飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ヤクーニン・ロシア鉄道社長が解任との報道が流れたが・・・

2013年06月20日 16時12分30秒 | Weblog
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  プーチン大統領の信任が厚いウラジーミル・ヤクーニン・ロシア鉄道社長(64)が解任されたとの報道が19日夜、複数のロシア・メディアから流れたが、30分後に取り消されるという事件があった。悪質ないたずらか、それとも不祥事の前触れなのか。

  19日付けのコメルサント紙(電子版)によると、同日午後8時すぎ、インタファクス通信、ノーボスチ通信など3社が、ヤクーニン社長が解任され、後任にミシャリン第一副社長が任命されたとのニュースを一斉に流した。いずれもロシアでは有力な通信社だけに信頼性が高いとみられたが、30分後に「ロシア政府が確認していない」として3社とも否定した。

  今回の人事異動情報は政府から発信されたが、ロシア鉄道の役員人事はその後、大統領府の管轄と判明。大統領府が公式に事実を否定して解任報道は“誤報”となった。これについてペスコフ大統領報道官は「これはサイバー犯罪だ」と述べる一方、「メディア側は報道の真偽を確認してから報道してほしい。クレムリンに電話すればわかることだ」と注文をつけた。

  また、社長解任の誤報を流されたヤクーニン社長自身は、ロイター通信に対し「これはしかるべき機関が関係している大規模な挑発行為だ」と厳しく批判した。ロシア鉄道は国有鉄道の管理運営を独占している国策会社で、社長は閣僚級とされる。

  だが、火のないところに煙は立たない、とのことわざもある。国際政治評価研究所のミンチェンコ所長は「このニュースを権威あるメディアが報道しているのは、ヤクーニン社長の地位が揺らいでいるからではないか。会社の資金繰りが厳しくなっている上、鉄道建設をめぐるロビー活動も活発化している。この活動の中心人物はヤクーニン社長の後任に擬せられたミシャリン副社長だ」と述べている。

  また、メドベージェフ首相の陣営がヤクーニン社長を追放しようとしているとの情報もある。だが、それを実行できるのはプーチン大統領しかいないとされ、ロシア鉄道社内で汚職疑惑が起きている可能性もある。

  いずれにしろ、ヤクーニン社長はプーチン大統領の友人であるだけでなく、腹心のひとりでもある。90年代にペテルブルク近郊の湖畔で、ともに別荘を持っていた関係で、今も家族ぐるみの付き合いをしているという。そのヤクーニン氏の地位が危ういということになれば、プーチン大統領の権威にも陰りが生じているという見方もできる。今回の“誤報”騒動は尾を引く可能性がありそうだ。(この項おわり)
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