飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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欧州会議、ロシア政府のリベラル派政党登録拒否を非難する決議採択!

2011年07月10日 09時21分47秒 | Weblog
 ヨーロッパの47ヵ国が加盟する欧州会議(本部・仏ストラスブール)はこのほど、ロシア政府がリベラル派政党を年末の下院選挙から締め出す決定を行なったことに対し、これを非難する決議を採択した。これを受けて政党側は登録を要求して裁判を起こす方針で、メドベージェフ政権の真価が問われている。

 この政党は、ネムツォフ元第一副首相やカシヤノフ元首相が民主派の結集を目指して昨年立ち上げた国民自由党である。ネムツォフ氏らはプーチン政権当時から強権主義を批判し、各地で抗議デモを繰り広げてきたが、その都度ロシア当局から厳しい弾圧を受け、目の敵にされている。

 同党は6月22日、ロシア法務省から政党としての登録を拒否された。その理由として法務省は①党員の中に「死せる魂」つまり、ユーレイ党員が含まれている②指導者の交代に関する規約がない、などと説明していた。

 この問題を重視した欧州議会は討議の末、「国民自由党の登録拒否はロシアでの政治的競争を事実上制限し、政治的複数主義の発展を阻害する」と決めつけ、ロシア政府に対し、欧州の基準に合致した自由で公正な選挙を実施するよう求めている。

 この決議を受け、カシヤノフ国民自由党共同代表は「我々の主張が正しいことが認められた。今後は裁判を通して政党として登録されるよう要求していく」と語った。同党は裁判制度に則り、法廷闘争を続けていく方針だ。

 同党の登録拒否についてレバダ・センターが世論調査を行なったところ、37%の人が「登録が必要だ」と支持したが、29%はこれに反対を表明、34%は回答を留保している。また、登録拒否の理由について「独立した政党は政権与党に対し、真の競争を組織できるから」とみる人たちが25%、「権力が管理できない政治勢力を排除する政策が実施されている」とみなす人が16%いて、政府側の政治的意図を指摘していた。

 同党はインテリの間では支持者が多いが、国民全体の政党支持率は3%にとどまっている。同党には急激な市場経済化を推進したエリツィン政権時代の幹部が多く、これに翻弄された庶民の反発が根強いためとみられている。

 メドベージェフ大統領は公平な選挙を主張し、議会に参加できる政党を増やす意向を示しているが、プーチン首相ら保守派の抵抗でなかなか実現していない。この政党登録問題でもなんらかの打開策を打ち出さないと、リベラル派の看板が泣く。来春の大統領選を前に、大統領が思い切った策を打ち出せるかどうか、注目したい。

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