかったであろう。中共のように成功してしまえば、経済的に自立してしまって、中共のコントロールが利かなくなってしまう、と考えても不思議ではない。だから、張が処刑されて中朝の関係が悪くなったように論評する筋もあるが、決定的に悪くなったという兆候もない。

 北朝鮮が核兵器を持ったところで中共に問題はない。核兵器で中共を恫喝するなどということは、絶対に不可能である。通常戦力でも核戦力でも北を蹂躙するのは簡単だからである。それよりも不完全ながら、北が核兵器を持つメリットは大きい。北の核兵器を使うことによって、間接的に日本やアメリカを恫喝することが可能になるからである。

 中共自身がアメリカを核恫喝するには、リスクが大き過ぎる。現に兵頭二十八氏によれば、米中はICBM競争をしないという、秘密協定を結んでいて、中共のICBMの数はかなり制限され続けているのだそうだ。しかし、北朝鮮ならば、中共自身のリスクなしに、日米に脅威を与えることができる。今すぐ、と言わずとも将来の手駒のひとつになる可能性があるから、北の核開発を事実上放置しているとしか考えられない。

 また、産経新聞の平成28年2月10日の古田博司の正論によれば、核実験や延坪島砲撃事件などの騒ぎを起こすたびに、韓国は北朝鮮に裏金を払っていることがあるのだそうだ。つまり韓国は実質的に経済援助をしている。それならば、中共の経済援助の負担が減る。

つまり北朝鮮が、適度に騒ぎを起こしてくれることは、中共にとって、北朝鮮をぎりぎりのところで存続させるには好都合なのである。