頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『甘いお菓子は食べません』田中兆子

2015-02-13 | books
40代女性を描く連作短編集

41歳、キャディの可子が生まれて初めてプロポーズされた話。夫がセックスしてくれないビーズ作家の話。部下とうまくいってない部長の話。夏目漱石の「坊ちゃん」の清になると決めた専業主婦の話。女性用ウィッグを製造販売する会社でリストラになった話…。 

すごく結婚したいと言えば、人はすぐに婚活しろと口を揃えるが、私は結婚するために生きているわけではないし、常に、結婚という難関を突破する試験にさらされている日常なんかまっぴらだ。それでいて結婚したいと言わなければ結婚をあきらめているのだと決めつけられた。中年の独身者が結婚についてテキトーという名の適度な距離を保っていることが、どうして許せないのか。

「ほら、女って、いくらいい仕事しても出世しても、ブスだとか結婚してないとか子供がいないとか、そんなことで見下されたりするじゃない。ほんとくだらないよね。若い部下に、猫と仕事しか楽しみがないおばさんってディスられているらしいけど、言いたい奴には言わせとけって。それなのにさあ、ここ何年もセックスしてないって自覚した途端、女としての自信がぐらついた。男の人でね、仕事は出来てもアソコが勃たない、って人いるじゃない。そういう人の気持ちってこんな感じなのかも知れない」

「あたしがセックスしようと決めたのは、気持ちよくなるのが目的じゃなくて『年を取ってもセックスしている私』を手に入れたかったわけだし」

「こういうのは年取ってるほうがいいのよ。もし、葬儀担当者が浅田真央と増田明美だったら、増田明美のようが絶対頼れる感じがするでしょ」

全体に、「ニヤリ」とするネタが転がっていた。

最近40代女性を描く小説をよく読んでるような気がする。やっぱり身も心もおばさんになりつつあるということなのかしら。おっほっほ。

甘いお菓子は食べません

今日の一曲

甘いお菓子。Def Leopardで"Pour Some Sugar On Me"



では、また。
コメント    この記事についてブログを書く
« 『FBI美術捜査官 奪われた名... | トップ | 『絶唱』湊かなえ »

コメントを投稿