「恋肌」桜木紫乃 2009年(初出野生時代2008年6月号~2009年7月号、書き下ろし)
男と女の間をめぐる短編集
<恋肌> 嫁の来ない酪農家にやって来た中国人嫁。日本語は喋れないし、子どもは産めないしで、舅と姑は悪口ばかり言っている。彼女に対して愛情を感じている夫と妻の心のふれあいはあるのか…
<海へ> やる気のない娼婦、新聞社をリストラされた同棲相手。こんな彼女を指名してくれる常連客から店を通さない契約を持ちかけられた…
<プリズム> 運送屋の事務をする女と、付き合っていたが事故を起こして社長ともめているドライバーの彼。バイトで入ってきた大学生の男の子と彼女は…
<フィナーレ> すすきのの夜の情報誌でバイト記者をしていたら、ストリップ小屋の取材に行かされて、そこで知り合ったストリッパーは…
<絹日和> 着付け教室に通い、師範の免状も取得し、先生の助手として働いていたが、夫の仕事の関係で引っ越しをし着付けの仕事は続けられなくなった。しかし夫の仕事は長続きしない。彼女のもとに先生から連絡がある。先生の息子が結婚するのだが式での着付けを頼みたいとのこと。実は中学三年生のときにその先生の息子と関係を持ったことがある…
<根無草> 新聞記者をする私のもとへ、懐かしい人から連絡があった。それは幼いころ親と夜逃げしてきた我が家に、怪しい儲け話を持ち込んでいた男だった…
以上6篇。笑える箇所など一つもなく、鮮やかなどんでん返しもないのに、しみじみと入ってくる。表題作「恋肌」と「絹日和」が特に気に入った。
しかし桜木紫乃に対してはポジティブな偏見を持っているので、他の作家なら愚作だと思うような作品でも高評価してしまっているかも知れない。恋愛と似たようなものなのだろう。
ただし、本を読むことにも、男と女の関係にも長けている私には、少なくとも自分の感情に少し曲がったものがある、そう自分でちゃんと分かっている。
なんてな。
男と女の間をめぐる短編集
<恋肌> 嫁の来ない酪農家にやって来た中国人嫁。日本語は喋れないし、子どもは産めないしで、舅と姑は悪口ばかり言っている。彼女に対して愛情を感じている夫と妻の心のふれあいはあるのか…
<海へ> やる気のない娼婦、新聞社をリストラされた同棲相手。こんな彼女を指名してくれる常連客から店を通さない契約を持ちかけられた…
<プリズム> 運送屋の事務をする女と、付き合っていたが事故を起こして社長ともめているドライバーの彼。バイトで入ってきた大学生の男の子と彼女は…
<フィナーレ> すすきのの夜の情報誌でバイト記者をしていたら、ストリップ小屋の取材に行かされて、そこで知り合ったストリッパーは…
<絹日和> 着付け教室に通い、師範の免状も取得し、先生の助手として働いていたが、夫の仕事の関係で引っ越しをし着付けの仕事は続けられなくなった。しかし夫の仕事は長続きしない。彼女のもとに先生から連絡がある。先生の息子が結婚するのだが式での着付けを頼みたいとのこと。実は中学三年生のときにその先生の息子と関係を持ったことがある…
<根無草> 新聞記者をする私のもとへ、懐かしい人から連絡があった。それは幼いころ親と夜逃げしてきた我が家に、怪しい儲け話を持ち込んでいた男だった…
以上6篇。笑える箇所など一つもなく、鮮やかなどんでん返しもないのに、しみじみと入ってくる。表題作「恋肌」と「絹日和」が特に気に入った。
しかし桜木紫乃に対してはポジティブな偏見を持っているので、他の作家なら愚作だと思うような作品でも高評価してしまっているかも知れない。恋愛と似たようなものなのだろう。
ただし、本を読むことにも、男と女の関係にも長けている私には、少なくとも自分の感情に少し曲がったものがある、そう自分でちゃんと分かっている。
なんてな。
暗く渋い気分になるんだけど、傷負いながらも決断して日常に戻ってくとか、それは登場する女の人が抱えていて若い子も年配者も不運な男でさえも自分の中を通り過ぎるので、短編でも重い気持ちになります。
暮らしながら感じてるものを文章にされてるからなのかとも思うし同じ歳の作者なので世代もあるかも
昔見た悪魔のKissというドラマに似た昼ドラ、アホか!と見ていたんだけど若い人への教訓かと思えて来た。
幸せのかたちは同じなのに、不幸のかたちは無数になるといいます。
物語の中の不幸のかたちが何か自分とオーバーラップする部分や連想する部分があると、幸せのかたちがオーバーラップするときよりずっと、敏感に自分の奥底を刺戟してしまう、ということがあるのだろうと想像いたします。
描かれている女性の、人生を受け止めている強さというか、諦観というか、
自分の中でちゃんと折り合いをつけているところが、
私の中に重く湿ったせつなさを広げていきます。
「愛情 と 縁 が 一緒でなければしあわせになれない」わけではない…
誰の人生にも、愛情があって縁があって そしてしあわせになれるんだと 信じていたいなあ。
今回の場合、私が言うことにはバイアスがかかっているため、必ずしもオススメとは限りません。
私が長けているのは、自分のダメさ加減をよく理解しているというだけのことです。
男女の仲がテーマと言っても、女性から描いた作品が多かったですね。
桜木紫乃の特に女性の人物造形には独特のものがあり、それが受け入れられない人には駄作なんだろうと想像します。
>誰の人生にも、愛情があって縁があって そしてしあわせになれるんだと 信じていたいなあ。
人間誰もが愛情・縁・幸福を持っているのかも知れませんし、誰もが持っていないのかも知れません。
そのようなポジティブな人間関係は、本人の心の中にしか存在しないものであって、関係の中には存在しないのかも知れません。
愛情と縁は幸せになるための必要条件なのかも知れませんし、そうでもないのかも知れません。
個人的には、愛情があればいいけれど、縁があればいいけれど、その両方がなくても幸せになれるのなら、それもまたいいなと思わなくもないです。