ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『幼獣マメシバ』

2009-05-02 18:38:47 | 新作映画
----ゴールデンウイーク、どうするの?。
このままどこにも行かないつもり?
「そうだね。
大好きな多部未華子が出ている『つばさ』の舞台、
川越にでも行こうかなあ。
これだったら、まさに家から『安・近・短』」

----もしかして、それ強引に今日の映画 『幼獣マメシバ』につなげようとしているでしょ?
「あらら。やはりバレたか。
この映画は、小学校以来、引きこもっている息子・一郎の将来を案じた母親が、
マメシバを使って家から外へ出し、
小さな旅をさせるというもの。
ぼくは一時期、この映画の舞台となっていた
山中湖や河口湖によく足を延ばしていたから分かるけど、
まあ、これはほんとうに“小さな旅”。
富士五湖周辺を、あっちこっち動いているだけ。
でも、それでさえも引きこもりの人にとっては大変ということなんだろうね」

----主演は佐藤二朗だっけ?
彼は苦手なはずじゃなかった?
「うん。『シュガー&スパイス/風味絶佳』を観たとき、
なんて映画の空気を壊す人だろうって…。
でも『GSワンダーランド』での司会者役はそれなりにオモシロかったし、
『20世紀少年<第2章>最後の希望』の警官役なんて
ほかの配役は考えられないほど見事にハマっていた。
さて、この映画はそんな彼の初主演作。
全編、独特の口調が映画を支配する。
これ、どうやって脚本にしたんだろう?
よほど佐藤二朗という人を知り尽くしていないとムリ。
そう思ったらやはり、あの口調、そしてそれに伴う仕草は
監督の『イヤなやつなんだけど、愛されるキャラクターにしたい』というリクエストを受けて
佐藤二朗自身が作ってきたものらしい。
これに、ノレるかノレないかで、
映画を受け入れられるかどうかも決まってしまうと言っても
過言じゃないだろうなあ」

----ということは、観るべきところは佐藤二朗の演技というわけか。
監督は誰だっけ?
『ネコナデ』亀井亨
あとで考えると、脚本的には、かなり無理がある強引な設定。
そんな中でオモシロかったのは、一郎を応援する可蓮の家庭の描き方。
安達祐実演じる可蓮は、一郎に自分と似たものを感じ取り、
彼を自分の家に連れ帰る。
ところが彼女は、家を出ていて、久しぶりに戻ってきたという設定」

----えぇ~っ。それなのに一郎を家に…?
「そう。周囲はその身勝手さを
客人の前にもかかわらず、気にせずに詰り続ける。
ここは、映画の空気がそれまでとはガラリ変わって実にスリリング。
思わず身を乗り出したね。
まるで『幸せのポートレート』『レイチェルの結婚』といった塩梅。
しかもテーブルを囲むメンバーの構成が、
普通に、父と母(菅田俊&石野真子)
そしてその子供たちというのではなく、
なぜかこわもての叔父さん(渡辺哲)までいて、どこかぎくしゃく。
そしてひりひりと痛い」

----へぇ~っ。キャスティングがユニークだ。
「いやいや、まだまだ。
こんなもんじゃないよ。
二郎の父親には笹野高史、母親には藤田弓子
そして父親の弟には志賀廣太郎
この二人の共通点は、髪が薄いこと(笑)。
こういうキャスティングの妙が生み出す、
そこはかとない、へんてこなおかしさが
この映画最大の楽しさ」

