ゲリー・カー 『あざみの歌/古城―ゲリー・カー/日本の歌・Ⅱ』のジャケット
第2部 ゲリー・カー演奏のコントラバスを聴く
海外旅行が好きなMさんは、行く先々でCDショップをのぞき、掘り出し物を探し当ててくるのが得意である。
そのMさんが10年以上前にロンドンで手に入れてきた
『THE BEATLSE~Live at the BBC』
という2枚組みのCDを聴く。
『この<ライブBBC>と言うのが貴重なんだよ』とMさん。
ビートルズの演奏をバックにMさんの講釈にKさんと二人して、しばし耳を傾ける。
何でも、ビートルズが有名になる前、BBCでビートルズのメンバーが自分たちの生い立ち等をおしゃべりで紹介しながら、プレスリーのレパートリーなども歌っていると言う珍しくもまた、貴重な音源とのことである。
2曲目は小生が持参した 『あざみの歌/古城―ゲリー・カー/日本の歌・Ⅱ』と言うCDである。
『今までピアノ、ヴァイオリン、チエロ等々色んな楽器をタンノイで聴いてきたけど、コントラバスのソロは聴いてなかったので、コントラバスの重低音をタンノイがどこまで再生できるか聴いて見たかったのよ』と趣旨を説明する。
『それは面白いね』とKさんが早速乗ってくる。
曲は日本の抒情歌で『あざみの歌』、『さくら貝の歌』、『山のけむり』と言った懐かしのラジオ歌謡と『古城』、『里の秋』の5曲。
オーディオルームいっぱいに腹にこたえる重低音が響き渡る。
『いやあ、コントラバスのソロを始めて聴いたけど、すごい迫力の重低音だね。それにチエロよりも野太い気がするけど、チエロに近い音域も出るんだね。音域が想像以上に広いのにちょっとびっくりしたよ』とMさん。
『実は、今日来る前に自宅の装置で聴いてきたんだけど、今聴いたタンノイの重低音はおれの装置では逆立ちしても絶対無理だね、すごいの一言に尽きるよ』と小生。
『さっきの、スタインウエイのピアノと言い、今のコントラバスの音と言い改めてタンノイというスピーカーはクラシックと相性が良いということが良くわかった』とMさん。
『いやあ、今日はお二人にタンノイの実力の一端をわかってもらえて、うれしいな』と満足げなKさん。
確かに、タンノイオートグラフの面目躍如である。
第3部 フィナーレはチャイコフスキーの交響曲第5番
夕食の鍋料理を食べ終えて、いよいよ今年のフィナーレである。
これまでは師走ということもあり、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱』のライブ盤を聴いてお開きにするのが恒例になっていたが、今年は主宰者Kさんの趣向でチャイコフスキーの交響曲第5番ホ短調が「とり」である。
『この曲には思い出があってね、まだ二十代の頃、胸を患って長い療養生活を過ごしていた時があったんだけど、その時に一番良く聴いた曲がこのチャイコフスキーの交響曲第5番で、今でも愛着のある曲なんだ』とKさん。
演奏はケク=チャン・リム指揮、群馬交響楽団でLPレコードによる再生である。
『いつごろ手に入れたか、もう忘れたけど多分、LPレコードがCDに取って代わられる寸前に買ったんだと思うよ。アナログ録音の良さが際立っているレコードだよ』とKさん。
確かに、オーケストラがあたかも目の前で演奏しているような、生演奏に近い雰囲気を漂わせる演奏で聴き入ってしまう。
アナログの音、レコードの音、懐かしさが凝縮している演奏であった。
今年開催された3人による、3人だけの『オーディオ談笑会』は4回であった。
それぞれ楽しい一時であった。
来年もタンノイオートグラフの実力を存分に発揮できるような『ソース』を探し出して、あの稀有な音の響きを満喫したいと思っている。
この1年間お世話いただいた主宰者Kさんに感謝を申し上げる次第である。
写真は当日聴いた音源のジャケット
写真中央 チャイコフスキー交響曲第5番のレコード
写真右上 『THE BEATLSE~Live at the BBC』
写真左上 中島みゆき『Singles 2000』
写真右下 深町 純 ピアノワールド<中島みゆき作品集>
写真左下 ゲリー・カー 『あざみの歌/古城―ゲリー・カー/日本の歌・Ⅱ』