ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オニヤブソテツ

2017年08月13日 | 草木:シダきのこ他

 父は七十歳を過ぎてから体が弱ってきた。毎年の墓掃除も難儀と感じるようになったようだ。そのため、4、5年前からは私一人で墓掃除をしている。蔓延った雑草を刈取り、掃き掃除をし、ゴミを捨てる。2時間ばかりかかる。シーミーの頃はさほどでもないが、旧暦七月七日は真夏である。午前中とはいっても沖縄の真夏、2時間でたっぷりの汗をかく。水筒が必要であり、そして、着替えのTシャツも必要である。
 その七夕の掃除の日に、我が家の墓へ行く道の、途中の他家の墓でオキナワウラボシを見つけた。それは、「これは図鑑で見たことがある」と認識でき、帰ってから図鑑を開いて、オキナワウラボシという名前であることを確認したものである。そしてその時、その図鑑でオニヤブソテツなるものも同じ環境下で自生していることを知る。
 このところ毎週1回、墓を訪れていて、その際に、辺りを歩き回ってオニヤブソテツを探している。が、まだ見つかっていない。鳥が実を食べて、遠く離れたところで糞をして、その糞に含まれている種がそこで芽吹く、そうやって、あちこちの場所に仲間を増やしていく植物は多くあるが、胞子で増えるオニヤブソテツにはそういうことができない。よって、無いところには無い、ということなのかもしれない。
 
 オニヤブソテツ(鬼藪蘇鉄):根締め・添景
 オシダ科の常緑多年生シダ 北海道南部以南、南西諸島などに分布 方言名:不詳
 オニヤブソテツの名前の由来は、参考にしているどの文献にも資料が無くて不明。鬼藪蘇鉄という漢字は広辞苑にあった。ソテツはソテツ科の常緑裸子植物で本種とは関係ないのだが、見た目が似ている(私は似ているとは思わない)ということなのであろう。鬼のように猛々しいかどうかについても、私とは見解の相違がある。
 高さは1メートルほどになる。葉は厚く光沢があり、長さは30から60センチ。1回羽状複葉で、胞子嚢は葉の裏に多数散在している。
 海岸近くの岩場に自生するとあったが、私は自然のものをまだ見たことが無い。民家の庭で2、3度見ているが、どれも高さ50センチ程度で、こじんまりと庭の片隅に収まっていた。庭石の横にちょこんとあると良い趣の景色になりそう。
 
 葉裏

 記:島乃ガジ丸 2007.11.6 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


オキナワウラボシ

2017年08月13日 | 草木:シダきのこ他

 倭国の風習ではどうなのか知らないが、沖縄ではハチナンカ(初七日)から四十九日まで、ナンカ(週忌)の午前中に毎週、男だけで墓参りをする風習がある。というわけで、このところ毎週、私も我が家の墓を訪れている。
 墓地の入口から我が家の墓まで50mほど歩く。幅1~2mほどの細い道。両側に他家の墓が並んでいる。その道の中間辺りにある他家の墓の壁にオキナワウラボシが付着している。私とは2ヶ月前からの顔見知りだ。2ヶ月前からほとんど変わっていない。仲間を増やしたりせず慎ましい姿、「おう、相変わらず謙虚だな」と挨拶する。
 倭国の風習ではどうなのか知らないが、沖縄では年に2度、墓を掃除する機会がある。1度目はシーミー(清明祭)の時、シーミーは各家の墓で行うが、その日、または前日までに墓を掃除しておく。2度目は七夕の時、旧暦の七夕である。旧暦の七月七日は旧盆の約一週間前で、その日に墓の掃除をする。盆にはご先祖様が家にやってくる。ご先祖様は家に来る前に先ず墓を訪れる。で、墓をきれいにしておく、というわけらしい。

 シーミーの頃には気付かなかったが、七夕の掃除の時にオキナワウラボシに気付く。シーミーの後、七夕の少し前にこのHPでいくつかのシダ植物を紹介していて、その時、図鑑を見ていて、その特徴ある姿が記憶に残っていた。
 
 オキナワウラボシ(沖縄裏星):下草
 ウラボシ科の多年生シダ 琉球列島、小笠原諸島、熱帯亜熱帯に分布 方言名:不詳
 実物の写真を撮って、図鑑と見比べて、「これだ!」と思って、名前を見て、「なるほど」と納得した植物の一つ。他のシダ植物に比べて大きめの胞子嚢が、くっきりと葉の裏に目立っている。胞子嚢は円形、それを星とみなして裏星ということ。
 葉は革質で光沢がある。長さは20から40センチ。胞子嚢は黄褐色をしていて、裂片の主脈と縁の中間に一列に並んでいる。
 海岸から山裾の岩上に自生しているのが見られる。実家の墓は海岸近くの丘にあり、その墓地の他家の墓の壁に本種が2株ほど付着していた。2株とも3、4つの葉をつけているだけで、慎ましい感じを受ける。他の場所でも群生しているのはあまり見ない。その慎ましさは、庭の石組みの根締めに使い良いと思われる。
 