----そうか。菅田俊と渡辺哲が兄弟役で、
しかも一緒にテーブルを囲むなんて、
ほかの映画じゃあまり望めないものね」

  
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あれっ。マメシバの話はどこいったのニャ

※一口メモ。マメシバは日本全国に500頭。種付け料は5万円。正式な種とは認められていない度

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猫ニュー

『ベルサイユの子』ほかゴールデンウイーク公開映画

2009-05-01 23:43:55 | 新作映画
----ゴールデンウイーク、いよいよ前半のピーク。
たくさん映画が公開されているけど、
まだまだお話していないの多いよね。
「うわあ。これはヤバい。
もう、すでに今日から始まっているのも…。
ちょっと掟破りだけど、
一口、見どころ紹介ということで許して。
まずは『新宿インシデント』
これは最近、その発言が物議をかもしているジャッキー・チェン主演作。
これまでたばこは吸わない、その映画で人は死なない…と、
“健全映画大使”(ぼくがいま作った造語)を務めてきた彼とは思えない壮絶な映画。
なにせ、歌舞伎町の裏で生きる中国人たちを描いているんだから…。
描写もかなり残酷で、どうしたのジャッキー!?って感じ。
その意欲は買うけど、
これまで彼が作り上げてきたイメージが邪魔しているのが辛い」

---- 『ビバリーヒルズ・チワワ』は?
「これはね。ビバリーヒルズのセレブが飼っている、と言っては失礼か…。
一緒に暮らしているチワワが迷子になるお話。
その場所というのが、最近、世界で最も注目を集めている国メキシコ。
ちょっと、これは上映される時期が運が悪かった気がするね」

----次は『テラートレイン』だっけ。
「もう、これは簡単。
一言で言えば『ホステル』列車版。
東欧を遠征中の大学生レスリング・チームが列車の中で味わう
世にも恐ろしい体験というもの。
でも、そろそろこういう表現も見慣れてきたね」

----あと、『腐女子彼女』というのもあるよね。
「これはまた妙な映画だったなあ。
<腐女子>とは<ボーイズ・ラブ命>の女性。
物語は、この<腐女子>を彼女にした男の苦労話。
初めのうちはそれこそ“驚き桃の木”だったのが、
途中から、超長距離恋愛を軸にした
ありきたりの恋物語になっていく。
ちょっとそこからが長すぎたね」

----さて、いよいよ次が今日の本題。
『ベルサイユの子』
「これは、思っていたのとはまったく違う映画。
ぼくはその予告編から勝手に『シベールの日曜日』の路線をイメージしていたんだけど、
あの映画ほど、子ども目線とはなっていない。
映画は、生活に行き詰った子連れの女性が
ベルサイユの森に入り込み、
そこで体を重ねたホームレスの男に
一方的に子供を押し付けてしまうところから始まる。
ぼくはてっきり、
その後、二人の間には強い絆が芽生え、
“社会が彼らを引き離そうとするのを泣いていやがる子ども”という図を頭に描いていたわけだけど、
お話はそういう方向には進まない。
というのも、この男は、一昔前で言うところのヒッピーみたいなもの。
自分から家を出て、意識的にこの暮らしを選んでいるんだ」

----つまり、対立構造として
“社会”が出てくるわけじゃないんだね。
「うん。
しかも彼は、自分はこのようなアウトサイダー的生き方をしながら
子どもにはきちんとした教育や家族が必要と考えている。
というわけで、映画はここから思ってもいなかった展開を見せる。
観る人の楽しみを奪わないためにも、
その核心に触れるわけにはいかないけどね。
まあ、3回は驚くこと間違いなし。
そしてもう一つ、ビックリしたのは(いやそれが普通か)、
この母親はわが子を完全に捨てたわけじゃなくて、
自分がいっぱしの働ける境遇になったら、
そのときは息子を迎えに来るつもりだったということ」

----へぇ~っ。なかなかオモシロそうじゃない。
「ただ、その語り口が
ドキュメンタリーとは言わないけど、
いわゆる過剰さを排した抑制のきいた演出。
フォーンは知っているだろうけど、
ぼくはこういう演出の映画は苦手なんだ」

----それは知っているよ。
でも、それってただ“泣けない”からじゃニャいの?
「mmmmm……」

 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「どれから観るかニャ」いいねぇ


フランス映画といえばフランス映画らしいけ度

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