ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ディア・ドクター』

2009-05-06 22:42:34 | 新作映画
----これって『ゆれる』
で一躍時の人となった西川美和監督の新作だよね。
待ち望んでいた人も多そうだけど…。
「うん。彼女は処女作『蛇いちご』以来、
オリジナル脚本で勝負してきている。
原作ものが多いいまの日本映画界にあって、
それだけでも貴重な存在と言えるだろうね。
しかも、描かれる世界が
これまでの枠にハマった人間描写ではなく、
その奥にある“闇”をえぐり取っている。
それだけに今回も期待していたんだけど…」

----あれっ。その言い淀み方からすると、
期待ほどでもなかったのかな。
確かこの映画は「ニセ医者」の話。
しかも、あの鶴瓶が主演だよね。
絶対にオモシロくなりそうな予感がするけど…。
「うん。
ところがこれまでの2作ほどの衝撃はなかった。
なぜかなと考えてみたんだけど、
これは、設定自体が衝撃的で、
映画を説明しようとすると、そこだけですんでしまうことに
問題がある気がする。
ある医者が辺鄙な村にいて、
そこにやってきた研修医(瑛太)は、
あまりにも型破りなその医者をときおりいぶかしみながらも、
次第にこれぞあるべき医療の姿だと思っていく…。
さっきも言ったように、この枠組が衝撃的なため、
その余白と言うか、
“影”の部分がいくら描かれても、
これを超えることがないんだ」

----ニャるほど。少しわかってきた。
前の2作は、物語が進行していくにつれて、
人間の感情の「負」のパワーに引きずり込まれる感じがあったよね。
「そうなんだ。
これは一つには鶴瓶をキャスティングしたところに
問題があった気がする。
彼は日本中、だれからも親しまれているキャラクター。
そのイメージが強すぎて
さすがの西川美和も壊すことができなかったんじゃないかな。
もちろん、だれもが北野武である必要もないんだけど…」

----そうか。主人公を演じる人が“いいひと”すぎるんだね。
「そういうこと。
だから、本来ならば、
サプライズであるはずのエンディングも
あたたかくやさしい方に流れて、
西川美和監督ならではの“毒”が感じ取れないんだ。
あと、これはぼくの勝手な観方で申しわけないけど、
この手の“病院モノ”を観る時、
気になるのが“健康保険”の問題。
そこを考えると、
彼が長い間、ニセ医者だということがバレなかったというのが
どうにも分からなくなってくるんだ。
まあ、こう、いろいろ言いたくなるのも、
西川美和監督に期待するモノが多すぎるから。
彼女には、普通のヒューマニズム作家で終わってほしくないからなんだけどね」

  
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、やはり観てみるのニャ」いいねぇ


※言いすぎてごめんなさいだ度

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