頭の中は魑魅魍魎

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怖すぎ+面白すぎ『ナイルパーチの女子会』柚木麻子

2016-02-10 | books
何不自由ない家庭に育った栄利子30歳は、国内最大の商社の食品事業部でバリバリ働いている。毎日食い入るように読んでいるのはブログ「おひょうのダメ奥さん日記」 専業主婦なのに、家事にいい加減で力が抜けていていい… 「おひょう」は翔子。夫はスーパーの店長。給料が多いというわけでもないし、最近太ってきているけどいい奴。最近ブログの人気ランキングで上位に入っていて書籍化の話まで持ち込まれた… おひょうはプライバシーをあまり気にしていないので、栄利子は彼女が自分と近いところに住んでいることを知った。そして、栄利子は翔子に近づく。そして翔子に干渉し始める……

うううむ。ブログを細々と辺境でやっている身として他人事ではない。しかしそれは置いておいて。

小説として、面白すぎるほど、面白い。そこら辺のホラーは裸足で逃げないといけないほど怖すぎる。

栄利子はいわゆる、サイコパスに近い。美人で仕事もできるけれど、友達がいない。(なぜそうなのか、じっくり本書で語られる) 翔子も友達がいないけれど、少なくとも夫とは仲良くやっている。その辺の二人の対比が巧い。

「あんたとは誰とも心が通い合わないから、ありきたりなやりとりをすごく特別なものとして受け止めてしまっただけなんだよ」

ダメ主婦だけど夫には愛されて、でも友達がいない。仕事はできるけれど、友達がいなくて、ブログを読むのに夢中。どっちが幸せなのだろう。ブログを一応やっている立場からすると、栄利子は、ただひたすら、怖い。怖すぎる。(万が一、私のブログを舐めまわすように読む人がいたら、やめてください。怖いです)(そんな人いるわけねーか)

ナイルパーチの女子会

今日の一曲

ナイルパーチ。ということでナイル・ロジャースがプロデュースした、David Bowieで"Let's Dance"



では、また。
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