飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの州知事任命制復活法案に市民の7割近くが反対!

2013年01月25日 14時26分16秒 | Weblog

 プーチン政権は昨年、中流層などの強い抗議を受け、州知事の選任を任命制から公選制に戻したが、事実上任命制の復活を目指す法案を今下院に提案している。この問題の是非をめぐり、レバダ・センターが世論調査を実施したところ、68%が公選制を支持すると回答した。

 新しい法案は与党「統一ロシア」のスタルシノフ議員らが下院に提案したもので、「立法・執行機関の一般原則について」と名付けられている。全国一斉に州知事を公選制とする現法律を改め、地方自治体に公選制廃止の権限を認めるもので、事実上任命制復活を狙った内容だ。24日の下院審議では、与党のほか、公正ロシア、共産党も賛成に回り、この法案は原則的に承認された。また、自由民主党はこれを一歩進めて、公選制廃止案を提案した。

 一方、25日付けのコメルサント紙(電子版)によると、レバダ・センターがこの問題で世論調査を行った結果、任命制復活を支持すると答えた人は21%にとどまり、公選制支持が68%と、任命制支持を大きく上回った。地域別では、カフカス地方やシべリヤ地方で公選制支持派が多かった。この調査は、全国45地域で1600人を対象に行われた。

 この調査結果について、最高裁のバルシェフスキー政府全権代表は「ひとつの国家の中で異なった州知事選出法を認めるのは許されない。国家の統一を侵害するもので、憲法に違反する」と指摘している。これに対し、法案提案者のスタルシノフ議員は「この法案により、地方の議会が任命制か公選制かを正しく選択できる」と主張している。

 州知事の公選制はロシアの初代大統領、エリツィン氏の時代に始まったが、プーチン政権になってから権力の垂直構造を強化するため大統領の任命制に改められた。昨年、公選制に戻されたのは、下院の不正選挙糾弾運動がきっかけで、プーチン政権の「見せかけの民主主義」への批判が強まったためだ。これを再びひっくり返そうという試みは、プーチン政権に不満を募らせている中流層(あるいは中間層)の手厳しい反発を受けるのは必至だ。(この項終わり)

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