ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『重力ピエロ』

2009-05-05 22:22:51 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



-----これって人気の伊坂幸太郎の原作ニャんでしょ。
彼の小説って次々と映画化されているよね。
「そうだね。
やはりそれだけ人気が高いってことだろうね。
この映画を観ると、その理由もおぼろげながら分かる気もする。
間違っているかもしれないけど…」

----その理由って?
「ぼく自身は原作を読んでいないし、
これはあくまで『映画を観て』のカッコつきだけど、
彼の本は、
この困難な時代を生き抜くための一種のバイブル的な役割を果たしていると思うんだ」

----バイブル?それはまた大きく出たニャあ。
どういうところでそれを感じたの?
「『重力ピエロ』。実はこのタイトルにそれは、はっきりと表されている。
『空中ブランコ、ピエロは怖くないのかな?』と、問いかける子供。
それに対して彼らの両親は言う
『ピエロが空中ブランコから飛ぶとき、
重力のことを忘れてるんだ』
『地球の重力なんて消してしまえるんだよ』
『私たち、そのうち宙に浮かぶかもね』」

----ぷっ。脳天気な家族だニャあ。
「いや、そうじゃないよ。
この映画のスタッフは主人公のひとり
兄の泉水を演じた加瀬亮に、こう言ったらしい。
『これはアッパー家族の話じゃないか?』と。
ここに描かれているのは、
レイプ犯によってその幸せを壊された家族の物語。
ところが、そんな悲惨な中にあっても彼らは前向きに生きていく。
『本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ』。
『その場限りの安心感が人を救うこともあるんだよ』というのもその一つ」

----ニャるほど。だから、キャッチコピーが
「家族の愛は、重力を超える。」か。
でも、これってミステリーだとばかり思っていたけど…。
「それは確かにそう。
物語のアウトラインはこう。
仙台市内で連続放火事件が起こる。
弟の春(岡田将生)は、
その現場の近くに謎の落書きが出現していることに気づく。
この落書きを放火犯からのメッセージと考えた春は、
半信半疑の泉水を張り込みに誘う。
だがそれはやがて、24年前から今へとつながる家族の秘密を明らかにしてゆく」

----その秘密が、泉水がレイプ犯の子だったということか。
でもそんなこと、ここでバラしちゃっていいの?
「いや、いいみたいだよ。
ぼくもその“秘密”がクライマックスで明らかになるという映画かと思ったら、
なんと開始早々に、
すでに過去に起こった、近所の誰もが知っている事実として観客に提示される」

----えっ。近所の人まで知っているの。
それは暮らしていきにくいだろうね。
「そう。フォーンが想像した通り、周囲は彼らを白い目で見る。
それに対して、父が母が、そして兄が一致団結して立ち向かい、
まだ、レイプの意味を知らない弟を守る。
これもこの映画の重要なポイントだ」

----じゃあ、ミステリーの部分って?
「それは<放火>。
そしてもう一つのポイントとしては刑期を終えて戻ってきたレイプ犯だね。
あっ、でもさすがにこれ以上は喋らない方がいいだろうね。
しかし、この映画を観て感心したのは、至るところに張られた細かい伏線。
遺伝子の研究をしている泉水、
落書き消しをする春、
病と闘う父。
彼らの行動、言葉がすべて有機的に繋がってくる」

----ふうん。監督は誰だっけ?
『Lundry』森淳一
『CGは空気感を描くところまでは進歩していない』と言う彼だけあって、
CGに頼らない実にセンシティブな空間を作り上げている。
あ、あとこれは原作にもあるのかもしれないけど、
印象的だったのが次のガンジーの言葉。
『(見たいと思う)変化になりなさい』」

----ニャんだ。それ?
「いいの。フォーンは分からなくても。
でも、これネットで調べてもいろいろな訳があるみたい。
ちょっと本を買ってみようかな」




フォーンの一言「渡部篤郎がスゴく悪い男をやるらしいのニャ」ご不満


※人を作るのは遺伝か環境かもポイントだ度


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