ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『再会の街で』

2007-08-06 22:23:45 | 新作映画
(原題:Reign over me)

「今日は爆弾発言をしちゃう。
来年のオスカー、主演男優賞はアダム・サンドラーで決定」

----それは確かに大胆だ。
まだ8月というのに…。
「でも、この『再会の街』を観たら
だれでもそう思うと思うよ。
ついでに言えばドン・チードルが助演男優賞で、
脚本賞が監督のマイク・バインダー」

----よっぽど気に入ったんだ。
「うん。この映画はとにかく
前情報なしで観てほしいし、
そのためここでは簡単なプロットだけ。
歯科医のアラン・ジョンソン(ドン・チードル)は、
ある朝、大学時代のルームメイト、
チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かける。
ぼさぼさの頭、だぶだぶの服、
ペンキ缶を下げたその姿は、
とても成功した歯科医とは思えない。
車の窓越しに声をかけるアラン。しかし彼の声は届かない。
後日、アランは再びチャーリーと遭遇。
しかし彼はアランのことを知らないと言う。
実はチャーリーは5年前の9月11日、
愛する家族を一度に失い、
その哀しみから殻に閉じこもったままとなっていたのだった…」

----!!!そうか、それでチャーリーは精神を病んでしまったわけだ。
「そう。チャーリーの前では彼の妻や娘のことは禁句。
それに少しでも触れると
人が変わったように暴れてしまう。
家ではゲーム、外ではiPodで往年のロックばかりを聴いているチャーリー。
アランはなんとかしてその心を開こうとするが…」

----ニャるほど。
良心的ハリウッド映画の王道って感じだね。
「ひとりの友の心を救うという意味では
アラン・パーカーの『バーディ』を思い出したけどね。
愛する者をすべて失った喪失感、
その苦しみをここまで深く描いた映画をぼくは寡聞にして知らない」

----その深い苦しみをアダム・サンドラーが演じるんだね。
いつもの顔とは全然違う。
ちょっとボブ・ディランに似ているね。
「海外では『チャンス』のピーター・セラーズを引き合いに出している評もあって
それも最大の賛辞だとは思うけど、
ぼくは『フィッシャー・キング』のロビン・ウィリアムズを連想したね。
バディムービーってところも似ている。
もっと言えばニューヨークを低い視点から見つめていて、
『真夜中のカーボーイ』をはじめとする
数々のニューシネマの趣もある。
アランはアランで悩みを抱えていて、
チャーリーのために一生懸命になる姿を妻から
『彼の自由がうらやましいのでは…』と言われる始末。
時代の違いもあるんだろうけど、
ストレートな友情美談とはなっていない」

----周りの俳優もいいよね。
「うん。女精神科医にリヴ・タイラー。
途中から重要なキーを占める女性にサフロン・バロウズ。
そして注目してほしいのが裁判官を貫禄で演じているドナルド・サザーランド。
その見事な裁きぶりには
だれもが拍手したくなるのではないかな?
そうそう、個人的には『未知との遭遇』のメリンダ・ディロンが観られたのも嬉しかったね。」

----裁判もあるの?
「うん。物語は途中、
立ち直りを見せたかに見えたアランが
街角である危険行為に出たことから
彼を目の届くところに置き、長期入院させるか否かが争われるんだ。
この法廷シーンもこの映画のハイライトのひとつだけど、
ほんとうの感動はその後にやってくる」

----ふうん。でもこの監督は知らないニャあ。
「『ママが泣いた日』のマイク・バインダー。
ぼくも知らなかったけど、
俳優としても活躍。
この映画でもアランの会計士という
どちらかと言うと嫌われ役を見事に演じきっていたよ。
これから要注目だね」

----フォーンも早く観たいニャあ。
えっ、お正月映画にゃの?
「うん。それだけソニーも
じっくり売ろうとしているということだろうね」



※ついでの情報-----メル・ブルックスの映画が3本も登場!
『ブレージング・サドル』『ヤング・フランケンシュタイン』『サイレント・ムービー』
 
(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「とてもアダム・サンドラーとは思えないニャ」ぱっちり

※これは大のオススメだ度

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