ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

正国民を描く『はだしのゲン』その2

2017年08月18日 | 通信-音楽・映画

 先週のガジ丸通信『国のインチキ』の続き、
 西原町立図書館から借りたDVD『はだしのゲン』を、8月6日にその前編、8日に後編を観ての感想。DVD『はだしのゲン』は2007年8月に放送されたフジテレビのドラマで、前後編合わせて約3時間半の間、私は何度も、たぶん、10回以上はナダ(涙)ウルウルさせていた。悲しみの涙ではなく感動の涙。歳取って涙腺は緩んでいるが、歳取って感受性も鈍っているのでナダソーソーまでには至らなかった。
 ただ、ナダウルウルも久々だったので、「ドラマにも良いものがあるんだなぁ」と前編を観終わった時に思った。テレビを家から追い出したのはもう6年以上前だが、それ以前から私はテレビを集中して観ることは少なかった。夜のニュース番組は注視することもあったが、朝の「めざましテレビ」や昼の「笑っていとも」を時計代わりに見ていた程度、ドラマは集中して観ないと意味が判らないので長いこと・・・私が最後に集中して観ていたテレビドラマは確か『ちゅらさん』だ。調べたら2001年の放送だった。
 
 さてさて、個人的感傷に浸ってしまったが、ドラマ『はだしのゲン』のどんなところで私はナダウルウルさせたのかというと、先ずは主人公ゲンの父親、中井貴一演じる大吉の凛とした姿勢、周りから非国民扱いされても信念を曲げることのない姿勢に涙。
 大吉は「戦争はいかん」と公言する、そのため、国のインチキ政策によって洗脳されてしまっている周りの人々から非国民扱いされ、大吉だけでなく家族みんなが様々な迫害を受ける。大吉は警察(憲兵だったかも)に引っ張られ、数日監禁され、そこで殴る蹴るの暴行を受ける。それでも大吉は国のインチキに迎合しない、その姿に涙。
 大吉の長女(中学生くらい)が校長室で服を脱がされ校長と担任教師から暴言を浴びせられる。大吉を非国民呼ばわりする筆頭の町内会長、その息子(小学生)の「財布を盗んだのを見た」という讒言によるもの。それを知った大吉が校長室に押しかけ、町内会長の息子を呼ばせ、彼に本当のことを言うように諭す。すると、息子は「父親にそう言うよう命令された」と白状する。大吉は男の子の頭を撫で許し、そのまま振り返って校長と教師を殴る。「あー、カッコいい、サムライだぜ」と、ここでも私はウルウル。
 大吉と長女とゲンが学校から家に帰る道の途中、急にゲンが走りだし、止まって、振り向いて「お父さん大好き」と叫ぶ。その後、長女も走りだし、止まって、振り向いて「お父さん大好き」と叫ぶ。ここでまたもウルウル。これが家族の姿だと感激。
     

 大吉を非国民呼ばわりする校長、教師、官憲、町内会長、その他の多くの人々、彼らは当時の多数派であり、おそらく当時の普通だ。国によってそのように洗脳されている。ただ1人、隣家のバクさんだけが「戦争を嫌う大吉さんを尊敬している」と言う。
 戦争に反対する大吉のような人を非国民とするのは、謂わば、当時の流行(国の洗脳政策による)だったのかもしれないが、日本国(ここでは政府では無く国土と国民のことを言う)のことを思い、日本国の平和と人々の幸せを願っているという点から見れば、私は大吉こそ正国民だと評価したい。彼こそ正しい日本人であると称えたい。
 私ならどうしているかとも想像してみた。自分と家族(いればの話)が迫害を受けることを考えれば、私は大吉になれない。でも、少なくともバクさんではありたい。
     
 記:2017.8.18 島乃ガジ丸


スジシロカミキリ

2017年08月18日 | 動物:昆虫-甲虫目

 山地の虫1

 倭国から友人が訪ねてきた際、以前は彼らを車に乗せてよく遠出したものだが、最近はガソリン代をケチって遠出もしなくなった。去年の2月、友人の美人妻女Hさんに誘われて読谷まで出かけたのが久々の遠出、その前は2013年5月、埼玉の友人のKと巡った勝連、伊計島、津堅島周遊ドライブ、そこらも読谷も沖縄島中部であり、最後に沖縄島北部であるヤンバルまで出かけたのは、東京の友人Iを案内した2012年11月。
 私の行動範囲は2012年以前に比べると格段に狭くなっている。HPアップのための事務所がある宜野湾市、現在の住まいと畑のある西原町、月に1~2回は行っている友人Oの印鑑屋がある浦添市、月に2~3回は行っているスーパーがある首里石嶺。首里は那覇市の内だが、石嶺は(家と畑がある)西原町から近い。那覇市の中心、新都心や国際通り近辺は、ガソリン代をケチる今の私にとっては遠い場所となっている。

 前置きが長くなったが、遠出をしないのはガソリン代をケチっているという理由と、今持っている車が遠出には向かない(運転が疲れる)車だからという理由もある。遠出が嫌いということは無い、ヤンバルの景色と空気は大好きである。お金と時間に余裕があればいつでも訪れたいと願っている。ヤンバル(沖縄島北部の通称)へは行きたい。

 ヤンバルには、私が日常行動範囲としている沖縄島中南部では見られない草木や動物が生息している。それらに出会うのもヤンバルへ行く大きな楽しみとなっている。
 今回紹介するスズシロカミキリ、寄主はイタジイで、イタジイは街中にはたぶん無い、山地に生える樹木で、ヤンバルの山に多くある。従って、ヤンバルへ行けば出会える可能性は高い。ヤンバルではまだ出会っていないが、同じくブナ林の茂る八重山石垣島のバンナ公園で出合った。八重山は2011年9月に訪れた。楽しい旅だった。

 スジシロカミキリ(筋白天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 奄美諸島、沖縄諸島、八重山諸島に分布 方言名:カラジクェー
 名前の由来、資料が無く正確には分からないが、『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「側面に1対、背面に2対の黄白色の条紋が走る」とあり、そこからスジシロ(筋白)であろうと思われる。カミキリムシの漢字表記は天牛、または髪切虫と広辞苑にある。
 奄美諸島のものが原名亜種で、沖縄諸島亜種、八重山諸島亜種に別れるとのこと。沖縄諸島亜種は沖縄島と久米島に分布し、八重山諸島亜種は石垣島と西表島に分布し、両者には会合部の白条の形状に多少の違いがあるとのこと。写真は石垣島産。
 体長は8~13ミリ内外。成虫の出現は4月から10月。寄主はイタジイ。

 
 成虫

 記:2016.4.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行