褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 拳銃の報酬(1959) 強烈なラストシーンと言えばこれ!

2014年09月18日 | 映画(か行)
 よくフィルム・ノワール映画の傑作に挙げられることが多いのが今回紹介する映画拳銃の報酬。実はいきなりだが、俺自身がフィルム・ノワールの本当の意味をわかっていない。俺的には、あんまりラストシーンが気持ち良くない犯罪映画の類で使っていることが多い。
 本作はハリウッドが昔から得意とする大金強奪をメインにした映画。そうなると強盗シーンがもの凄くハラハラドキドキするような展開を期待する人が多いと思うが、チッとも強盗シーンは盛り上がらないし、それまでのシーンに到っても特別凄いと思わせるシーンは何も無い。時々、本作をアクション映画に分類している記事を見かける時があるが、本当にアクション映画と思って観たら肩透かしを食らってしまう。犯罪サスペンス映画と言いたいところだが、これだけ盛り上がりに欠けるとサスペンス映画に分類してしまうのも的外れ。サスペンス風味の中に人種偏見問題をぶち込んだ社会派映画と言ったほうが的を得ていると思う。

 白人と黒人なんて分け隔てても、結局は人間なんて行き着く先はみんな一緒。白も黒も焼け死んでしまえばただの灰。ある意味、人種問題の愚かさを悟った気分になれるストーリーとはいかなるものか。
 元警官でありながら法廷侮辱罪で一年間刑務所暮らしをしていたバーク(エド・ベグリー)は既に年老いて、ぼろアパートに住んでいる。しかし、このままでは負け組みの人生に終わってしまうことに嫌気がししていた彼は一攫千金を狙って、銀行強盗を計画していた。
 彼は旧知の間柄であったスレイター(ロバート・ライアン)と酒場で歌手をしている黒人のジョニー(ハリー・ベラフォンテ)を誘って銀行強盗を実行しようとする。スレイター(ロバート・ライアン)は前科者であり、今では女に食わさせてもらっている落ちこぼれの老人。ジョニー(ハリー・ベラフォンテ)は博打好きが祟って、元妻と愛娘と別れさせられた上に、借金まみれ。ニッチモサッチモいかないダメダメ3人組の男達は、ボロボロの人生に終止符を打つべく銀行強盗を実行するのだが、スレイター(ロバート・ライアン)は異常なまでの黒人差別主義者であることから、事態は思わぬ方向へ転がっていくのだが・・・

 本作をフィルム・ノワール映画の傑作と言う意見には、半分以上は冗談のつもりで聞いておくぐらいにしておいた方が良いと思う。銀行強盗計画にいたっては仲間選びからして、なんでこの2人だったの?なんて思わざるを得ないし、もう少しマシな強盗方法があっただろうと誰もが思うはず。俺なんかはワザと失敗するための銀行強盗計画だったの?なんて思ったぐらいだ。
 しかし、この映画の最大の見どころはラスト数分間に集約されている。特に最後のわずか数秒の間に、人種偏見の愚かさ及び醜さを強烈に感じ、今までの違和感が漂いまくっていたシーンはラスト数秒のためのネタフリだったことに気付いた時は、思わず1人で拍手喝采した。
 正直観る人を選ぶ映画だと思うが、個人的には冒頭からジャズが流れてくる始まり方はお気に入りだし、ダメダメな男達が金の魔力に引き込まれてしまい更にドツボに嵌まっていく様子は好きな展開。100分足らずという比較的短めの時間もオッケ~。本作に登場する黒人俳優がチャリティーソングの名曲ウィ・アー・ザ・ワールドを世に送り出した提唱者であるハリー・ベラフォンテであることを知っている人ならば、本作は更に感慨深いものを感じることができる。内心では観てもらえれば多くの人が大満足できると思っている映画拳銃の報酬を今回はお勧めしておこう

拳銃の報酬 [DVD]
ハリー・ベラフォンティ,ロバート・ライアン,シェリー・ウィンターズ,エド・ベグリー,グロリア・グラハム
紀伊國屋書店


 監督はミュージカル映画の不朽の名作であるウェスト・サイド物語サウンド・オブ・ミュージックを世に送り出した名匠ロバート・ワイズ。彼のお勧め作品はポール・ニューマンが実在のボクサーを演じた傷だらけの栄光、スティーブ・マックイーン主演で1920年代の中国を舞台にした砲艦サンパブロなどがお勧めです。

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