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映画 犯罪河岸(1947) 良質なフランス製サスペンス映画

2022年04月11日 | 映画(は行)
 漢字四文字のタイトル名で「はんざいかわぎし」、「はんざいかぎし」・・・結局何と読むのかわからなかった。読み方はわからなかったが、映画の方は人物の描写が素晴らしく、また人間の悲喜こもごもが描かれており、人情を感じさせる。そして殺人事件が起きてからフランスを代表するジャン・ギャバンと並ぶ名優であるルイ・ジューヴェ演じる刑事がバリバリの存在感で引っ張る。色々な名作に出演しているが、この人が出てくると映画が締まる。

 主な登場人物は4人だが、殺人事件を巡っての各々の思惑が描かれることによって一筋縄では行かぬストーリーの紹介を。
 頭は禿げかけていて、見た目は冴えないピアニストである夫のモーリス(ベルナール・ブリエ)だが、けっこう可愛くて、色気がある場末の二流歌手であるジェニー(ジュジー・ドレル)という妻が居るのだが、モーリスは嫉妬深いためにジェニーに近づいてくる男には苛ついているところを見せる。何かと喧嘩が絶えない夫婦だが、2人は愛し合っている。
 そして彼らの階下に住んでいるのがモーリスの幼馴染みであり金髪美女で独身のカメラマンであるドラ(シモーヌ・ルナン)。ドラはモーリスを好いているが、ジェニーとも非常に仲が良い。

 ある日の事、ジェニーはドラの部屋で写真撮影をしていると映画会社の社長で金持ちの老人ブリニョン(シャルル・デュラン)から映画出演させてやるから、会わないかと言われる。そのことが気に食わないジェニーの夫のモーリス。ブリニョンとジェニーが会う前にモーリスが現れ、ブリニョンに喧嘩を売り結局話はおじゃんになる。
 しかし、出世欲が強いジェニーがモーリスにばれないようにブリニョンの自宅へ行こうとしていることを知り、怒りや嫉妬に駆られたモーリスは拳銃を持ち、アリバイを作ってからブリニョン宅へ行くのだが、ブリニョンは頭から血を流して死んでいた。驚いたモーリスはその場を去ろうとするのだが、目の前で車を盗まれてしまい、何とか走って家へ帰る。モーリスはジェニーがブリニョンを殺害したと思っているのだが、やっと現れたルイ・ジューヴェ演じるパリの刑事アントワーヌだが、彼はモーリスがブリニョンを殺害した容疑者の第一候補として捜査を開始する・・・

 モーリス、ジェニー、ドラの麗しき仲間意識に涙が出そうになる。モーリスは完全にジェニーがエロ爺であるブリニョンを殺害したと確信しているのだが、決してルイ・ジューヴェ演じる刑事に妻が犯人であることを言わない。そしてジェニーはドラに対して「私がブリニョンを殺したのよ」と言ってしまい、警察へ行って自供しようとするのだが、その時のドラは「そんなことをしたらモーリスが悲しむから警察へ行かないで」なんて言うところなんかは女同士の友情、意地、幼馴染みのモーリスに対する熱い想いを感じることができる。しかも、ドラはジェニーのためにブリニョンの自宅へ行ってジェニーの指紋を消したり、証拠品を燃やしたり、ジェニーが置き忘れたマフラーを持って帰ってやったりする。このあたりのモーリスとドナのジェニーに対する愛情や友情は感動もの。しかし、そんな3人を抜群の推理力と行動力を持ってルイ・ジューベ演じる刑事が追い詰める。
 単なるサスペンスに終始した映画ではなく3人の男女のそれぞれの思惑を考えるだけでも切なくなるし、またルイ・ジューヴェ演じる刑事にしても、なかなか面白い冗談をいったりするのだが、彼の今までの人生には苦労が付きものだったことに、人間を描いた奥深いサスペンス映画だということに気付かされるのが良い。
 事件の結末はここまで読んだ人はもうわかったと思うかもしれないが、実はかなり意外な結末を迎える。正直なところ犯人が誰か推理しながら観る映画ではないので、その手のタイプの映画を期待すると失敗するが、人生を感じさせるサスペンス映画としてはハマる人にはハマるだろう。今回は人間の悲喜こもごもを感じさせるサスペンス映画として犯罪河岸をお勧め映画として挙げておこう。

 監督はアンリ=ジョルジュ・クルーゾ。フランスを代表するサスペンス映画の名手。ナチスドイツの侵攻によって多くのフランスの映画監督はアメリカへ逃げたが、この人はフランスに留まって映画を撮り続けた。ナチスドイツの影響を感じさせる心理サスペンス密告、ホラーのようなどんでん返しの妙を感じさせる悪魔のような女、メガトン級のスリルを感じさせるハラハラドキドキさせる恐怖の報酬がお勧めです。


 

 
 


 

 



 











 



 


 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (アスカパパ)
2010-09-18 18:10:24
なるほど、そう言われれば、最近の作品は、ハラハラドキドキ感に欠けますね。多くの作品で、結果が見えて来るのも一因かと思います。
「情婦マノン」…人によって評価は割れるかもしれませんが、私は凄いと思います。
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こんにちは (ディープインパクト)
2010-09-19 07:48:26
 まだ見ぬ名作の中で『情婦マノン』は出会っていない作品で今後も気楽に待とうと思っています。
 確かに『犯罪河岸』は結果がこうなるだろうと予測できても、クルーゾ監督ならば最後にもうヒトオチありそうですからね(笑)
 この映画は色々と見所がたくさんある映画で面白い映画でした。
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