頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『波形の声』長岡弘樹

2014-03-24 | books
先日久しぶりに知り合いに会った。彼は言う「このままでは同期に負ける」「Kはずるい。僕とフェアーに闘ってない」「Sに負けていて悔しい」 他人と比較してばかりの人生。

などというどうでもいいことを、思い出したのは、80歳を過ぎて車の運転もままならないのに、自分と同じ歳のライバルがいるからやめられない、という男を描く<宿敵>や、どっちが出世するかということばかり考える女子部長(と書くと性差別だろうか)と、女性次長を描く<黒白の暦>を読んだとき。

どんでん返しを主軸にした短編小説集。ラストのひねりがまずありきのテクニック重視な部分は否めないけれど思わず「巧い」とつぶやいてしまう。冷や水を浴びせられるようなラストもあれば、ほんわりと温かいラストもある。

しかし、小説は後にずっしりと残るのが「よい」ものなのだろうか。すっきり後に何も残らないのが「よい」ものなのだろうか。それすらいまだに分からない。

ボノが歌うように。

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今日の一曲

U2でI Still Haven't Found What I'm Looking For



では、また。
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2 コメント

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Unknown (けん)
2014-03-25 12:04:24
TBさせていただきました。
またよろしくです♪
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こんにちは (ふる)
2014-03-26 11:39:59
>けんさん、

TBありがとうございました。
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