長ったらしい邦題のおかげで観る気が失せている人が居ると思うが、原題はDemolition。意味は『取り壊し』『解体』といったところ。原題のように主人公が身近な物をドンドン壊していく様子が半ば永遠に描かれている。ちなみに俺は観ている最中は奇行を繰り返す主人公の気持ちが理解できずに、途中では駄作を見せられたのか?なんて嫌な予感がしたのだが・・・。
早速だが、ストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
ウォール街で義理の父親フィル(クリス・クーパー)が経営する金融会社で働くデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)。ある日の事、妻のジュリア(ヘザー・リンド)を交通事故で亡くしてしまう。ところがそんな訃報に接してもデイヴィスは涙も出ず、悲しみの感情すら湧いてこなかった。そんな彼を心配したフィルは忠告するのだが、それを切っ掛けにデイヴィスは周りが手に負えないほど奇行を繰り返し・・・
アリャ、俺は妻を愛して無かったのか!?なんて思い始めた自分に愕然として、乗車していた走行中の列車の急ブレーキを掛けたり、自宅内の物を夜中になってもドンドン壊し、会社の物までドンドンぶっ壊していく等、明らかにこの主人公はイッチャッテしまっている。表情もすっかり虚ろになっていて、もう立ち直れそうな気配が全くない。さて、普通の人ならば手に負えそうにないほど精神に異常をきたしてしまっているこの男は、いかにして立ち直っていくのか?
亡くなった妻のお父さんのアドバイスぐらいでは彼の人間としての感情を取り戻すことが全くできないのだが、そんな彼を徐々に癒すことになるのが、壊れた自販機のクレームの手紙を送り続けたカスタマーサービスの女性カレン(ナオミ・ワッツ)とその息子との奇妙な交流。主人公はこの家族と結ばれて再生への道を歩みだすのかと思いきや、そんな単純なストーリーではなかった。主人公にあるべき感情をもたらすのは意外な物であることに驚きと感動が迫ってくる。
喪失と再生という大きなテーマがあるが、本作の全編に渡って描かれているのが、欺瞞や嘘勢に満ちた世界。その描き方が非常に皮肉が効いていて笑える。そして、そこから抜け出すことができた時の解放感に浸れるのが本作の最大の長所といえるだろう。
すっかり絶望的な気分に陥っている人、周囲に体裁ばかりを繕っている人、ストレスやイライラしているのが自分でもわかる人等には是非見て欲しいし、先行き不明のこんな時代だからこそ、新年の一発目に映画雨の日は会えない、晴れた日は君を想うをお勧めに挙げておこう
監督はジャン=マルク・ヴァレ。ダラス・バイヤーズクラブ、わたしに会うまでの1600キロで今や注目に値する監督です。
早速だが、ストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
ウォール街で義理の父親フィル(クリス・クーパー)が経営する金融会社で働くデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)。ある日の事、妻のジュリア(ヘザー・リンド)を交通事故で亡くしてしまう。ところがそんな訃報に接してもデイヴィスは涙も出ず、悲しみの感情すら湧いてこなかった。そんな彼を心配したフィルは忠告するのだが、それを切っ掛けにデイヴィスは周りが手に負えないほど奇行を繰り返し・・・
アリャ、俺は妻を愛して無かったのか!?なんて思い始めた自分に愕然として、乗車していた走行中の列車の急ブレーキを掛けたり、自宅内の物を夜中になってもドンドン壊し、会社の物までドンドンぶっ壊していく等、明らかにこの主人公はイッチャッテしまっている。表情もすっかり虚ろになっていて、もう立ち直れそうな気配が全くない。さて、普通の人ならば手に負えそうにないほど精神に異常をきたしてしまっているこの男は、いかにして立ち直っていくのか?
亡くなった妻のお父さんのアドバイスぐらいでは彼の人間としての感情を取り戻すことが全くできないのだが、そんな彼を徐々に癒すことになるのが、壊れた自販機のクレームの手紙を送り続けたカスタマーサービスの女性カレン(ナオミ・ワッツ)とその息子との奇妙な交流。主人公はこの家族と結ばれて再生への道を歩みだすのかと思いきや、そんな単純なストーリーではなかった。主人公にあるべき感情をもたらすのは意外な物であることに驚きと感動が迫ってくる。
喪失と再生という大きなテーマがあるが、本作の全編に渡って描かれているのが、欺瞞や嘘勢に満ちた世界。その描き方が非常に皮肉が効いていて笑える。そして、そこから抜け出すことができた時の解放感に浸れるのが本作の最大の長所といえるだろう。
すっかり絶望的な気分に陥っている人、周囲に体裁ばかりを繕っている人、ストレスやイライラしているのが自分でもわかる人等には是非見て欲しいし、先行き不明のこんな時代だからこそ、新年の一発目に映画雨の日は会えない、晴れた日は君を想うをお勧めに挙げておこう
監督はジャン=マルク・ヴァレ。ダラス・バイヤーズクラブ、わたしに会うまでの1600キロで今や注目に値する監督です。