【雲取山】(2,017m)
雲取山は、奥多摩と奥秩父の二つの山域の境界に位置し、東京都の最高峰・最西端にある。
妙法が岳、白岩山とともに三峰山の三山の一つで、日本百名山の一つに選ばれている。
写真は、このルート最大の難所『前白岩の肩』に到る急勾配の上りを青息吐息で登る仲間たち。
幼なじみのKくん、Mくん、Hちゃんといういつものメンバーと1泊2日で雲取山に行って来た。以下は、そのリポート。
■ 当日歩いた雲取山(2,017m)登山ルート ■
三峰山駐車場 ― 一ノ鳥居 ― 地蔵峠 ― 霧藻ヶ峰 ― お清平 ― 白岩小屋 ― 白岩山 ― 大ダワ ― 雲取山荘 ― 雲取山山頂
『雲取山に行くってホントかよ、大丈夫かい?』40数年前の若かりし頃に登った時のきつかった印象がまだ残っているらしく、心配顔のHちゃん。
『これが雲取山に登れるラストチャンスのような予感がしたので、敢えて今回チャレンジすることにしたんだ』
これまた40数年前に登った経験があると言うリーダーのKくんの前口上。
二人の経験者ともにロートル組にとって「きつい」山歩きになるのでは、という予感めいたものが働いていたようだが、まさにその予感は的中、60歳代最後半の4人組にはきつく、苦しい7時間半の山歩きとなった。
以下、辛い、苦しい、山歩きの最中に仲間たちがため息交じりにもらした、つぶやき、グチの類を拾い集めて見た。
先ずは、グチの類
『この歳では、平地を10キロ歩くのですら大変なのに山を10キロも歩くなんて・・・・・・。
年寄りには、山の10キロはえらくこたえるよ』
『そう、そう、同じ100mを歩くにも、平地の100mと山の100メートルでは雲泥の差だよ』
『登ろうと言う気持ちはあるんだが、足が前に進まない、情けないね』
(白岩山頂上を目前にして)『白岩山ならぬ、「白旗」山だよ』
続いて、人生論の類
(ようやくコースの半分を過ぎた所で)『これから先は、1歩進めば1歩ゴールに近づく、そう言うプラス思考でいかないと山歩きはできないぜ』
『山歩きも人生も似たり寄ったり。苦あれば楽あり、楽あれば苦ありだ』
『どんなに苦しくても、過ぎてしまえばあの時は良かったと振り返るのが人間』
以上は往路でのコメントで悲観的、やや開き直り的な傾向なきにしもあらずだが、以下は2日目のコメント。
下りが中心ということもあって、楽観的な気分が色濃く出ている内容となっている。
『足を前に出していれば、どんどんと距離が少なくなっていく。登りは地獄、下りは天国だ』
『何時も下りの時思うんだが、これだけの上りを登って来たなんて信じられない思い、たいしたもんだと自分を誉めてあげたいよ』
今回の雲取山の山歩き、『「今回の機会を逃すともう雲取山には登れない」という思いがあった』といみじくもKくんが言ったように、泊りがけでの2日連続、往復21キロの山歩きは、これまでのいつもの山歩きに比べ格段にきつく、体力の衰えを自覚させられることになった次第である。
また、歩き終ってKくんの『これがラストチャンス』という思いつめた気持ちもちょっとわかったような気がした。
そして、きっと後になって『どんなに苦しくても、過ぎてしまえばあの時は良かったと振り返るのが人間』というメンバーの一人がつぶやいた言葉を身に沁みてわかる日が来るのだろうとも思った次第である。
今回の雲取山は全長10キロと距離も長く、直登りの険しい難所(左)もあって、みなちょっとバテ気味、途中で休憩(右)する回数もいつもより多めであった。
白岩山から雲取山に向かう道の左右には、巨岩、奇岩、朽ち果てた大木があちこちに見られ、まさに原生林といった趣(左)。そかと思えば、ブナの新緑の緑色とミツバツツジのピンク色のコントラストが目に鮮やか(右)と様々な山の風景を堪能することができた。
純然たる山小屋に泊まるのは、今回が初体験。この雲取山荘は、山小屋というよりはペンションというイメージであった。部屋で一息つく仲間たち(左)。消灯9時、疲れていても中々眠りにつけないみんなであった。食堂での朝飯風景(右)。頼むと昼食の弁当も作ってもらえる。1泊2食付き、弁当付きで8,500円。
2日目の朝。4時起床、ご来光を拝む(AM4:30)(左)ちょっと雲がかかっていて、完璧とは言えないまでも、まずまずのご来光を拝むことができた。雲取山(2017m)頂上(右)。ガスがかかってしまい、360度の大パノラマの景色は残念ながら見ることができなかった。特に、霊峰富士を拝めなかったのは、至極残念。
今回の山歩きで出っくわしたもの。登山道からは、日陰になった場所で、時々、残雪を見ることができた(左)。白岩小屋辺りで見かけた野生のシカ(右)。人間になれているらしく、逃げないで、立ち止まってじっと我々の方を見ていた。Mくんが餌を投げると近寄って来て匂いをかいでいた。