 葉裏

 記:島乃ガジ丸 2007.11.3 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


オオタニワタリ

2017年08月13日 | 草木:シダきのこ他

 ガジ丸は、大きなガジュマルの老木の傍で生まれた(ということにしている)ので、ガジ丸という名前となっている。というわけで、このHPにとっては、ガジュマルはその名前の由来ともなっている大事な木である。・・・なのであるが、ガジュマルの名前の由来を私は知らない。ガジュマル・・・、なんとも不思議な名前。
 広辞苑によると、ガジュマルは漢字で榕樹とあるが、これはおそらく漢名であろう。ガジュマルという音は琉球語としている。ウチナーグチ(沖縄口)でガジュマルはガジマルと発音する。ガジマルがちょっと訛ってガジュマルとなったようだ。しかし、ウチナーグチのガジマルは意味不明。「ガジガジしていて丸い」という印象なのかもしれない。
 幹肌が黒いからクロキ、赤いからアカギ、茶色いからチャーギなど、ウチナーンチュの名前の付け方は単純である。それに比べ、倭人の名前の付け方は風情がある。今回紹介するオオタニワタリもそんな風情のある名前の一つ。
 樹木の生い茂った山に分け入る。山道をどんどん登っていく。風が吹く、木立がざわめく。幾種もの鳥の声が辺りに響く。深い山の中で突然、視界の開けた場所に出会う。眼下に渓谷があり、その岸壁は茶色い岩肌であるが、その中にポツンポツンと鮮やかな緑色が見える。「ほう」と思わず声が出る。そんな景色が目に浮かぶようである。
 
 オオタニワタリ(大谷渡り):添景・鉢物
 チャセンシダ科の多年生シダ植物 西日本以南に分布 方言名:ヤマガシャ
 オオタニワタリは広辞苑にあり、大谷渡りという漢字が充てられている。なかなか風情のある名前だ。参考にしている文献に名前の由来は無かったが、その字から推理する。オオタニワタリは岩に着生する。岩壁に生えている。昔の、風情のある人が、谷間の岸壁に並んで生えているのを見て、大谷渡りと名付けたのかもしれない。
 方言名はヤマガシャの他にヒラムシルともある。ヤマガシャはたぶん山笠で、全体の見た目から。ヒラムシルはたぶん平筵で、葉の見た目からだと思われる。確かでは無い。ヒラムシルはシマオオタニワタリのことも指す。
 根系は塊状で、葉には短い葉柄があり、長さは1m内外になる。胞子嚢は葉裏に線状となってつく。半日陰で湿地を好む着生植物。
 庭の添景として用いられる。特に池の石組に着生させたものをよく見る。樹木の幹に着生させて添景としたものも多い。観葉植物の鉢物にも使われる。
 学名、オオタニワタリはAsplenium antiquum
 シマオタニワタリはAsplenium nidus L.
 
 葉裏
 
 壁に生えるオオタニワタリ

 記:島乃ガジ丸 2007.5.28 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行


イノモトソウ/リュウキュウイノモトソウ

2017年08月13日 | 草木:シダきのこ他

 数年前、今住んでいるアパートに越してから数年後のこと、断水を経験した。想定外の断水だったのでちょっと慌てた。トイレが水洗だ。1回目はタンクに溜まっていた分で済んだが、2回目から雲子が流せなくなった。大変困った。風呂場兼トイレに常備してある40リットル入りバケツにいくらか水は入っている。それが飲み物以外に使える唯一の水なので、3回目が無いことを祈って、それを使う。
 断水が想定外だったのには理由がある。水不足であるという情報がなかったからだ。この時の断水は水不足のせいでは無く、台風のせいであった。台風で浄水場が停電して、送水できなくなってしまったのであった。幸いにも、3回目の前に断水は解消された。
 断水は、私が中学高校生の頃までは毎年のようにあった。それは停電では無く、直接的な水不足のせい。ダム設備が不十分だったためと思われる。子供の頃、我が家には井戸があった。高校生の頃は、学校の近くに井戸があり、そこへ水を汲みに行ったことがある。井戸は、今は懐かしい景色の一つであるが、私にとって身近なものであった。
 今回紹介するイノモトソウは、漢字で井口辺草と書く。ネットのサイトには井の許草と表記しているものもあった。いずれにせよ、井戸の傍にある草という意味だ。井戸にお世話になっている頃の私は、植物に興味が無かったので、その頃の井戸の傍にイノモトソウがあったのかどうかについては、まったく記憶に無い。
 
