ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『パンズ・ラビリンス』

2007-08-27 22:46:50 | 新作映画
(原題:El laberito del Frauno)

----これってずいぶん前に観たんじゃなかった?
「映画のポイントをどこにおいて、
フォーンに喋るか、
ちょっとそこを決めかねていたんだ」

----イメージとしてはダークファンタジーだよね…。
「うん。
舞台は1944年のスペイン。
内戦で父を亡くした少女オフェリアは
母カルメンの再婚相手、
独裁者フランコに心酔するビダル大尉の元に身を寄せる。
大尉の子供を宿した母は日に日に衰弱。
一方、その義父は残忍な本性をちらつかせる。
孤独と不安に苛まれ、森をさまようオフェリアは、
いつしか謎めいた迷宮に足を踏み入れてしまう。
驚く彼女の前に山羊の姿をしたパン(牧神)が現れ、
思いもかけぬ言葉を吐く。
『あなたは魔法の国のプリンセス、
モアナの生まれ変わりに違いない』」

----へぇ~っ。オモシロそうだ。
それでどううニャるの?
「パンが言うには
オフェリアの左肩にある印がその証拠で、
満月の夜が来るまでに
3つの試練に耐えられれば、
彼女は両親の待つ魔法の国に帰ることができるというんだ」

----こういうお話の場合、
ファンタジー部分が事実か、
それとも彼女の空想かってところが
最大の興味の的だよね。
「そうだね。
しかもそれは観る人によって変わってくる。
ファンタジーを現実にはありえないものと割り切る
リアリスティックな立場を取る人と、
いやどこかで実際に
こんなこともあるかもしれないと信じている、
もしくは信じたい人。
そのどちらの立場に立つかによって
映画を観ているときの
感情の揺さぶられ方も大きく違ってくるからね。
ただ、通常のファンタジーと異なり、
この映画でオフェリアが体験する幻想的世界での試練は、
ファンタジーと呼ぶにはあまりにも苛酷で恐ろしい。
まさに悪夢だね。
ファンタジー好きでも引いてしまうかも」

----えっ? 
現実が厳しいんでしょ。
だったら
空想の中だけでも夢の世界に逃避しそうなものだけど…。
「いや、それじゃあまり意味がないというか、弱いんだ。
あの時代のあまりにも苛酷な<現実>。
それは少女が想像しうる最も怖い<悪夢>さえも超えている----
と、こういうことなんだね。
実際、現実世界では思わず目を背けたくなる
残虐な映像が次々と飛び出してくる。
ただ、このため
映画が少し平坦になってしまった気がする。
少しでも救われるというか、ホッとできる時間がまったくないんだ。
もちろん、このダークなトーンが好きな人には
たまらないだろうけどね」

----そういえば、アカデミー賞授賞式で
最初のうち、次々と受賞し、
周囲を驚かせたのもこの映画だったよね。
「うん。撮影賞、美術賞、それにファンタジー賞ね。
結局、すべてが技術関係の賞ばかりというのも
この映画らしい。
内容や構成上の弱さを補ってあまりある、
技術の素晴らしさ。
それこそが賞賛されたというわけだ。
確かにこの映画における異世界のイマジネーションと
その造形力は秀逸。
『ミミック』以来の<空飛ぶ虫>は
ここにきて妖精へと姿を変える。
これだけでもギレルモ・デル・トロのファンは大満足じゃないかな。
個人的には、両手のひらの目玉に度肝を抜かれたけどね」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもこの結末はどうなのかニャ」悲しい

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
目玉男は水木しげるを思い出しました (ノラネコ)
2007-08-28 10:38:26
おはようございます。
私はポスターや予告にすっかり騙されたので、まさかこんな強烈な内容とは思いませんでした。
あまりといえばあんまりな展開でしたが、この独特のダークストーリーにぐんぐん引き込まれていきました。
デル・トロの最高傑作だと思います。
しかし子供向けファンタジーだと思って観に来たら、トラウマになりますよね。

返信する
■ノラネコさん (えい)
2007-08-28 21:52:28
こんばんは。

この作品、ノラネコさんがずいぶん前にほめてられたのを覚えていて、
今回、じっくり読ませていただきました。
なんか、自分が書いたものが浅くて恥ずかしいです。

>子供向けファンタジーだと思って観に来たら、トラウマになりますよね。

そうですね。とりわけ
「口裂け男」はたまらないです。

ぼくはこの監督
『デビルズ・バックボーン』も好きでした。
返信する
驚きました (april_foop)
2007-09-01 10:17:41
ダークファンタジーというからどんなものかと思っていましたが、予想以上にダーク。
こんなにも現実に根ざしたファンタジーだとは思いませんでした。
最初は何だこりゃ!? と戸惑ったものの、徐々にその深みにハマり、
ある意味そんじょのホラーよりよっぽど怖かったです。
返信する
■april_foopさん (えい)
2007-09-02 21:51:18
こんばんは。

この映画、前評判でいろいろ騒がれていたので、
正直言って、ぼくはそれほどの驚きはありませんでした。
「あ~、こういう映画ね」って感じ。
でも、ダークさというよりも、
その残酷度にはビックリ。
子供には、ちょっと厳しいですね。
返信する
ダーク (kazupon)
2007-10-06 15:47:52
えいさん

日本公開遅かったですね~そこまで遅らせる理由が
いまひとつ判らなかったです^^
個人的にはダークというよりキツイ映画でしたが、
レジスタンスものの要素とファンタジーという
全然異質なものをひとつの映画にしているところは
オリジナリティあるなぁと感じました!
返信する
■kazuponさん (えい)
2007-10-06 18:59:53
こんばんは。

遅らせたというよりも、
映画館のスケジュールがいっぱいだったという方が
あっているのかも。

でも、その間に話題性は膨らみ続け、
結果、思わぬ拡大公開になっているようです。

さて、僕の場合、
その期待値が高すぎて
「なるほどね」だったのが悲しいところ。
何も知らずに観たら、きっと大騒ぎしていたでしょうね。

この監督は『ミミック』も
『デビルズ・バックボーン』も大好きです。
返信する
良かったです (くまんちゅう)
2007-10-07 22:45:28
かなり気に入りました、ダークファンタジーってファンタジー以外の部分もダークでしたし、この雰囲気好きです。
怪物は妖怪「手の目」と同じなんで楽しかったです。
返信する
■くまんちゅうさん (えい)
2007-10-08 10:27:10
こんにちは。

妖怪「手の目」って、知りませんでした。
先ほど調べてみたんですが、
ほんと同じですね。
監督は知っているのかな?
オリジナルと思っていただけに興味あります。
返信する
Unknown (mig)
2007-10-09 00:04:50
えいさん、こんばんは♪

いちばん乗りコメント、先に来てくれて嬉しかったです

この目玉の手の怪物!
わたしこれすっごく気に入っちゃいました♪
えいさんのトップ画像ですね~
返信する
■migさん (えい)
2007-10-09 23:50:06
こんばんは。

この映画で、一番印象に残ったのがこの目玉の怪物。
目の位置で顔が変わるんだから、スゴい発想だと…。
でも、もともと日本にもいたと知って
さらに驚いています。
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