配達

雨の中を配達。
雨の中、一歩一歩ニュータウンの中を歩く時の気持ち。
配達は、仕事。
仕事ならの、当然視。
福祉亭に戻っても、大変だったでしょ？などと言ってくださることもない。
もし、言ってくださったところで、いいえ、大変なことは、ありませんよと軽く言う。
それでいい。
道々咲く花、雨の中すくつと立つ木々、雨はニュータウンの風景をまた、あらたな目で眺めることを教える。

神経系の病で、配達が必須のご利用者さんが、なんとか玄関先にまで出てみえて、
遠くまでありがとう・・と。
もちろん、いいえ、遠くなんてありませんよ・・って言う。
目の様子、お顔の様子から、今日は、幾分お元気そうですねって、お尋ねする。
昨日よりは、幾分いいですと、こたえが返る。
梅雨どきですから、みなさん苦労されておられますよって、さりげに励ます。
梅雨の時でなくても、時々あるんです・・と。
難治であることを知っているので、深くは、返さず。
お大事に、失礼しますと挨拶したワタシの後ろ姿に、気をつけてって、言ってくださる。
このひと言二言のやりとりが、配達の仕事。
お弁当をお届けするのは、そのついでみたいなもの。
戻った福祉亭で、或いは、手術中の事故か？と、もとボラさんが亡くなられたという情報に出会う。
ボデイブロー。
世界のすべてが色褪せてしまうのに、変わりないおしゃべりを聞く痛み。ココロ苦しさ。或いは、・・。