進化を止めないKさん邸のオーディオ・ホール。
今回も欄間に手の込んだ精巧な手作りのレリーフが『見てください』と言わんばかりに自己主張していた。
【写真説明】コンサートルーム和室側北面(幅2間)上部壁の装飾 天井モールディングから下方に順に ①ロンバルディアタイプのベースに取り付けた王冠レリーフ(計24個)、②その下には径40㎝の半円花飾レリーフ(計8枚)、③その下に押縁モールディングにつづいて化粧レリーフ設計中の下地化粧板、④さらにその下にはドア上部にあって長押(なげし)化粧の長尺歯形凹凸モールディングで構成。なお、⑤間柱上部に突出しているのは曲線状のモディリオンです。(写真説明はKさん)
花冷えのする1日、今年度最初のオーディオ談笑会が開かれた。
前回ちょっとした手違いで出席できなかったIさん、手ぐすね引いてこの日の来るのを待っていたとのこと。
中間報告
そのIさんから今取り組んでいるタンノイオートグラフのエンクロージャーの進捗状況が情熱的かつこと細かに報告された。
製作途中のオートグラフのエンクロージャー
(Iさんのブログfrom DIY 2DIM http://jn1akc.dtiblog.com/より転載。)
それによると、5月の連休中に何とか目鼻をつけたいので、蓼科の別荘にメンバーの皆さんに来てもらって試聴できるのは、夏休み頃になるだろうとのこと。
『時期的には、最高じゃん!、一泊して次の日はゴルフしようよ』とMさん。『それはいい』と付和雷同する小生と愚弟。早々、大盛り上がりである。
オープニングは蒸気機関車の轟音
『今日は面白いCDを持って来たんだ』とMさんが取り出したのが、何とD51をはじめとするさまざまな蒸気機関車が発する汽笛やレールを轟音を上げて走る様を実にリアルに録音した一品。
『スゲー!』、『面白い』と蒸気機関車の大迫力に一同興味津々。
春に羽ばたく
Kさん邸のこのホールで上野真理さんが弾く生のヴァイオリンを聴かせてもらってから早いものでもう2年が経つ。
上野真理さんのニュー・アルバムのジャケット
その後の活躍は彼女のブログを通して知っているが、つい最近も2枚目のCDをリリースしたと言うので早速購入した。そのCDにベートーヴェンのヴァイオリンソナタ『春』が収録されていたので、季節的にもまさにグッドタイミングとばかりに本談笑会でメンバーの皆さんに初お披露目した。さわやかなヴァイオリンの響きが心地よく響き、みんなご満悦の体。
活躍の階段を一歩、一歩、歩んでいる上野さんに一同拍手を送る。(CDジャケットがピンクで春めいていて素敵だとか、本人をこの間の演奏会で見たけど、もうちょっと顔がふっくらしていたよとか、ジャケットをめぐって喧々諤々)
映画の世界に入り込む
『オペラ座の怪人』に入れ込んでいるMさんが持参した映画のサウンドトラック盤『オペラ座の怪人』のCD。14分間、劇場で映画を見ているような大迫力の演奏を堪能する。
オペラ座の怪人サウンドトラック盤のCDジャケット
聴き比べ2題
本談笑会で毎回のように行われる『聴き比べ』。
今回は、クラシックと歌謡曲の2ジャンルでの聴き比べ。
今、Iさんは古楽器に大変興味を持っていて、古楽器によるモーツアルトの交響曲を集めているとのこと。
そこで、古楽器と通常のオーケストラの違いを聴き比べることに。
曲はモーツアルト交響曲第40番ト短調の第3楽章。
演奏は、ロジャー・ノリントン指揮:ロンドン・クラシカルプレーヤーズ、
ラファエル・クーベリック指揮:バイエルン交響楽団
聴き比べてみると音色が明らかに違う。
『モノクロフィルムとカラーフィルムの違いかな』と言うシンプルな結論。
ロジャー・ノリントン指揮:ロンドン・クラシカルプレーヤーズ
歌謡曲は、岡林信康と美空ひばりの聴き比べ。
曲は、岡林がひばりのために作った『風の流れに』。
ひばりは歌の天才、歌の伝道師足りうる存在だね、とこちらも実にシンプルな結論。
兄弟音楽論争?
『何だい、このヴァイオリンの音色は』
『スラブの泥臭さがよく出ていて、すごい熱演だよ』
『そうかね、チャイコフスキーのコンチエルト第2楽章と言えば、ヴァイオリンのカンタービレが美しく、最も聴かせどころだろう、このギ―コ、ギーコと言った弾き方はないだろう』
『それは、あくまでも一般論であって、こういう情熱的なムターの弾き方、おれ好きだよ』
チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲のジャケット
弟が持参したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(演奏 ヴァイオリン:ムター 指揮:プレヴィン ウィーンフィル)の第2楽章を聴き終って、ムターのヴァイオリンの弾き方を巡って時ならぬ兄弟論争が勃発。
初めて買ったレコード
本日の談笑会の締めくくりは、主宰者Kさんの推薦盤ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団によるハイドンの交響曲第100番『軍隊』であったが、このハイドンの『軍隊』こそ自分が一番初めに買った記念すべきレコードなのよとKさんが話すと他のメンバーたちが、我も我もと最初に買ったレコードの由来を懐かしそうに話し出した。以下はメンバーそれぞれが最初に買ったレコードの曲目である。
主宰者Kさんは上記のとおり。
Mさん
シューベルト『鱒』(何で、シューベルトで、何で鱒だったのか記憶は定かではないが、『鱒』と言う曲目だけははっきり覚えている)
Iさん
バッハ「G線上のアリア」
弟
ジョーン・バエズのベスト盤
小生
ベートーヴェン『運命』、シューベルト『未完成』
懐かしきアナログ的響き
Kさんの懐かしい思いのこもったハイドンの『軍隊』第2楽章を聴く。
そして、ワルターのゆったりとした情緒纏綿たる演奏にうっとりと聴き入る。そこにあるのは、ゆったりとした時の流れ、心癒されるアナログの音である。タンノイオートグラフが相性ぴったりのソースを得て、実に機嫌よく鳴っているのが良く分かる。
『タンノイにはアナログ時代のソースがよく似合う』ということを改めて実感した次第である。