ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』

2009-05-29 21:52:50 | 新作映画
(原題:I Come with the Rain)

※ネタバレとまではいかないかもしれませんが、
チラシよりもストーリーを詳しく書いています。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方が安心かも。



-----これって最近、急に話題となってきた映画だよね。
主演がジョシュ・ハーネット
それに、木村拓也イ・ビョンホン
出ているっていうじゃニャい。
びっくりするほど国際的な顔ぶれだよね。
「それだけじゃないよ。
監督が最近、新作『1Q84』
予約注文の新記録を樹立したと言われている
あの村上春樹の代表作
『ノルウェイの森』を次回作に控えているトラン・アン・ユン
これまで『青いパパイヤの香り』だの『シクロ』だのといった、
どちらかというとアート的香りを放つ作品を手掛けてきただけに、
本作は製作発表と同時に世界中を驚かせたんだ。
なにせ、これはハードボイルド・タッチのサスペンス。
しかも目を背けたくなるような強烈なバイオレンス描写もふんだんに散りばめられている。
冒頭からして、ジョシュ・ハートネット扮する主人公クラインが、
猟奇連続殺人気に痛めつけられるシーンだしね」

----へぇ~っ。でも、それだけの映画を手掛けてきた監督だとしたら、
普通のアクションでは終わりそうにない気がするニャあ。
「それは当たっているね。
この物語は、キリスト教がベースとなっている。
もう、すでに知れ渡っていることでもあるから、
思い切って言っちゃうけど、
木村拓也が演じるシタオという青年は現代の救世主。
キリストのイメージで描かれるんだ。
ある資産家の息子シタオは、
フィリピンのある島で恵まれない子供たちの施設を運営していた。
ところがやがて親からの仕送りが尽きたことから、
土地の人たちに寄付を募ってもらうべく一軒一軒回り始める。
だが、そのことで疎まれた彼は、暴漢に襲われ命を失ってしまう。
しかし不思議なことに思いもよらぬ奇跡が起きる。
激しい雨の中、キリストのごとく甦ったシタオは香港へ渡り、
そこで他人の痛みを身代わりとなって引き受け始める」

----スゴイ大胆な話だね。
でも、それを聞くと、主役はキムタクでいいんじゃないの?
ジョシュ・ハートネットの役は?
「彼は、ロスの元刑事クライン役。
彼は、猟奇殺人鬼を逮捕するべく犯人と自分の精神を同一化しようとして、
自らの精神も破綻させ、
施設に収容された過去を持っている。
そんなクラインにシタオの父から息子の捜索依頼が舞い込む。
刑事時代の仲間メンジー(ショーン・ユー)の協力で、
彼はシタオがリリ(トラン・ヌー・イェン・ケー)という女性と一緒にいることを突き止める。
一方、リリを溺愛する香港マフィアのボス、ス・ドンポも
行方不明となったリリを探していた。
ここに、3人の男の運命が交錯する」

----ニャるほど。そのボスを演じるのがイ・ビョンホンだね。
でも、なぜリリはシタオと一緒だったの?
「それはね。彼女がドラッグ中毒だったから。
そう、シタオは、彼女を救おうとするんだ。
ここは日本映画で言えば、石井隆『夜がまたくる』だね」

----また、スタイリッシュな映画を例に出してきたニャあ。
「確かに。
でも、この映画も同じく映像が凝っているんだね。
舞台が香港ということもあるけど、夜のシーンが実に多い。
で、これがまた、香港の街の持つ魔界的な雰囲気を
見事に映像に焼き付けているんだ。
香港と言ったら、
まばゆいイルミネーションとともに暗闇に聳え立つ近未来的な超高層ビルをイメージしがち。
ところがこの映画はそれに加えて
ハイウェイのすぐそばに隣接する、古びた高層アパートを見上げるように写しだす。
あれは、香港を訪れたトラン・アン・ユン監督の素直な驚きの表れだろうね。
超高密度の人口。そしてその窓の一つひとつに生活がある」

----そうか“異邦人”の目ってことだね。
でも、キリスト教との関係が今一つ分からないニャあ。
「実はね。
さっき話した猟奇連続殺人鬼。
彼は、なんと人間を生かしたまま体のパーツを切り取り、
それによって、本人言うところの“芸術”を作っているんだ。
このオブジェがまた凄まじい。
サルバトーレ・ダリの絵なんかには似たような形のがあるけど、
これを立体、しかも実際の人間の体を使うんだから…」

----そ、それはmmm……。
「で、この殺人鬼いわく。
『完全な裸体はゴルゴダの丘の上にあった』。
そう、これはキリストのことだね。
で、その完全な姿は人間たちの苦しみの上に成り立っているというのが彼の論旨。
つまり、その美を再現するには人間の苦しみが必要」

----それは無茶苦茶だ。
「で、ここに
キムタクの物語との同根が…。
でも、
キリスト教を外面的にしか知らないぼくにとっては、
だから何?って感じ。
でも、そうとしか言えないのがつらいよね」



フォーンの一言「しっかし、美しい男たちばかりだニャ」身を乗り出す


※珍しくウェブでキムタクの顔が出ている度(チラシのメインビジュアルだけど)


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