頭の中は魑魅魍魎

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『獅子の城塞』佐々木譲

2013-11-19 | books
イエズス会の神学学校セミナリオでラテン語を学び、信長に命じられ城作りを学びにヨーロッパに派遣されることになった戸波次郎左。。1582年天正遣欧使節団とともにインドのゴアを経由してリスボンへ。マドリッドではフェリペ2世に会い、フィレンツェへローマへ。教皇グレゴリオ13世に謁見する。初めて見る宗教の異端審問、ヨーロッパの建築物。ローマに留まってサンピエトロ寺院の普請を手伝うことになった。しかしキリスト教に寛容な信長が死んでしまった。イエズス会は次郎左に三つの選択肢を与えた。一つはキリスト教に改宗すること。イエズス会は日本に大聖堂を作りたく彼にそれを任せたい。もう一つはマラッカに大聖堂を作ること。そしてもう一つは現在世話になっている修道院から退去すること。次郎左は聖堂ではなく、城の普請を学びたい。ローマを出てフィレンツェへ。そしてネーデルラントへ。町の城壁を作ることになった。1596年のこと。ネーデルラントはスペインから独立しようとしていた…

うーむ。16世紀末の世界情勢やヨーロッパの風物、建築、宗教、人間を具体的に想像させてくれる。そう。まるで当時にタイムスリップしたみたいだ。

世界史と日本史の交差点のような快作だった。「天下城」の続編らしいのだけれど、そっちを読んでなくても何の問題もなく楽しめた。

今日の一曲

自分たちの権利のために、エスパーニャと戦うネーデルラント。権利のために戦うと言えば、ビースティ・ボーイズで「ファイト・フォー・ユア・ライト」



権利と言っても、パーティで騒ぐ権利を大人に求めてるだけの悪がきの唄なんですが。

では、また。

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