飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの下院選挙で政権側、必死の追い込み、治安当局は厳戒態勢に!

2011年12月02日 11時27分33秒 | Weblog
 ロシア・プーチン政権の信任投票ともいえる4日の下院選挙を控え、プーチン首相は1日、メドベージェフ大統領と共に政権与党「統一ロシア」の集会に出席、安定多数の議席獲得に向けて“最後の追い込み”を続けた。一方、首都モスクワでは治安当局が選挙当日の集会を一切禁止し、混乱に備えて厳戒態勢に入るなど、緊張が高まっている。

 プーチン首相は政権与党から来春の大統領選の候補者に正式指名され、今回の下院選挙をその前哨戦と捉えている。前回(07年暮れ)の下院選挙では、与党は絶対多数の3分の2以上の議席を獲得して圧勝、その勢いで08年春の大統領選も大勝した。しかし、今回は与党の支持率が大きくダウンし、3分の2の議席獲得は難しいとみられている。

 1日の党員集会では、プーチン首相とメドベージェフ大統領がそろって出席し、票の掘り起こしに全力を挙げるようハッパをかけた。投票日直前に党員集会に2人揃って出席するのは異例で、それだけ票の上乗せに必死になっていることがうかがえる。

 政権側は選挙戦の終盤に入り、統制下にある全国ネットのテレビを駆使した選挙キャンペーンを強化するとともに、政権に批判的なウェブサイトや中立系選挙監視団体の取締りを強めている。だが、前回と違ってプーチン人気が低落し、今ひとつ盛り上がりに欠けている。今回の選挙運動で象徴的だったのは、先月下旬、プーチン首相が格闘技戦を観戦し、試合後、リングに上がった際、会場からブーイングが沸き起こったことだ。支持率80%もあった去年までなら考えられなかったことで、この光景に側近たちも頭を抱えたという。

 このため、野党側は投票後、政権側が投票の偽造や集計の捏造を行うのではないかと警戒感を募らせている。選挙管理委員会や治安当局に選挙運動の不正を訴える投書類が多数寄せられており、すでに選挙の不正が組織的に行われている可能性もある。これまでもロシアの国政選挙で組織的な不正の噂があったが、ほとんど摘発されていない。

 こうした事態に治安当局はモスクワ市民に対し、投票日の集会をすべて違法とするとの異例の検察庁命令を出している。1日には、内務省がモスクワの野党や反体制運動の指導者を一堂に集め、投票日の街頭活動を一切禁止するよう言い渡した。これに対し、指導者たちは「集会の自由は憲法で認められている権利だ」と反発、いくつかの団体は集会を開催することを明らかにした。このため集会を強行すればデモ隊と治安部隊の間で衝突が起きる可能性もある。

 こうした背景には、プーチン首相が来春の大統領選で復活を果たし、再び強権主義体制を敷くとの見方が強く、これへの反発が強まっているからだ。これまで政権の安定を望んでいた市民の間でも、統制色の強い「警察国家」が今後も続くことへの不満が広がりつつある。下院選挙の結果は5日中にも明らかになるが、政権側の思惑通りにはいかないのではないか。                              (終わり)



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« チェルノブイリ原発事故で小... | トップ | ロシア下院選で、与党「プー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事