写真のための殺生
アリの写真は撮り難い。小さい上にちょこまか動くのでなかなかレンズに収まってくれない。そんなアリの写真を撮るために私はどうしているかというと、
餌のある時は餌でおびき寄せる。餌に集中して動きが止まるし、多くが集まって混雑した時には彼らもちょこまか動き回ることができず、動きが鈍くなる。
餌が無い時、それでも写真を撮りたい時は殺虫剤を少し撒いてアリの動きを鈍くする。殺虫剤の無い時は、軽く叩いて(たぶん骨折しているか何かで)動けなくしている。
今回紹介するフタイロヒメアリの写真は、女王アリが2014年7月、働きアリが同じ2014年のこちらは9月。はっきり覚えているわけではないが、その頃はアリの写真を撮ることに執着していなかったので、わざわざ餌を準備したり、殺虫剤撒いたり、叩いたりなどして撮ったのではない。なるべく殺生は避けたいと私は思っている。しかし、そこにアリがいて、それがたまたまじっとしている、あるいは、動きが鈍いのであれば撮っていた。下の写真は、その時フタイロヒメアリの動きが鈍かったのだと思う。
もちろん、写真を撮った時に「これはフタイロヒメアリだ」と認識ていたのでは無く、たまたま止まっていたアリを写真に収め、後日調べたらフタイロヒメアリだった、たまたま女王アリで、その2ヶ月後にたまたま働きアリの写真が撮れただけのこと。
フタイロヒメアリ(二色姫蟻):膜翅目の昆虫
アリ科 トカラ以南の琉球列島、小笠原諸島、熱帯亜熱帯に分布 方言名:アイ
イエヒメアリ(家姫蟻)の説明で「屋内に生息し、小さいことからイエヒメアリ(家姫蟻)という名前」と私は書いているが、文献による根拠は無く私の想像によっている。本種はイエヒメアリと同属(ヒメアリ属)で体長2ミリ内外と小さい。で、イエヒメアリと同じヒメアリ(姫蟻)とつく。二色については『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「体は淡黄褐色で、頭部と腹部は黒褐色を帯びる」とあることから二色だと思われる。
「やや乾燥した所を好み、屋内、屋外でも見られ、大きな群れを作る」とあり、畑で本種は多く見られた。大きな群れも見たが、群れの写真は撮り忘れている。「動作はやや鈍いが、大きな群れで食物にたかるため(食物)がたちまちなくなる」とのこと。
体長は働きアリ2ミリ内外と文献にあるが、女王アリについては記載が無く、正確には不明。私の見た目では働きアリの約2倍の体長。
女王アリ
記:2018.12.1 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行