折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

賛否両論の問題作~小説『告白』

2010-04-13 | 読書
『愛美は死にました。しかし、事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです』

わが子を校内で亡くした中学校の女性教師の終業式のホームルームでの告白からこの物語は始まる。

そして物語は、ひとつの事件を「級友」「犯人」「犯人の家族」からの『告白』という形で語らせ、それによって次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。


『週刊文春08年ミステリーベスト10』で第1位、第6回本屋大賞を受賞した湊かなえの小説『告白』(双葉社刊)を読んだ。



映画化され6月に公開される小説『告白』



本書は、発売から2年近くになる今も図書館の予約待ち順番は常時100人を越えると言う人気ぶりで、読むのをあきらめていたら、つい最近文庫化されたので購入して読んだ次第である。


4歳になる愛娘を教え子である中学生に殺された女教師の復讐の物語だ。

この小説の最大の特徴は、前述したように事件に関係する人たちの『告白』という形をとっていることである。

このモノローグという手法自体はさして珍しいことではないが、犯人である少年A,少年Bの独白を通して、今どきの中学生が何を考え、何を大切にし、何に悩んでいるか、そして、彼らの母親たちがどう彼らに接しているのか、この方面の事情には、とんと疎い小生にとって、その一端がのぞけたように思えて、『なるほど』と大変興味深かった。


それにしても、ショッキングな最終章を読み終って、少年A,少年B、そして女教師は、この後どんな人生を生きるのだろうと大変気になったのだが、そんなことを考えたのは小生だけだろうか。

凶悪な少年犯罪自体はもはや珍しくないので『告白』で描かれているおぞましい世界が現実のものとなっても、不思議ではないかもしれないが、それにしても、何ともそら恐ろしい話しであり、悲しくも、切ない話であり、何ともやり切れない、いたたまれない話である。

ネットでも本書の感想が多数書き込まれているが、小生が見た限りでは結構否定的な意見が多く見られたように思った。

確かに、ミステリーとして読むなら、ページをめくるのももどかしいくらいの読み応えのある本だが、如何せん取り上げたテーマが暗く、重く、生々しいだけに、この本に賛否両論があるのは、むべなるかなと思った次第である。


本書は映画化され、6月に公開されるとのこと。

本の巻末に『告白』映画化に寄せてと題する監督のインタビューが掲載されている。

小生には、登場人物の微妙な内面の心理を表現するには、文章以外はちょっと難しいのではと思えるのだが、映像化でどこまでそれを表現できるのか、監督、役者の力量が問われることになりそうだ。

映像になると、文章で読んだ時以上に生理的嫌悪感を催しそうで、映画が公開されたら見ようか、見まいか今から思い惑っているところである。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ミステリーです (ゆたか)
2010-04-20 21:36:11
やはり
ミステリー
として
読まないと
後味の悪さが残る
と思います

仇討ちには
比較的
寛容な感覚でも

これはちょっとね
とおもってしまいました

まあ
母の育て方に尽きる
描かれ方
ですね

今 エイズじゃ
死にません

美月ちゃんが
一番かわいそう


なんか
とりとめない感想で
すみません
返信する
やはり、そうですか (fit-723)
2010-04-20 22:16:39
ゆたかさん

コメントありがとうございました。

やはり、そう言う感想になりますか。

少し時間をおいてもう一度読み直して見たいと思っています。
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