「プリズン・トリック」遠藤武文 講談社 2009年
江戸川乱歩賞受賞作 応募時のタイトルは「三十九条の過失」千葉市原の交通刑務所内で殺人事件が起こる。一つは密室殺人であること。さらには顔が酸で焼かれ身元が分かりにくくなっているが、別の受刑者が殺したことが序章で示唆される。しかし話はずっと複雑で・・・
いやいや。物凄く良い所と、破綻が混在している。登場人物が多すぎるということと、いくつかあるトリックの内、それはないんじゃないか?と思わせるものがあること、事件を解決する「探偵的」立場の人間が出てくるので彼の視点から感情移入しながら読んでいるとだんだんおかしなことになることとか。
肝心の密室殺人トリックについて評価が高いようだが私はそれほどでもなかった。それよりも<誰が><なんのために>行った犯罪なのかが分かった時のカタルシスが大きかった。また旧タイトルが示す部分=メインの犯罪ではないサブ犯罪についても巧いと思った。ラストのどんでん返しは、多少予想できてしまったのでどんでん返っていなかったが。
しかし処女作でこれだけ書ける人なのだから、今後に大きく期待できる。男性でも処女作とはこれいかに?
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