褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ミュンヘン(2005) 実録スパイ映画です

2017年04月06日 | 映画(ま行)
 1972年にドイツのミュンヘンでオリンピックが行われた。しかし、平和の祭典であるはずのオリンピックに悲劇をもたらしたのがミュンヘンオリンピック事件。イスラエルの選手団11人を黒い九月と名乗るパレスチナ過激派グループが殺害した事件。
 ミュンヘンオリンピック事件の顛末を描くだけでも充分にサスペンスフルで面白い映画が出来そうなものだが、本作はその後のイスラエルの諜報機関モサドの暗殺部隊による黒い九月の幹部に対する報復作戦の様子が実話を基にじっくりと描かれている。
 本作の監督はユダヤ人のスティーヴン・スピルバーグなだけにイスラエルに肩入れした作品になるかと思いきや、意外にもそんな単純なイデオロギーに満ちた映画ではなかった。
 彼が凄いのは一つの事を切っ掛けに多義に渡るテーマを内包した作品を撮りあげてしまうこと。本作が制作された30年以上前の出来事から、祖国、家族、戦争、人間性、復讐・・・といった普遍的テーマを本作品にぶち込んだ。
 しかし、そうは言っても平和ボケした日本人が観れば色々と驚きの場面が登場する。国家公認の暗殺部隊の存在、国を持たない民族の悲劇、各地で繰り広げられるスパイの暗躍など。しかし、驚くといっても世界を見渡せばこんな事はアッチコッチで行われているのは当たり前のこと。この映画の出来事が現実だと思わせない日本って本当に素敵だと感じる。

 実は本作を観ていて最も驚いたのがモサドにに対する俺が持っていた認識の甘さ。古今東西においてモサドが最も優秀な諜報機関であり、そこに属するスパイの連中も一寸のスキもないぐらいストイックで、愛国心に満ち溢れ、特殊能力を兼ね備えていて、うつ病になんかならないと思っていたのだが、意外にも粗だらけ。
 爆弾作りの担当者なんてオモチャを作るのが専門だったり、ハニートラップに引っ掛かる奴がいたり、家族が心配で仕事に集中できなかったり。この辺りは俺が今まで抱いていたモサドのイメージを大きく変えてくれたし、スパイも人間なんだという当たり前のことに気づかせてくれた。

 さて、スパイ映画と言うよりも社会派映画と言った方が正しいストーリーの紹介を。
 1972年のドイツ、ミュンヘンでのオリンピックが開催している頃、イスラエル選手団の宿舎に黒い九月と呼ばれるパレスチナ過激派集団が乱入。成り行きで2人を殺し、残りの9人を人質に立てこもる。彼らの目的はイスラエルの投獄されている200人以上の同志の解放。しかし、西ドイツ側のまずい対応もあり人質はみんな殺害。生き残った黒い九月のメンバーは逃亡してしまう。
 自国民を殺されたイスラエルは決して黙って見過ごさない。ゴルダ・メイヤ首相はモサドの長官を呼び出し、今回の事件に関係した黒い九月のメンバーの幹部11人を報復をするように命令する。モサドはアヴナー(エリック・バナ)をリーダーとする専門知識を持った5人の暗殺部隊を組織し、リストに載ったメンバーを一人ずつ消していくのだが・・・

 暗殺部隊の5人は当初こそは祖国のために正義の行いをやってきたと信じていた。しかし、他人を巻き添えにしたり、リストに載っていない人間を暗殺したり、挙句の果てに逆に自分の命を狙われたりするうちに、本当に自分のやっていることは祖国のためにしていることなのか?と次第に疑問を抱き始める。
 なんせ現在においても自国民を殺している独裁者を消し去っても、新たにさらにひどい暴君が誕生したり、テロリストの温床になってしまっているのは誰もが承知していること。本作においてもそんな矛盾に悩んでいる様子が描かれている。
 銃撃戦や爆発の激しさは目を見張るものがあり、エログロもあり2時間半を超える長い映画だが全く退屈させない。しかも、色々と深読みのしがいのあるテーマが隠されているのだから、大人の観賞にもってこいだ。
 イスラエルという国に興味のある人、スパイについて詳しい人、スリルを求めている人、なぜ中東は争いが絶えないのか知りたい人等には特にお勧めできる。
 数々の名作、傑作、楽しい映画を遺してきたスピルバーグ監督作品の中でも上位の部類に入る優れもの。まあ、結局のところ高校生以上の人ならばお勧めということで今回はミュンヘンをお勧め映画として挙げておこう

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]
トニー・クシュナー,エリック・ロス
角川エンタテインメント


 監督は前述しているように今や巨匠としての貫禄もあるスティーヴン・スピルバーグ。誰もが知っている映画ばかりですが、個人的には彼の作品で最も好きな映画としてアミスタッドをお勧め映画として挙げておこう。





 
 

 

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1 コメント

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これが武豊だ (振られ飛車)
2007-10-31 14:33:41
今までのサムソンは、ゴール前息を抜くところがありましたが、今回は一気に突き抜けました。ここが石橋さんと豊さんの差なんでしょうね。

レース自体、いたるところでラフプレーがあり、後味の悪いレースでした。やはり東京2000mは大レースの舞台には不適ですね。
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