叔父さんの版画の年賀状は毎年の楽しみであった。
もう、これからはこの年賀状を見ることができないと思うと寂しく、残念である。
尊敬してやまなかった叔父さんが逝った。
87歳、米寿のお祝いを目前にしての死であった。
親い弟を亡くした母の気持ちはいかばかりであろうか。
叔父さんは、小生にとっては親戚の中で、最も頼もしい人、最も頼れる人であり、版画や経師を趣味とするなど、洒脱な、格好いい人であった。
母に持参した小生の書道の駄作を『これは良い』と早速、経師の趣味を生かして立派な軸に仕上げてくれた。
そのうちの1本を母からもらい受けて、今、手元にあるが、この軸も叔父さんの遺作の一つとなってしまった。
遺作となった今年の年賀状(左)、立派に仕上げてくれた軸は
形見となってしまった。(右)
また、その年の年賀状は必ず手作りの版画が描かれていた。
今年は、どんなテーマを版画にしてくれるのかと毎年楽しみにしていた。
その版画の年賀状も、もうこれからは見ることがかなわない。
本当に悲しくて、さみしい。
ご冥福を心からお祈りします。
父方の叔父さん、叔母さんはすでに全員亡くなり、母方では叔父さんが亡くなった今、残っているのは叔母さんただ一人となった。
人の世の習いと言え、親い人の黄泉への旅立ちを見送るのは、つらく、切ないものである。
今回の写真が主役は、亡くなられた叔父さんが趣味として楽しまれ、遺作となった版画と軸である。