ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『扉をたたく人』

2009-05-22 22:18:50 | 新作映画
(原題:The Visitor)


----これも2009年アカデミー賞絡みの映画。
リチャード・ジェンキンスが主演男優賞にノミネートなんでしょ。
この人、顔はよく見るけど、
あまり知らなかったニャあ。
「うん。でもだからこそ、
監督は彼を選んだらしいよ。
いかにもスター然としていないところがいいんだろうね。
日本で言ったら誰だろう?
有名になる前の笹野高史あたりかなあ。
しかし、これはほんとうに彼の演技で観る映画だね。
結論から言っちゃうけど、
静かに静かに感情を秘め、
それが爆発するクライマックスはほんとうに感動的。
久しぶりに記憶に残るラストシーンだったね」

----ふうん。チラシとかでは、
彼がベンチに座って太鼓たたいているビジュアルが載っているけど…。
「あれはジャンべというらしい。
この映画で教えられたけど、
クラシックの多くは4拍子。
アフリカの音楽は3拍子なんだって。
映画を観ながら、
一緒にリズムを取ってしまう、
これは、そういう手愛の映画だね」

----ふうん。
どういうお話ニャの?
「ジェンキンス演じる主人公は
妻を失って以来心を閉ざしてしまっている大学教師ウォルター。
講義も毎年同じ素材で同じことの繰り返し。
そんな彼に、ニューヨークの学会に代理出席せよとの業務命令が下る。
気乗りしないまま、借りたまま放置してあるアパートの部屋を開けると、
そこには見知らぬカップルが。
どうやら彼らは詐欺でこの部屋を紹介されたらしい。
これがジャンべ奏者、シリア人のタレク(ハーズ・スレイマン)と
ウォルターとの最初の出会い。
いつしかジャンべの魅力に取りつかれ、
タレクから奏法を習い始めたウォルターだったが、、
ある日、
地下鉄の改札でタレクが無賃乗車を疑われ、
そのまま逮捕されてしうまう。
実はタレクは難民申請が却下されたままこの地にとどまっていた」

----難民申請?
「うん。
タレクの父親は新聞記者で
その書いた記事が元で投獄され、
そこでそのまま死亡。
絶望した母親モーナは少年だったタレクを連れ、アメリカへ。
手続きに何らかの不備があったようだけど、
9.11以来、移民法が厳しくなったアメリカでは融通はきかない。
母国シリアへ強制送還されようとする彼を救うため、
ウォルターは弁護士を雇い、
自らも毎日、クイーンズにある収容施設へ面会に行くが…」

----ニャるほど。そういうお話だったんだ。
確か『シリアの花嫁』にでているヒアム・アッバスも出ているようだけど…。
「彼女はさっき話したタレクの母親モーナ役。
実はウォルターとの間には淡いロマンスらしきものも芽生えてくる。
ただ、ぼくとしては
彼が逮捕されてから映画の魅力が少し失われた気がした
なぜかなって考えたら、そこからはジャンべが出てこないんだ。
そう。この映画の魅力は、ジャンべに負うところも大きい。
あと、昨日のにつづいてこの映画の日本語タイトルのうまさにも言及。
原題はVisiter(訪問者)。
これは、アメリカへの移民とウォルターの部屋を訪れた人のダブル・ミーニングだと思うけど、
これを『扉をたたく人』。
この“扉”は閉ざされた彼の心を叩いたという意味でもあるだろうし、
閉ざされたこの国アメリカの“扉”でもあるんだろうな」

 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そのラストというの、スゴく観てみたいニャ」いいねぇ


※実にパワフル&ハートフルなラストだ度

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