折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

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全編を貫く三つの『美』~映画『花のあと』

2010-03-31 | 映画・テレビ

映画『花のあと』の1シーン。


映画『花のあと』を観た。

江戸時代。

東北の小藩、海坂(うなさか)藩に暮らす組頭の一人娘が主人公。
彼女は、卑怯な罠に落ちた下級武士の仇討を果たすために、自らの意志で剣を手に取り闘いの場に向かう。たった一度、竹刀を交えた男のために・・・・。


原作は言わずと知れた藤沢周平の珠玉の名作『花のあと』である。

原作はわずか40ページたらずの短編である。
これを、いかにイメージをふくらませることができるか、即ち、行間を読む力が問われているのだが、原作の味を損なうことなく、見応えのある映画に仕上げている。

見終わって感じたことは、この映画には全編を通して3つの『美しさ』があるということである。

先ずその第一は、『自然の美しさ』である。

タイトルとなっているさくらの花を始め、山、川、野、雪、雨、さまざまな自然のたたずまい、日本の原風景が見事なカメラワークで撮られていて、その美しさに感動した。

第二は、当時の武家社会の持つ『様式美』である。

映画の中で、当時の日常生活の様子が様々な場面で描かれているが、その中での人々の立ち居、振る舞い、所作が実に美しい。

これを見ると、『かくありたい』とあこがれに似た思いがわいてくる。
日本の伝統、日本的な心情の原点をそこに見たように思った。

第三は、映画の全編を通して流れる『音楽の美しさ』である。

音楽の主役はチェロ。

ある時は、力強く、また、ある時は憂いを秘めて物悲しく、また、ある時は、しっとりと、場面、場面でチェロと言う楽器の特徴を十二分に活かした音楽構成が実に効果的で、その美しさが心に沁みた。

映画『花のあと』は藤沢文学の香りを見事に表現したさわやかな佳品である。


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花冷えの中、熱気こもるひととき~今年度最初の談笑会

2010-03-29 | オーディオ談笑会

進化を止めないKさん邸のオーディオ・ホール。
今回も欄間に手の込んだ精巧な手作りのレリーフが『見てください』と言わんばかりに自己主張していた。


【写真説明】コンサートルーム和室側北面(幅2間)上部壁の装飾 天井モールディングから下方に順に ①ロンバルディアタイプのベースに取り付けた王冠レリーフ(計24個)、②その下には径40㎝の半円花飾レリーフ(計8枚)、③その下に押縁モールディングにつづいて化粧レリーフ設計中の下地化粧板、④さらにその下にはドア上部にあって長押(なげし)化粧の長尺歯形凹凸モールディングで構成。なお、⑤間柱上部に突出しているのは曲線状のモディリオンです。(写真説明はKさん)


花冷えのする1日、今年度最初のオーディオ談笑会が開かれた。

前回ちょっとした手違いで出席できなかったIさん、手ぐすね引いてこの日の来るのを待っていたとのこと。

中間報告
そのIさんから今取り組んでいるタンノイオートグラフのエンクロージャーの進捗状況が情熱的かつこと細かに報告された。


製作途中のオートグラフのエンクロージャー
(Iさんのブログfrom DIY 2DIM http://jn1akc.dtiblog.com/より転載。)

それによると、5月の連休中に何とか目鼻をつけたいので、蓼科の別荘にメンバーの皆さんに来てもらって試聴できるのは、夏休み頃になるだろうとのこと。

『時期的には、最高じゃん!、一泊して次の日はゴルフしようよ』とMさん。『それはいい』と付和雷同する小生と愚弟。早々、大盛り上がりである。

オープニングは蒸気機関車の轟音
『今日は面白いCDを持って来たんだ』とMさんが取り出したのが、何とD51をはじめとするさまざまな蒸気機関車が発する汽笛やレールを轟音を上げて走る様を実にリアルに録音した一品。

『スゲー!』、『面白い』と蒸気機関車の大迫力に一同興味津々。

春に羽ばたく
Kさん邸のこのホールで上野真理さんが弾く生のヴァイオリンを聴かせてもらってから早いものでもう2年が経つ。


上野真理さんのニュー・アルバムのジャケット


その後の活躍は彼女のブログを通して知っているが、つい最近も2枚目のCDをリリースしたと言うので早速購入した。そのCDにベートーヴェンのヴァイオリンソナタ『春』が収録されていたので、季節的にもまさにグッドタイミングとばかりに本談笑会でメンバーの皆さんに初お披露目した。さわやかなヴァイオリンの響きが心地よく響き、みんなご満悦の体。
活躍の階段を一歩、一歩、歩んでいる上野さんに一同拍手を送る。(CDジャケットがピンクで春めいていて素敵だとか、本人をこの間の演奏会で見たけど、もうちょっと顔がふっくらしていたよとか、ジャケットをめぐって喧々諤々)

