ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『風の外側』

2007-08-25 22:25:12 | 新作映画
----気がつくと、奥田瑛二ももう4本目の監督作品だね。
「うん。彼ってその世界観が独特。
あまり他の監督が描かないような
陰の部分を好んで描く傾向がある。
よく言えば、人間の血が通っているとも言えるんだけどね」

----どういうこと?
「まあ、間違っても都会のライトな青春を描くことはない。
やはり70年代の人なんだろうな。
彼の映画を観ていると
80年代というのはこの世に存在しなかったみたい。
この映画も『いつの日か青春映画』と、
“理屈なく取った。嘘なく撮った。”ということらしいけど、
その青春が抱えるものは暗くて重い」

---具体的に言ってよ。
「主人公の女子高生・岩田真理子(安藤サクラ)は
ふとしたことから。
ある青年(佐々木崇雄)と知り合う。
で、学校帰りのボディガードになることを約束させるんだけど、
その青年というのが
恩義あるヤクザの田丸(北村一輝)にいいように使われていて、
闇金の回収の仕事をしている。
しかも、それはヤクの扱い、そして鉄砲玉と
エスカレートしていくんだ」

---うわあ、暗い。
「しかも、今回は舞台が下関。
そこに在日朝鮮の問題も絡んでくるんだ」

---そういえば安藤サクラって
奥田瑛二の次女なんでしょ。
ヌードになっているとか聞いたけど…。
「うん。
ぼくはそれ知らなかったから驚いたな。
奥田瑛二の映画と考えればそれも納得だけどね。
この佐々木崇雄も若い日の奥田瑛二をシャープにした感じ。
彼は自分が過ぎてきた時代への
こだわりが相当あるんだろうね。
あと、彼のうまいのは日常描写。
よくTVドラマなどで
女性が初めて男の人の部屋に入って、
『わあ、汚い』なんて描写あるけど、
それっていつもたいしたことないよね。
でも、この映画にちらり出てくる
借金まみれのブランド女の部屋はそれこそゴミ屋敷。
このクールな視線と描写の徹底ぶりはスゴいと思ったね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ちょっと苦手だニャあ」もう寝る

※でも最近の奥田瑛二は、ラストに希望を持たせる度
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