ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『セブンデイズ』

2009-05-17 22:12:02 | 新作映画
(原題:Sevendays)


----これが、昨日ちょっと話していた映画だね。。
『シュリ』キム・ユンジンが出ているんでしょ?
「うん。
なんでも韓国のシナリオ作家が選ぶ『シナリオ・オブ・ザ・イヤー2007』に選ばれ、
すでにアメリカでのリメイクも決定しているらしいよ。
その権利価格たるやなんと100万ドル。
オモシロいシナリオには目ざといハリウッドらしい話だけど、
それにしてもスゴイ金額だ」

----どういうお話ニャの?
「じゃあ、簡単にそのシノプシスを。
8歳の娘と暮らす敏腕弁護士ユ・ジヨン(キム・ユンジン)
勝率99.9%を誇る彼女に思わぬできごとが起こる。
運動会の親子リレーの最中、娘が誘拐されてしまったのだ。
解放の条件は、有罪判決を受けた容疑者の無罪釈放。
だが、その最終判決の日は7日後。
あまりにも時間がない。
彼女は国選弁護士の代わりに彼の弁護を引き受ける。
だが、娘を誘拐したのはいったい誰なのか?
罪を受けた男はほんとうに容疑者なのか?
疑問と葛藤に苦悩しながら、ユ・ジヨンの戦いは始まった!」

----なるほど。よくできたストーリーだ。
つまりユ・ジヨンとしては、
その容疑者がもしほんとうに罪を犯していたとしても
娘を救うためには、
彼を無罪にしなくてはならないわけだ。
「そういうことだね。
観ている方もユ・ジヨンと同じく、
誘拐犯はだれ? 容疑者はほんとうに犯人なのか?を
常に自問しながらスクリーンを見つめ、
ストーリーの行方を追うこととなる。
そういう意味では、これはミステリーの王道。
先ほど話題になった『チェイサー』(ナ・ホンジン監督版)
とは似て非なるもの。
実を言うと、映画としても
<容疑者の事件>と<娘の誘拐>、
このふたつを欲張りすぎたため、
少し息切れがしている感もないでもないんだけどね」

----どういうこと?
「<容疑者の事件>においては
やがて<隠れた真実>が明るみに出てくる。
それはそれでオモシロいし、見ごたえがあるんだけど、
その間、<娘の誘拐>の方が止まってしまう。
もちろん、最後の最後にこのふたつは結びつき、
なるほどと、納得のいく落ち着きどころを見せる。
でも、その息切れがちょっと残念」

----監督は誰だっけ?
『鬘 かつら』のウォン・シニョン
ユ・ジヨンが娘を幻視する映像処理、
あるいは娘が発見されるときの超ロングに引いた画など、
気に入ったシーンも多いんだけど、
細かいところで、なぜという疑問もわいてくる」

----どういうところが?
「たとえば、娘が運動会の親子リレー中に誘拐なんて、まずありえない。
『マルサの女』じゃないけど、
ヒロインはその忙しさのあまり、
娘と一緒の時間がなかなか作れない。
だとしたら、わざわざこんな人目につく時でなく
娘を誘拐する機会はいつでもあったはず。
まあ、悲劇感と衝撃性をより強く出そうとしたんだろうけど…」

----運動会と子供の誘拐。
阪本順治『トカレフ』も似たようなシーンがあった気が…。
「懐かしいね。
主演は大和武士
あれは、誘拐された息子の運動会の映像を
父親が観るシーンがせつなかった。
さて話をこの作品に戻して。
いろいろ注文つけたけど、
最近のミステリー・サスペンスの中では出色の出来だと思うよ。
ただ、くどいようだけど、
『チェイサー』には及ぶべくもない。
あそこには、その話法、映像の秀逸さに加えて
人間そのものの深淵を見つめていたからね。
それに比べてこの『セブンデイズ』に出てくる人間たちは類型的。
いずれもぼくのような凡人の頭で理解できてしまう」

----ニャるほど。異常さにもいろいろあるということだニャ。
 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「現実に続発している事件の方も怖いのニャ」いいねぇ


※頭を整理して臨んだ方がいい度

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