 イノモトソウ(井口辺草):野草
 ワラビ科の多年生常緑シダ 東北地方南部以南、南西諸島、他に分布 方言名:なし
 イノモトソウという名前は、広辞苑に井口辺草という字があてられていた。井戸口の辺りに生えている草という意味であろう。その通り、そのような辺りでよく見られる。漢字は他に鳳尾草ともあった。鳳は「古来中国で尊ばれた、想像上の瑞鳥」(広辞苑)のことで、イノモトソウの見た目が、鳳の尾のようであるといったことであろう。
 鳳がその一字で「想像上の瑞鳥」を表すということを、私は今回初めて知った。よく見聞きする二文字の鳳凰は「古来中国で、麒麟・亀・竜と共に四瑞として尊ばれた想像上の瑞鳥」(〃)のこと。これについては私も以前から知っていた。が、「雄を鳳、雌を凰という」(〃)ことについては、これもまた、今回初めて知った。
 広辞苑にイノモトソウ科とあったが、宇和島の公園の名札にはワラビ科イノモトソウ属とあり、また、私が参考にしている文献でもワラビ科となっていた。
 半日陰となるやや湿った場所、石垣の間などに多く生息する。葉は、細いのとやや太目の2種があり、一種は胞子葉で、もう一種は栄養葉とのこと。葉軸に翼がある。リュウキュウイノモトソウにはそれが無い。両者の違いはそれで判別できる。

 
 リュウキュウイノモトソウ(琉球井口辺草):野草
 ワラビ科の多年生常緑シダ 方言名:ツルンガニクサ
 イノモトソウという名前は上記の通り、井戸口の辺りに生えている草という意味。本種は琉球列島以南に生息するところからリュウキュウとついている。
 私の住む近辺でイノモトソウは発見できていないが、本種はあちらこちらでよく見かける。琉球という名前がつくだけに、環境により適しているのかもしれない。 
 高さは30センチほど。低地でも山地でも普通に見られる多年生常緑シダ植物。葉はイノモトソウと同じく、細いのとやや太目の2種があり、一種は胞子葉で、もう一種は栄養葉とのこと。イノモトソウの葉軸に翼があり、本種にはそれが無いという他に、モサモサした感じになるイノモトソウに比べ、本種は葉がまばらであるという違いがある。

 記:島乃ガジ丸 2007.6.25 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行


ルリフタモジ

2017年08月13日 | 草木:草本

 今のアパートに越してからの馴染みの散髪屋は、歩いて2、3分の所にある。もう11年通い続けている。親父はアウトドアの大好きな、家族を大切にするオジサン。キャンプはいつも家族と一緒。最近、孫ができて、目尻に皺が増えた。
 その散髪屋の入り口傍に長さ60cm、奥行き20cmくらいの小さな花壇があって、毎年夏から秋にかけてきれいな薄紫色の花を咲かす植物が植えてある。細い葉を下にして、花は上部に群れて咲くので、上から見ると、花を敷き詰めたように見える。その植物の名前を訊こうと思いつつ、いつも忘れていた。どちらかというと集中型の私は、同時に多種類のことを考えられない。散髪屋へ行くと、散髪以外の事を忘れがちになってしまうのだ。

 そうこうして数年が過ぎたある日、今から1年ほど前のことだったか、職場に同じ花の鉢植えがあるのを発見した。職場には植物に関する本がいろいろあるので、さっそく調べる。・・・ルリフタモジであった。花の色を瑠璃色と見てのルリとは判断できるが、二文字は何を指しているのか判らない。後日、よく行く喫茶店の、常連客のオバサン連中に訊いてみた。オバサンたちは二文字どころか、ルリフタモジそのものを知らなかった。なあんだ、世間的にもそう有名な花じゃ無いんだ、と、自己の不明を妥当化する。
 出勤の際はデジカメを携帯しているので、職場のルリフタモジはカメラに収めた。2ヶ月ほど前まで散髪屋のルリフタモジは満開だった。散髪屋へ行くたんびに、写真撮らなきゃと思いつつ、カメラをいつも忘れる。この忘れっぽさは、もしかしたら集中型の脳のせいでは無く、ただ単に、脳が老化したせいなのかもしれない。
 
 ルリフタモジ(瑠璃二文字):草本
 ユリ科の多年草 原産は南アフリカ 方言名:無し
 葉はニラの形に似ていて、草全体もニラを大型にしたように見える。傷つけるとニンニクの匂いがする。その葉の間からすすっと花茎を伸ばし、茎の頭部に花をつける。花は放射状に十数個あって、一つ一つの花は星型に開く。色は薄紫。花期は5月から10月。

 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花と美人を形容する言葉があるが、細身のすらっと伸びた八頭身のルリフタモジが、今時の美人の立ち姿であろう。しかも可憐で清楚な花だ。「あなたはルリフタモジのようですね」なんて、たいそうな褒め言葉になると思うが、ルリフタモジを知らない女性は多いようなので、褒めるその効果は期待できない。
 
 花

 記:島乃ガジ丸 2004.12.22 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行