ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

薬草その2

2018年12月17日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 知人の、平和運動家で薬草研究家でもあるH爺様、来年83歳になるとのことだがまだまだ元気。1ヶ月ほど前(11月中頃)、私が物置作りをしているとこっちへ向かって歩いてくるHさんが見えた。声を掛けてしばしユンタク(おしゃべり)する。
 Hさんは病院からの帰りで、私の住まいから最寄りのバス停より1つ手前のバス停で降りて、そこから家に向かっている途中とのこと。Hさんの家の最寄りのバス停は私のところからなお1つ先、Hさんは健康のためになるべく歩くようにしているとのこと。

 そのHさんから半年以上も前から頼まれていた薬草表作り、Hさんに頼まれていた五十音順の50種の表作りは既に完成してHさんに手渡しているが、それでは不十分と別の年配の人に助言され、それをHさんに伝えると「そうだねぇ、私もそう思う」となって、ということで、さらに詳しい薬草表作りに取り掛かって、それで時間がかかっている。
 Hさんから借りている分厚い1冊の薬草の本『沖縄の薬草百科』、その中から沖縄に自生が無くて入手が難しいものを除いた約160種を、その方言名、使用部、加工法、使用法、効能、含まれる薬効成分などをエクセルの表にして書き写す。で、時間がかかる。病名、症状名などに知らない単語が多くあり、それを調べて、さらに時間がかかる。
 その作業が11月末にやっと終了。できた表をお年寄りたちが利用しやすいように「効能別にして→手に入りやすいもの→生で使うか干して使うかに分け→煎じて飲むか料理して食すかなどに分け」などの作業をしよう・・・と思ったが、ふと魔がさす。「記述した内容が正しいかどうか確認しなければ」と、図書館から薬草の本を数冊借りてくる。
 その数冊の本で、『沖縄の薬草百科』から書き写した事項の確認作業を始めたのだが、数冊の本には『沖縄の薬草百科』に記載のない薬草がいくつもあって、それらを薬草表に追加する、「いくつもあって」のいくつは100種を超えた。で、また時間がかかり、結局、世間が忙しくなる、恋人たちがソワソワする12月半ばになっても私の薬草表作りは完成していない。「遅くても年内には」と思っていたが、それも無理そう。
     

 薬草表作りがなかなか完成しない、というのは置いといて、薬草の本を何冊も読んでいる内に、私なりに気付いたことがある。
 先ずは、薬草を摂取する場合、何の加工も無くそのままでというのは少ない。ほとんどが「干して」、「煎じて」となっている。「何で?」と老化した私の脳味噌が考える。おそらくだが、「干すと薬効成分が凝縮する、煎じるとさらに凝縮する」からではないかと老化した脳味噌は結論した。薬効成分を凝縮しているということはつまり、それは漢方薬ということ。確かに、薬草の中の多くに漢方薬名が記されていた。
 漢方薬も、化学薬品に比べれば即効性はないかもしれないが薬は薬、「毒も薬になり、薬も毒になる」ように、「摂り過ぎは却って健康に悪い」のではないかと思った。それはその通りで、「長期間の摂取は良くない」とか「薬効が強いので摂取は専門家に相談すること」との注意書きのある薬草も多くあった。「過ぎたるは・・・」ということ。
 さらに、薬効成分の効き目は人それぞれの体質によって異なると思われる。人によっては良い効果があっても、別の人には良くない影響を与えるものがあるかもしれない。その日の体調によっても効果は異なるかもしれない。自然のものでも安心はできない。
 「野原や庭にある薬草、その葉を採取してそのまま煎じてお茶のようにして飲む」分には特に気を付けることもないであろうが、葉や実や根を干して漢方薬となったものを摂取するのは注意が必要なのであろう。専門家に相談しなければならないのであろう。
     

 ということで私の結論、よほど具合が悪い時は専門家に相談する。そして、薬草は薬効の穏やかなものを普段食として食べるのが良い。そうすると薬効は弱いかもしれないが危険は無い。咳が出る、お腹痛いとかちょっと具合の悪い個所があれば、それに効く薬草の生葉をお茶のようにして飲む程度にした方が良いのではないかと思った。
 そしてもう1つ、「医食同源」という言葉を思い出した。普段食べているものに気を付けて(ジャンクフードはなるべく避けるなど)いれば、それがそのまま生きる薬になる。さらに言えば、楽しく食べること。幸せ気分が生きる薬になるのではないかと思った。
     

 記:2018.12.17 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄薬草のききめ』多和田真淳著・発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『身近な薬草活用手帖』寺林進監修、株式会社誠文堂新光社発行
 『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『薬用植物大事典』田中孝治著、社団法人家の光協会発行