褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ぼくの伯父さん(1958) アートセンスを感じさせる

2022年01月11日 | 映画(は行)
 独独の笑いを提供してくれるフランスの映画監督であり主演も脚本もこなしてしまうジャック・タチ。そんな彼の代表作でもあるのが今回紹介する映画ぼくの伯父さん。彼が演じるユロ氏を主演とした映画においてはぼくの伯父さんの休暇(1953)プレイタイム(1967)等あるが、本作が最も有名で前述した2作品より面白い。
 ちなみにユロ氏のキャラクターだが極端に台詞が少なく、背が高く、常にパイプを口にくわえており、晴れの日でもレインコートを着ている。そして、全く悪気はないのだが次々に騒動を巻き起こす。そのユーモラスな見た目と行動はけっこう笑わせてくれる。

 古い作品だが、今観てもモダン的な感覚に溢れているストーリーの紹介を。
 もういい年をしたユロ氏(ジャック・タチ)だが無職で独身でパリの下町のアパートに住んでいる。彼の義弟にあたるチャールズ(ジャン・ピエール=ゾラ)はホースを製造する会社の社長であり、家は非常にモダンな様式で斬新さがある。しかしながらチャールズのまだ幼い息子ジェラール(アラン・べクール)はそんな家に息苦しさを感じており、伯父さんにのユロ氏のことが大好き。
 チャールズの奥さんは未だに無職で独身の兄のユロ氏のことが心配で、結婚相手のお見合いのために自宅でパーティをしたり、夫の会社へ勤めさせようとしたり色々と奮闘するのだが・・・

 社長のチャールズの家が見た目もモダンで何かとオートメーション化されている。一方、ユロ氏が住んでいるアパートだがこれが笑える。どんなアパートかは是非本作を観てもらいたいのだが、ユロ氏が住んでいるのは最上階。俺だったらこんなアパートの最上階には絶対に住みたくないと思うのだが、ユロ氏はけっこう平気そうにしているのが笑える。そして、チャールズの家でユロ氏が巻き起こす騒動はけっこうな爆笑もの。何事もオートメーション化された生活に全く慣れていないユロ氏が色々とやらかしてしまうのだが、この辺りの件はまさに当時の現代社会をシニカルに描いている。ハッキリ言って庭に噴水があっても邪魔で鬱陶しいだけ。
 義弟のコネで入社した会社でもユロ氏は騒動を巻き起こすのだが、ホースの製造シーンも爆笑。大失敗をしても世間知らずなユロ氏は大してクヨクヨしないのだが、神経質な俺には非常に羨ましいオジサンに思える。その他にも色々と笑えたり、笑えなかったりのギャグが多々でてくるが、個人的には本作が凄いと思うのが映像を通して伝わるアートセンス。構造、色彩、セット等、今観てもモダンさが失われていない。
 ユロ氏は殆ど喋らないので、面白いことを言うのを期待して観るのは的外れだが、フランス製のこじゃれた映画を観たくなった時に今回はぼくの伯父さんをお勧め映画として挙げておこう。

 監督、主演は前述したジャック・タチ。前述したぼくの伯父さんの休暇はモノクロの映像に抵抗感が無ければ笑える。
 

 
 

 
 








 


 
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