飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア・ウクライナ戦争で欧米諸国はウクライナに入れ込み過ぎでは?

2023年04月08日 17時48分31秒 | Weblog

ロシア軍がウクライナに攻め込んでから1年2ヶ月が過ぎたが、戦闘は激しくなるばかりで、停戦の動きが見えてこない。米国など欧米諸国がこぞってウクライナの支援に回っているから、との見方が根強い。日本も例外ではない。岸田首相はウクライナを訪問して多額の援助を約束したが、これでいいのだろうか。

プーチンは2001年に大統領選に当選してから、与党独裁体制を敷き、垂直統合型の制度改革を推進した。当初は親欧米路線を目指し、米国とも信頼関係を築こうと努力していた。だが、二期目に入ってから、ソ連崩壊による国力低下を実感するようになり、ロシアを復興させ、再度大国にしようとした。だが、欧米はロシアを二流国に止めようとしているように見えた。その最大の指標は、NATOの東方拡大だった。

2004年には、バルト3国とスロバキア、ブルガリアなど計7カ国がNATOに加盟した。これに対し、プーチンは2007年のミュンヘン安保会議で東方拡大を痛烈に批判した。さらに、2008年にはウクライナとジョージアを原則的に加盟させることが決まり、ついにロシアの国境まで拡大することになったのだ。

このため、ジョージアのサーカシビリ大統領が、ロシアと係争関係にあったオセチアへの影響力を拡大しようと軍を動かした。ロシア側も軍を動かし、軍事衝突が起きた。これはロシア側の勝利に終わったが、親欧米路線をとるなら軍事攻撃も許さないというロシアの本音が浮き彫りにされた。

プーチンがそこまでNATOを嫌うのは、ロシアが何度も外国から侵略された経験があるからだ。13世紀にはモンゴルに侵略され、「タタールのくびき」と呼ばれた。19世紀にはナポレオンにモスクワまで攻め込まれた。こうした経験は、ロシアでは広く受け入れられていて、ロシア人の思想に骨肉化していると言えよう。

今回の戦争では、米国はロシアを強く批判し、軍事面と経済面で強力にウクライナを支援している。今や米国とロシアの代理戦争ともいえる。中でも、米国はバイデン大統領が支援を取り仕切っているため、停戦への道筋が見えてこない。米国とロシアに信頼される指導者が仲介に入らないと、現状は打開できないのではないだろうか。(終わり)

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロシアの核兵器、ベラルーシ... | トップ | 旧満州のハルビン学院、開校1... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事