映画の世界に入り込む
『オペラ座の怪人』に入れ込んでいるMさんが持参した映画のサウンドトラック盤『オペラ座の怪人』のCD。14分間、劇場で映画を見ているような大迫力の演奏を堪能する。


オペラ座の怪人サウンドトラック盤のCDジャケット


聴き比べ2題
本談笑会で毎回のように行われる『聴き比べ』。
今回は、クラシックと歌謡曲の2ジャンルでの聴き比べ。

今、Iさんは古楽器に大変興味を持っていて、古楽器によるモーツアルトの交響曲を集めているとのこと。

そこで、古楽器と通常のオーケストラの違いを聴き比べることに。

曲はモーツアルト交響曲第40番ト短調の第3楽章。

演奏は、ロジャー・ノリントン指揮:ロンドン・クラシカルプレーヤーズ、
ラファエル・クーベリック指揮:バイエルン交響楽団

聴き比べてみると音色が明らかに違う。
『モノクロフィルムとカラーフィルムの違いかな』と言うシンプルな結論。


ロジャー・ノリントン指揮:ロンドン・クラシカルプレーヤーズ

歌謡曲は、岡林信康と美空ひばりの聴き比べ。
曲は、岡林がひばりのために作った『風の流れに』。

ひばりは歌の天才、歌の伝道師足りうる存在だね、とこちらも実にシンプルな結論。

兄弟音楽論争?
『何だい、このヴァイオリンの音色は』
『スラブの泥臭さがよく出ていて、すごい熱演だよ』
『そうかね、チャイコフスキーのコンチエルト第2楽章と言えば、ヴァイオリンのカンタービレが美しく、最も聴かせどころだろう、このギ―コ、ギーコと言った弾き方はないだろう』
『それは、あくまでも一般論であって、こういう情熱的なムターの弾き方、おれ好きだよ』


チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲のジャケット


弟が持参したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(演奏 ヴァイオリン:ムター 指揮:プレヴィン ウィーンフィル)の第2楽章を聴き終って、ムターのヴァイオリンの弾き方を巡って時ならぬ兄弟論争が勃発。


初めて買ったレコード
本日の談笑会の締めくくりは、主宰者Kさんの推薦盤ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団によるハイドンの交響曲第100番『軍隊』であったが、このハイドンの『軍隊』こそ自分が一番初めに買った記念すべきレコードなのよとKさんが話すと他のメンバーたちが、我も我もと最初に買ったレコードの由来を懐かしそうに話し出した。以下はメンバーそれぞれが最初に買ったレコードの曲目である。

主宰者Kさんは上記のとおり。
Mさん
シューベルト『鱒』(何で、シューベルトで、何で鱒だったのか記憶は定かではないが、『鱒』と言う曲目だけははっきり覚えている)
Iさん
バッハ「G線上のアリア」

ジョーン・バエズのベスト盤
小生
ベートーヴェン『運命』、シューベルト『未完成』 

懐かしきアナログ的響き
Kさんの懐かしい思いのこもったハイドンの『軍隊』第2楽章を聴く。

そして、ワルターのゆったりとした情緒纏綿たる演奏にうっとりと聴き入る。そこにあるのは、ゆったりとした時の流れ、心癒されるアナログの音である。タンノイオートグラフが相性ぴったりのソースを得て、実に機嫌よく鳴っているのが良く分かる。

『タンノイにはアナログ時代のソースがよく似合う』ということを改めて実感した次第である。
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写真が主役VOL40 ~『999字』の千字文

2010-03-27 | 写真が主役シリーズ
          
          あとは署名を入れ、落款を押せば完成の筈だったが、1字
         脱字でボツに。



まるまる3日間、精魂こめて書いてきた千字文。いよいよラストスパート、あと1行を残すのみとなる。

「ここまできたら、絶対に間違いは許されないぞ」と改めて気を引き締める。

そして、最後の1字『成』を書き終える。

「やった~!」という何とも言えぬ充実感とある種の虚脱感が入り混じった心理状態。

しかし、これで終わりではない。誤字・脱字の最終チェックの作業が残っている。

間違いなど有る筈がないという自信と、ひょっとしたらという不安とがない交ぜになりながらの確認作業。

『何!!』信じられないような1字の脱字が・・・・。

既にこれまで3枚も脱字で失敗し、これが4枚目。もう失敗はこりごり、今度こそ過ちは犯さないぞとあれほど注意を払って書いて来たのに・・・・。

『完璧だ』、『いい出来栄えだ』と信じてやまなかっただけにショックは計り知れない。虚脱感でしばしの間放心状態。

しかし、999字では、いかんともしがたい。


こんなことになったのは、練習はほとんどせずに、いきなりぶっつけ本番なのだから、書の神様がこれまで書いたのは練習だと思って、もう一度書いてご覧、もっと良い字が書けるからと諭してくれているのだと思い直してようやく立ち直りのきっかけをつかむことができた。

