この4月神戸に転勤になったばかりの息子が、3泊4日の研修が東京であり、その間我が家に泊まった。
新しい土地での生活のこと、新しい職場のこと、孫たちの新しい学校のこと等々聞きたかった最新情報が直接聞けて、まさにグッド・タイミングの出張であった。
息子が家に来る時は、大抵の場合子供たちやお嫁さんが一緒であり、今回のように余人を交えず親子3人で話すなんてことは、そうそうあるわけではない。
何か、久しぶりに独身時代の息子が帰って来て、家でくつろいでいるような、そんな錯覚さえ覚えてしまう光景であった。
帰ってきた最初の日は、柄にもなくテンションが上がり、昼間はかみさんと一緒に夕食の食材を買いにスーパー行ったり、夜は好物のスキヤキを食べながら、ついついワインを過ごし、二人の孫たちの新しい学校での様子など取り止めのない話しをしているうちに、いつの間にか時間がたって久しぶりに夜更かしをしてしまった。
2日目は、たまたま我が家の近くの友達の所に遊びに来ていた娘が夕方から合流、その夜は本当に久しぶりに親子4人で一家団欒の一時を過ごした。
おそらく、こんなゆったりとした落ち着いた雰囲気の中での語らいの時は、何時また巡ってくるかわからない。
それこそ、つかの間の家族団らんの一時であった。
そう思うと、最近気に入っていてよく聴いている竹内まりやの『人生の扉』と言う曲のフレーズの一部が自然と浮かんできた。
信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら
どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ
(竹内まりや 『人生の扉』より抜粋)
この歌詞ではないが、この日の親子4人での一家団欒のシーンは、小さな幸せだが、忘れずに心の中に覚えておきたい、記憶にとどめておきたい、そんなセンチメンタルな気分であった。
一方、かみさんはと言えば『たまにだからいいんだよね』と、おいしいものを食べさせようと腕によりをかけて料理した割には、クールな反応である。
かみさんは、小生のように単純でなく、したたかで中々素直に本音を見せない。
そんな両親の思いを知ってか、知らずか、息子は独身時代にタイムスリップしたかのように伸び伸びと実家でくつろぎ、3日間おふくろの『手料理』を心ゆくまで堪能し、満足して神戸に帰って行った。