ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キンイロコオロギバチ

2018年11月26日 | 動物:昆虫-膜翅目(ハチ他)

 偏食?

 私は、自己評価で言えば偏食ではない。人間の食物として多くの人が食しているものであればほぼ食える。人間の食物として一般的ではないものでも、人間の食料として存在しているものならヒージャー(山羊)の金玉の刺身でも、スズメの姿焼でも、イナゴでもハチノコでも食う。それらはしかし、好物ではない。好物ではないが食おうと思えば食えるといった程度の物。一般的食い物の中でもベッタリ甘いケーキの類は好みではないが、それでも食えないことはない。他に食うものが無ければ1週間連続でも食える、はず。

 今回紹介するキンイロコオロギバチはハチ(蜂)の一種だが、「えっ、そんな偏食で大丈夫?生きていけるの?」と、本種を紹介している図鑑の説明文を読んでいる時に思ってしまった。コオロギバチのコオロギは鳴く虫で有名なあのコオロギ(蟋蟀)であるが、コオロギに見た目が似ているハチという意では無く、コオロギを餌としているハチだからその名となっているようだ。私も本種がコオロギを捕獲して巣に運ぶのを見ている。「コオロギが餌」では驚かないが、「コオロギだけが餌」というのであれば驚く。
 「コオロギだけが餌」なのであれば、コオロギが滅びたら本種も滅びるのかと思い、コオロギのいない所では生きていけないということかと思って「大丈夫?」と心配したわけだが、コオロギだって何種類もいる、全てのコオロギが滅びるまでには相当の時間を要するに違いない。よって、「心配ご無用」であろう。・・・地球は1つしかないけど。
 
 キンイロコオロギバチ(金色蟋蟀蜂):膜翅目の昆虫
 アナバチ科 奄美以南の琉球列島、台湾、中国、東南アジアに分布 方言名:ハチャ
 名前の由来は『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「頭部、胸部、前伸腹節には黄金の毛を密生する」ことからキンイロ(金色)、「コオロギバチ類はコオロギ類を狩ることでよく知られ」ということからコオロギ(蟋蟀)とつくものと想像できる。
 同書にはまた、「(コオロギバチ類は)沖縄には約10種分布する」とあり、その分類や生態などの詳細は不明とのこと。私の4枚の写真のものが同一種かどうかも不明。
 「雑草間や地表面を徘徊し」、コオロギを狩るとのこと。「一撃で麻痺させ」るほどの毒針を持っているようである。が、私が見たものは花の蜜を吸っていた。「麻痺させ、その間に土中の巣へ運び入れる」とあるので、幼虫の餌がコオロギなのかもしれない。
 体長は20ミリ内外、出現は3~11月。私は本種を数回見ているが、そのほとんどはサクナ(ボタンボウフウ)の花が満開の頃の10月。ただ1度、2月末頃に地面の上でコオロギを捕らえ巣に運ぼうとしている本種を見ている。2月でも暖かい日だった。
 
 横から
 
 顔
 
 地面を徘徊する
 
 狩り
 
 記:2018.11.24 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
 『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行