頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『あなたの本』誉田哲也

2012-03-30 | books

「あなたの本」誉田哲也 中央公論新社 2012年(初出はアンソロジーに所収されたもの、C★NOVEL、中央公論新社Webで連載したもの、書き下ろし)

奇妙な味の短編が7編。

暴力をふるう彼と別れ逃げるようにして姉と田舎へ帰る。しかしもしかしたら、私彼のこと殺したのかも知れない…「帰省」 中三の僕が好きになってしまったコンビニ店員の名前は、天使。偶然街で会った彼女はトンデモないことを言い始める…「天使のレシート」 父親がこっそり持っていた本には、何と私の未来が書かれていた。そこを読めば自分の未来が分かる。でも読んでしまうと…「あなたの本」 スケート教室で知り合った美少女は全日本レベルのスケーターだった…「見守ることしかできなくて」 宇宙から送り込まれてきた諸星団吉は、地球で交番勤務させられることになる…「交番勤務の宇宙人」

表題作「あなたの本」のラスト、「見守ることしかできなくて」のせつない少年の気持ちとラストがすごくいい。ウルトラセブンを連想するしかない、そしてトミー・リー・ジョーンズを連想するしかない「交番勤務の宇宙人」の設定、私は結構好きだ(バカバカしいと思う人も多いだろうけど)

私は、湯船につかりながら1時間10分で読み終えてしまった。早ければいいというわけじゃないし(イツモアナタハヤイジャナイノヨ)、遅ければいいというわけでもないのだろう。しかし自分だけの個人的な作業なら(ヒトリデスルナンテアナタハサビシイヒトダワ)、早くても遅くても好きにすればいいのだろう。

では、また。



あなたの本
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6 コメント

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これは読んでみたい (こなつ)
2012-04-04 06:23:14
面白そう。
カタカナの所はPCの、女の子の声で読んでくれる抑揚の無いソフトの感じで読んでました。ワラワラ。をつけたして。
あぁ出鱈目な四十六才
美魔女などキモいと思ってるオタクおばさん こなつです。
こなつ改め コタツにしようかな。

コタツから抜けられないから。
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こなつさんへ (パール)
2012-04-04 08:38:45
1月11日に、お正月のご挨拶をいただきました。(とっくに忘れていらっしゃるかもしれませんが)
ありがとうございました。うれしかったです。

一年前から季節感皆無です。昨年の桜の記憶がありません。夏の記憶も。本も映画もめっきり…
そんな状態を引きずってはおりますが、
こなつさんやふるさんを励みに、ちょっとは前を向いて本が読みたいと思っています。
「あなたの本」も予約しました。

こなつさんにとって、今年がよい一年でありますように。
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パールさんへ (こなつ)
2012-04-04 21:53:44
ふるさんのコメント欄をお借りします。

パールさんは仙台で震災、私は原発から7kmでね。子供が小さいから宇都宮にいます。
萩尾望都の『なのはな』を読んで泣いてた所です。
沢山の意見もあり、隠れた問題もあります。
先のことがわからないので予測だけの話も不安があります。
毎日が続いて10年先には仙台も変わってるでしょう。
死ぬまで生きる。それだけです。
笑顔でいる時間が増えますように。
コメント有難うございました。
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こんにちは (ふる)
2012-04-06 13:47:31
★こなつさん、

美魔女、自称美魔女、自称魔女子、全て気色が悪いです。

★パールさん、

本が読めるだけでも自分は幸せなんだなと思います。

★こなつさん、パールさん、

ここ場末の小汚いスナックのような拙ブログのコメント欄をを何やらと美しい場所に変えて頂いてありがとうございます。
私のような者が言えることは特になくてさらに恐縮です。

替わりに、こんな言葉にて失礼させて頂きます。(前にも書いたかも知れませんが…)
19世紀アメリカの詩人にJohn Vance Cheneyという人がいて、その人の言葉にこんなのがあります。
The soul would have no rainbow had the eyes no tears.
もし眼に涙が浮かぶことがないのなら、心に虹がかかることもないさ。というような意味でしょうか。
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Unknown (パール)
2012-06-20 15:15:59
期待が大きすぎたのでしょうか。
読み終えて、どれも「世にも奇妙な~」といったタイトルのテレビドラマの原作?と思ってしまいました。
「交番勤務の宇宙人」はトミー・リー・ジョーンズですね。
記憶除去装置は持ってないの?なんて、映画とCMがごっちゃです。
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こんにちは (ふる)
2012-06-22 13:09:33
★パールさん、

ラストにストンと落ちる短編は、本読みにとってはそういうオチ一発勝負の作品を好む、好まないによって評価が大きく別れるものでありましょう。またたとえ好むとしてもその、ラストに納得あるいはビックリすれば高評価、そうでないと低評価になる場合もあるでしょう。(あれ?当たり前のことを言ってるだけですね。すみません)

私はオチが驚かせてくれるのなら短編もOK、しかし基本的には長編好きです。
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