そんな次第で、今回の主役は、1000字に1字不足の999字の未完の千字文である。
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ある日の新聞投書欄から

2010-03-25 | 雑感
先日の新聞の投書欄に38年間小学校の養護教員を勤め、定年退職する人が全校朝会で児童たちに話した内容を記した投書が掲載されていた。



               
               購読している新聞の投書欄。(新聞の投書欄は必ず
             読むよう心がけている。)




その先生は、その朝会で『迷惑をかける』、『お世話になる』という二つの話をしたとのこと。その主な部分を抜粋させてもらうと、次のとおりである。


時間や約束を守らない。借りた物を返さない。周りの人たちに嫌な思いをさせる。こんなことが迷惑をかけること。困った時に助けてもらう。つらい時や悲しい時に慰めてもらう。これはお世話になることだよ。迷惑をかけたら「ごめんなさい」。お世話になったら「ありがとう」。二つの言葉を繰り返しながら大人に近づく。ごめんなさいを減らし、ありがとうを増やそうと締めくくった。人とのかかわりを面倒がらず、支えられ支えて人生の荒波を越えてほしいという願いを込めた。

大切なことを具体的にわかりやすい言葉で語っていて、なるほどと大いに共鳴、共感した。

小生にも小学生の孫がいるので、この話、いつか『使えそうだな』と思ったのだが、待てよ、迷惑をかけても知らん顔を決め込んだり、約束を守らない政治家がいたりして、しかも、すみませんの一言もないのは、むしろ子供たちより我々大人たちなのではないか。

今どきの子供たちのことだ、お説教じみたことを言ったら『大人たちだって、同じことしているじゃないか、じいじはどうなの?』と手痛い反撃を食らうかもしれない。

今の世の中、特に目を覆いたくなるような政治の現状―迷惑をかける、約束を守らない政治家・政党がゴロゴロいる―を見るにつけ、この子供たちの反撃には抗する術もない。

子供たちに言うよりは、わが身をただすのが先かと思った瞬間、孫たちへ話して聞かそうと思った最初の意気込みがにわかにしぼんでしまった次第である。
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郷土の誇り~『遠山記念館』を訪ねる

2010-03-23 | ふるさと

遠山記念館の全景
右に見える瓦葺の建物が美術館、左手の木々の中に遠山邸本館(敷地面積約9200㎡、東棟、中棟、西棟)がある。本館は昭和8年より、2年7カ月を費やして昭和11年4月に竣工。当時最高の建築技術と全国から集めた銘材を使って建てられた。



郷土が生んだ立志伝中の人物

わが郷土『川島町』が生んだ立志伝中の人物―日興証券の創立者で我が国の証券業界の大立者・遠山元一(とおやま げんいち 1890年7 月21日 - 1972年8月 9日)は、我々の世代以上の人であれば、その名を知らない人はいないほど、有名な人であり、郷土が生んだ最も誇りとする人物である。

その遠山さんが、身を立て、名を挙げ、故郷に錦を飾った証として3000坪の豪邸を建設して没落していた生家を再興させるとともに、苦労した母美以さんの安住の住まいを建てたと言う、親孝行の話も知らない人はいないほど有名な話である。

そして、この豪邸は遠山記念館として、多くの人たちが今でも見学に来る郷土の観光スポットとなっているのだが、『灯台もと暗し』のたとえの通り、地元の人たちにしてみれば、『いつでも、行ける』という頭があるので、意外とここを訪れる人は少ない。小生も4,5年前に一度行ったきりである。

次兄などは、これまで一度も足を運んだことがないと言うので、お彼岸で墓参りに実家に行く途中でちょっと寄り道をして見学して行こうと言うことになり、昨日わが夫婦と兄貴夫婦の4人で行って来た。


『一度は見ておきたいと思っていたけど、こうした機会に見ることができて良かった、胸のつかえが下りた感じだよ』と次兄。同感である。

それにしても、昔名をなした人というのは、これだけの価値あるものを後世に残し、伝えて行くのだから大したものだ、凄いもんだと改めて感じた次第である。



               
               遠山記念館見取り図


 
敷地内に建てられた美術館(左)には、美術収集家としても著名であった遠山元一さんの長年にわたる貴重な蒐集美術品が収蔵されている。遠山邸東棟(右)邸全体は、建築様式を異にする3棟(東棟、中棟、西棟)を渡り廊下で結ぶ構成となっている。


 
中棟1階中央の18畳の大広間(左)は、伝統的な書院造りで建てられ、貴顕の来客を接待した。四季の風情豊かな庭園(右)。
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