ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『天然コケッコー』

2007-08-20 19:10:18 | 映画
----あれっ。この映画、
絶対にえいが好きそうだと思ったのに、
どうしたの?
「いやあ。もう聞いてよ。
今日はとても楽しみにして映画館に行ったのに、
始まって10分ぐらい経った頃、
そう、そよが早知子(宮澤砂耶)の下着を洗っているあたりから、
少し年配の女性集団が騒ぎながら出現。
『おばあちゃん、こっちこっち』とでかい声。
席についてからも『だから、あのトイレが…』『お昼に食べたあれが…』。
もう、ピクニック状態(涙)。
声はまったく聞き取れないし(涙)」

----で、どうしたのニャ?
「心はわさわさ。
落ち着かない。
注意したい。でも注意したら後がばつが悪い。
しかし声は止まないどころか、さらに大きくなる。
前の席の人も振り返って迷惑そう。
とっさに席を立って注意してしまったね。
おかげで心を持ち直すのに時間がかかって
前半の右田そよ(夏帆)の大沢広海(岡田将生)に対する
微妙な心の変化がよくつかめなかったね。
悔しいのはそれがあの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる
線路から海までと続く重要なシーンだったこと」

----あらら。それじゃあ台無しだ。
この映画については語れないね。
「でも、それでも
いつしかそのことを忘れさせてくれたんだから
やはりこれは力のある映画だと思うよ。
まず何が素晴らしかったかって、この映画にはある種の品格があるんだ」

----品格?
「うん。
キャメラは地面に垂直に構えられ、地面はスクリーンを水平に横切る。
それは一種の安定感と言い換えてもいいかな。
だから、これほどのバタバタがぼくの回りであったにもかかわらず
映画の中にス~ッと、自分が取り込まれていく」

----ふうむ。分かったような分からないような。
「物語は、くらもちふさこが作ったものだし、
もともとそれについてはあまり言うつもりはなかったしね。
もちろん、
そよが友だちを傷つけてしまったことに、
後で気づいたり、広海に教えられて反省したりという、
心の機微の描写は素晴らしいし、
膀胱炎になった早知子が
彼女のことを心配して駆けつけたそよに抱きつくシーンなどは、
思わず涙が出そうになったけどね。
そうそう、そういう意味ではキャスティングが最高だったね。
田浦伊吹を演じる柳英里沙、山村篤子を演じる藤村聖子のふたりは、
田舎っぽくなりすぎない、
その微妙なさじ加減が素晴らしかった。
そよとシゲちゃん(廣末哲万)との関係を進めようとするところなんか、
勘違いの善意という皮肉がよく出ていた。
あっ、それと先生たちもよかったね。
特に女性の先生たち。
地元の劇団の人なのかなあ
いったいだれがやっているんだろう?
修学旅行のシーンの彼女らは秀逸だったね」

----でも有名な人も出ているんだよね?
「佐藤浩市、それに夏川結衣ね。
もちろん彼らもよかったし、
あと<猫>たちも演技していたよ」

----そんなことできるの?
「うん。シッポでリズム取っていた(笑)。
でもぼくは、やはりこのキャメラだな。
教室に挨拶し別れを告げるそよを写していたキャメラが
出て行く彼女を見送った後、
室内を移動しながら窓に近づくと、
そこには別の日のそよがいる。
もうドキドキしたね」

----あれっ、えいの顔、
最初とは違ってきたね。
とてもいやなことがあったとは思えニャい。
「だから、これが映画の力だって。
いつまでもこの時間が続いて終わらないでほしいと思う、
幸せな映画。
でも、
ほんとうは映画って一期一会だと思うし、
最初の出会い方が肝心ではあるんだけどね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「マナーは守るのニャ」ご不満

※こりゃケッコーだ度

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